「女性の社会進出」や「働き方改革」など、労働環境を改善していこう、という取り組みが全国で行われている昨今。
しかし世界経済フォーラムが毎年実施している「ジェンダー・ギャップ指数2020」によると、日本は2018年の110位から順位を下げ、153か国中121位となったことが明らかとなりました。
この指数は「経済活動や政治への参画度、教育水準、健康寿命などから算出される、男女格差をあらわす指標」のこと。世界的に見て、日本は男女格差を改善するための課題が、まだまだたくさんあるようです。
そんな中、女性リーダー育成に焦点を当てた「ダイバーシティ&インクルージョン」を専門とするコンサルティング企業「ザ・ドリーム ・コレクティブ」は、全国で働く男女800名を対象とした、「働き方の多様性に関する意識調査」を実施。本記事ではその調査結果をご紹介いたします。
あなたの職場は大丈夫?「働き方の多様性に関する意識調査」
■1:今の職場に満足していない人は37.4%!その理由の1位は○○
まずはこちらの質問から。「今の職場に満足していますか?」
社会人なら誰もが一度は問うたことがある、もしくは問われたことがあるであろうこの質問。満足している、と答えた人のほうが多い一方で、「満足していない」と答えた人は37.4%にものぼりました。
「満足していない」と答えた約4割の人に、その理由を質問したところ、62.9%の人が「給料が少ない」と回答。次いで「正当に評価されていない」「尊敬できる上司がいない」などが続きます。
また、「給料が少ない」と答えた男女の割合を比較すると、男性が57.2%なのに対し、女性は68.7%という結果になりました。「給料の少なさ」が原因で、職場環境に満足できていない人は、男性よりも女性の方が多いようです。
■2:約6割が「今の職場にキャリアアップのチャンスがない」と回答!
続いてこちらの質問です。「今の職場に、キャリアアップのチャンスはあると思いますか?」
結果がこちら。「今の職場にキャリアアップのチャンスがあると思わない」と感じている人は58.5%。なんと約6割もの人がチャンスがないと感じていることがわかりました。
また、働き盛りであり、まだこれからキャリアアップを目指したい年代でもある、20代の男女だけの結果がこちらです。
その差は一目瞭然。20代男性は「キャリアアップのチャンスがない」と答えた割合が43.0%にとどまり、過半数以上は「チャンスがある」と感じているのに対し、女性は「チャンスがない」と感じている人が60.0%という結果になりました。
実際、会社には男性上司と女性上司のどちらが多いか、という問いに対しては、67.0%が「男性上司のほうが多い」と回答しています。一方、女性上司のほうが多いと答えた人は16.0%でした。
職種にもよりますが、女性上司の少ない現状を見て、「女性はキャリアアップのチャンスがない」と感じてしまうことも多そうですよね。
では実際キャリアアップのために、みなさんはどのようなことを会社に求めているのでしょうか。
こちらのグラフは、30〜40代の男女に「キャリアアップのためにどのようなサポートを会社にしてほしいですか」という質問をした結果です。
女性の1位は「ボーナス、育休などのよりよい福利厚生制度の充実」が41.5%と、圧倒的な結果となりました。対して男性の1位は「技術的なスキル開発」が30.9%と、福利厚生を僅かに上回る結果に。
ここでも男女の考え方の違いや、意識の違いが浮き彫りとなっていますね。
最近よく話題に挙がっている「育休取得」の有無なども、キャリアアップしたい女性にとっては気になる点のひとつのようです。
■3:男女の育休取得率が顕著に!キャリアを失う不安も…
続いてはそんな育児休暇に関する調査です。最近では、男性の育児休暇も話題となっていますが、実際どれくらいの人が、育児休暇制度を利用しているのでしょうか。
こちらは「職場で育児休暇を取得した人はいますか」という質問。女性取得者は66.5%、男性取得者は23.9%という結果になりました。
やはりまだ、男性の育児休暇取得、というのはあまり一般的ではないようです。
また約3割の会社では、女性も、育児休暇の取得実績がない現状のようです。結果からは一概には言えませんが、なかなか育休が取りづらい環境の女性も多いのかもしれません。
ですが、「今後育児休暇を取得したいと思いますか?」という問いに対しては、男性は62.5%、女性は81.0%が「はい」と回答。機会があれば育児休暇を積極的に取得したい、と思っている人も多いようです。
しかし「育児休暇を取得したいと思わない」と回答した男性150名に対してその理由を尋ねたところ、「男性は育児休暇を取る必要がないと思う」と答えた男性が23.3%という結果になりました。
対して、「育児休暇を取得したいと思わない」と回答した女性76名に同じく理由を尋ねたところ、そもそも育休制度がないという回答と同数票で、「キャリアを失うこと」を懸念している女性が17.1%と、多くの票を集めています。
キャリアアップはしたい。だけど、心置きなく育休を取得できる環境でもなく、男性側の育休取得も望めない……。そんなジレンマに駆られている女性も多そうですね。
■4:多様化する世界に対応する「ダイバーシティ&インクルージョン」とは
そんな中、近年多様化する世界に対する会社の姿勢として、「ダイバーシティ&インクルージョン」という考え方が求められています。
これは、人材のダイバーシティ(多様性)をお互いにインクルージョン(包摂)していくことで、会社の持続的な成長の原動力にしていこう、という考え方です。
もう少し具体的に言えば、「性別や年齢、民族や宗教、障がいの有無など、人々の多様性を互いに認め合ったうえで、共に活躍・成長することができる職場環境をつくっていこう」という考え方のこと。ライフスタイルや