春分の日は「昼と夜の長さがほぼ同じになる日」で、国民の休日の中でも、秋分の日とともに、日付が明確に定められていないちょっと不思議な休日です。

当記事では、春分の日とは何か、2020年の春分の日はいつなのか、春分の日の日付が変わることや、その決め方についてご紹介します。

春分の日の決め方は太陽(正確には太陽のまわりを回る地球の動き)が関わっているため、説明が少し煩雑になるかもしれませんが、ぜひお付き合いください。

また、春分の日と秋分の日に食べる「ぼたもち」「おはぎ」についても、実は中身は同じで、名前が違うだけなど、その定義にいろいろな説があることもご紹介しています。

お彼岸とも呼ばれる春分の日、秋分の日。1年の中でも特別な1日についてまとめてみました。

■2020年の春分の日はいつ?

2020年の春分の日はいつ?
2020年の春分の日はいつ?

2020年の春分の日は、3月20日です。 春分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日とされています。1年間を24の季節に区切った二十四節気の4番目にあたります。

春分の日とは?

夜の時間が長い冬から、少しずつ太陽が昇る時間が早くなり、日が暮れる時間が遅くなってきます。昼の時間が長くなってきて、いよいよ昼の時間と夜の時間の長さがほぼ同じになる日、それが春分の日です。

春分の日を迎えると、春が本格的にやってくるというわけです。

ちなみにその逆、長かった昼の時間が短くなって、夜の時間と同じになる日が秋分の日です。

国民の祝日である「春分の日」は何をする日?

春分の日は、「国民の祝日に関する法律」によって祝日と定められています(同様に秋分の日も祝日です)。

春分の日(と秋分の日)は、国立天文台が算出する「春分日(春分を含む日)」と「秋分日(秋分を含む日)」によって変わります。この理由は次でご紹介します。

「国民の祝日に関する法律」には、それぞれの祝日の意味が記されています。

春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」、一方、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ」となっています。

法律では、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」とされていますが、一般的には秋分の日と同様に、祖先をうやまい、お墓参りをする日です。「春のお彼岸」とも言われます。

仏教では、極楽浄土(あの世)は西にあると考えられています。春分の日と秋分の日は太陽が真西に沈むため、この世とあの世が最も近づく日と考えられてきました。

そこで春分の日と秋分の日は、それぞれお彼岸として、お墓参りをしたり、お供え物をして祖先を供養する日となったのです。

春分の日は変わる

春分の日は1年をかけて太陽のまわりを回る地球の動き、つまり「公転」と関係していますが、実は地球は太陽のまわりを1年365日ぴったりで回っているわけではありません。 およそ365.24219日、365日と6時間弱で太陽のまわりを1周しています。

つまり、毎年6時間弱ずつ、カレンダーと実際の地球の動きにズレが出てきます。1年で6時間、2年で12時間、4年で24時間…。

そう、お気づきですね。この4年の間の24時間=1日のズレを解消するために、4年に一度の閏(うるう年)があります。ちょうど今年2020年は閏(うるう)年。

今、私たちが使っているグレゴリオ暦では、以下を閏(うるう)年と定めています。

(1)西暦が4で割り切れる年をうるう年とする
(2)西暦が100で割り切れて、400で割り切れない年は、平年とする

【2020年はうるう年】閏年はいつ?どんな意味がある?計算方法や2月29日生まれのメリット・デメリットをチェック!>>

そして、このようなズレがあるため、春分の日も変わります。

2020年の春分の日は、3月20日ですが、去る2019年の春分の日は3月21日でした。来年2021年は3月20日、2022年は3月21日となる計算です。

2015年〜2015年までの春分の日を並べてみると、以下のようになります。

2015年:3月21日
2016年:3月20日
2017年:3月20日
2018年:3月21日
2019年:3月21日
2020年:3月20日
2021年:3月20日
2022年:3月21日
2023年:3月21日
2024年:3月20日
2025年:3月20日

ただし、日本では春分の日(そして秋分の日)は、国立天文台が前年の2月1日(1日が休日の場合は翌日以降)に「暦要項(れきようこう)」を発表して初めて決まります。

春分の日を始め、二十四節気や雑節などは、太陽の動き(正確には太陽のまわりを回る、地球の動き)で決まるので、国立天文台が次の年の正式なカレンダーを発表しているのです。

天文学はこんなところで私たちの毎日と関わっているのですね。

■春分の日の決め方

春分の日は、昼と夜の時間がほぼ同じになる日。次に、具体的にどうやって決めるのかを見ていきましょう。

なぜ、昼と夜の長さは変わる?

なぜ、昼と夜の長さは変わる?
なぜ、昼と夜の長さは変わる?

春分の日(と秋分の日)は、昼と夜の時間がほぼ同じになる日ですが、そもそもなぜ昼と夜の時間は変わるのでしょうか? これは地球が太陽の周りを傾いた状態で回っているためです。

地球は太陽のまわりを1年かけて回っています。公転です。そして地球は1日に1回転しています。自転です。 この自転の軸が公転の面に対して、約23.4度傾いています。

太陽が地球のまわりを1年かけて回る時に、この傾きが昼と夜の時間の違い=季節を生み出します。つまり、地球が傾きながら太陽のまわりを回る時に、北半球が太陽に近づくと、北半球は夏、南半球は冬になります(上記イラストで、地球が左側にある時です)。

逆に、南半球が太陽に近づいた時、北半球は冬、南半球は夏になります(上記イラストで、地球が右側にある時です)。

地球が太陽のまわりを回っているのですが、わかりやすくするために地球を中心に考えてみましょう。

太陽が地球の周りを1年かけて回っていますが、それが地球の自転軸に対して約23.4度傾いています。つまり太陽は1年をかけて、地球のまわりを上下しながら回っています。

太陽が上の方に移動して北半球に近づいた時、北半球は夏、南半球は冬になります。 逆に下の方に移動して南半球に近づいた時、北半球は冬、南半球は夏になります。

そして、年に2回、昼の時間と夜の時間がほぼ同じになるタイミングが来ます。そのタイミングは一瞬です。それを「春分」「秋分」と呼びます。

この春分、秋分を含む日を、それぞれ春分の日、秋分の日と定めているのです。

天文学的な説明

イメージは何となくつかんでいただけたでしょうか。次に天文学的な用語を使って説明しましょう。

地球を中心にして1年間の太陽や星の動きを大きなプラネタリウムに映している、と考えてください。このプラネタリウムを「天球」と呼びます。

この天球に描いた太陽の1年間の通り道を「黄道」と呼びます。そしてもうひとつ、地球の赤道を天球まで伸ばしたものを「天の赤道」と呼びます。

「黄道」は「天の赤道」に対して、23.4度傾いているため、2点だけで交差しています。この2つの点を「春分点」「秋分点」と呼びます。

太陽がこの「春分点」「秋分点」を通過する瞬間をそれぞれ「春分」「秋分」と呼び、春分、秋分が含まれる日をそれぞれ「春分の日」「秋分の日」と呼んでいるのです。

春分の瞬間は「3月20日12時49分」

2020年、黄道と天の赤道が交差する瞬間は3月20日12時49分です。この瞬間に太陽が春分点を通過して天の赤道を超え、南半球側から北半球側へと移動します。

太陽の動き(実際には地球の動き)は、天文学の知識や観測などに基づいて計算で割り出されています。2020年の春分も国立天文台が前年の2月に発表しました。

将来の春分の日も計算で割り出すことができますが、地球の動きは不変ではありません。そのため、正式な日時は前年の2月に発表することになっているのです。

春分の日の簡単な算出方法

春分の日の決め方を見てきました。おおよそ、毎年3月20日か21日のどちらかになるのですが、簡単に知る方法もあります。

西暦を4で割って、余りの数で決めるのです。 つまり、4で割って

・余りが0か1の場合:3月20日
・余りが2か3の場合:3月21日

となります。 今年2020年は4で割ると余りは0なので、春分の日は3月20日。 2022年は余りは2なので、3月21日となります。

ただし、いろんな条件が変わってしまうため、この計算が使えるのは2023年までとされています。

■春分の日と秋分の日の違い

春分の日と秋分の日の決め方をご説明してきましたが、天文学的に言えば、春分の日と秋分の日とは、太陽が「黄道」と「天の赤道」の交差する地点を通る瞬間を含む日のこと。

春分の日と秋分の日の違いは、春分の日は、太陽が下から上へ(南半球から北半球へ)、秋分は上から下へ(北半球から南半球へ)移動するということです。

2020年、太陽が秋分点を通過するのは、9月22日21時30分。つまり春分の日は9月22日です。 秋分の日も春分の日と同じように日付が変わります。

2015年:9月23日
2016年:9月22日
2017年:9月23日
2018年:9月23日
2019年:9月23日
2020年:9月22日
2021年:9月23日
2022年:9月23日
2023年:9月23日
2024年:9月22日
2025年:9月23日

実は、春分の日と秋分の日の昼と夜の長さは違う

春分の日と秋分の日は昼と夜の時間が同じと言われますが、実際には昼の方が10分くらい長くなっています。

これはいくつか理由がありますが、1つは日の出と日の入りの決め方が関係しています。

日の出は太陽が地平線の上にわずかでも出た瞬間を言います。少しでも上に出れば日の出です。

一方、日の入りは太陽が地平線に全部沈んだ瞬間を言います。 つまり、日の出と日の入りを決める場所が違うため、太陽の大きさ分だけ昼の方が長くなっているのです。

ちょっとイメージしづらいですね。 100メートル走で考えてみましょう。

スタートは体の一番前が基準になります。そしてゴールの瞬間も体の一番前で決まります(正確には胸の位置で決まります)。

それが今の日の入り(ゴール)は、体がゴールをすべて駆け抜けた瞬間、いわばお尻やかかとの位置で決めているわけです。体の大きさ(厚さ)の分だけ時間が長くなります。

日の出が太陽がわずかでも地平線から出た瞬間なのであれば、日の入りも太陽がわずかでも地平線に隠れた瞬間とするか、あるいは太陽の真ん中が地平線から出た、あるいは入った瞬間をそれぞれ日の出、日の入りとすればこの誤差はなくなったということです。

太陽の大きさ以外にも、地球の大気が太陽の光を屈折させ、太陽の実際の位置よりも早く地平線に上がって見えるため、その分だけ日の出が早くなることも、昼が夜よりも長くなる理由になっています。

■春分の日の食べ物

春分の日の食べ物
春分の日の食べ物

春分の日の食べ物と言えば「ぼたもち」。今では「おはぎ」の呼び方の方が一般的かもしれません。

ぼたもちとおはぎの違いはいろいろな説があります。

・呼び名が違うだけで、春に咲く牡丹にちなんで春分の日に食べるのが「ぼたもち」。秋に咲く萩にちなんで秋分の日に食べるのが「おはぎ」という説
・「ぼたもち」はこしあんで、「おはぎ」はつぶあんという説
・「もばもち」はもち米で、「おはぎ」はうるち米という説
・「ぼたもち」は丸く、「おはぎ」は細長い俵形という説

などです。 さらに地域によっても違いがあるようです。

【春のお彼岸】おはぎとぼたもち、どっちを食べる?お盆にも役立つお供え物や墓参りのルールとマナー>>

「暑さ寒さも彼岸まで」

春分の日は「昼が夜より長くなり始める日」、秋分の日は「夜が昼より長くなり始める日」。

二十四節気でいうと、春分の日(2020年は3月20日)は、立春(2020年は2月4日)から始まった春が半分を過ぎ、本格化する日。

秋分の日(2020年は9月22日)は、立秋(2020年は8月7日)から始まった秋が本格化する日です。

寒かった冬も終わって、春が深まり、暖かい季節がやってくる。暑かった夏が終わり、秋が深まって、過ごしやすい季節がやって来る。そんな意味が含まれています。

そうした季節の変わり目に、祖先に感謝しながら、ぼたもち(おはぎ)を食べて栄養をつけ、無病息災を祈る。春分の日、秋分の日にはそんな意味もあるのかもしれません。

2020年の立春はいつ・何時から?立春と旧正月・春分の日の違い、「立春の候」の読み方・例文、立春大吉とは?>>

春分の日の決め方を知って、お彼岸を大切に過ごそう

当記事では春分の日とはなにか、2020年の春分の日はいつなのか、春分の日の日付が変わる理由、春分の日の日付の決め方などについてご紹介しました。

春分の日の決め方は、太陽の動き(正確には地球の動き)で決まるため、私たちの暮らしには、太陽の動きが大きく関わっていることをイメージしていただけたと思います。

また、春分の日の食べ物として知られる「ぼたもち」と「おはぎ」に実は明確な違いがないこともご紹介しました。

季節の変わり目に自然を大切にし、先祖をうやまう日である春分の日、そして秋分の日。

今ではスーパーやコンビニエンスストアの店頭に、なぜか「おはぎ」がたくさん並ぶ日、という印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、太陽や地球の動きに思いを馳せ、先祖を思う1日にしてみるのはいかがでしょうか?

関連記事

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。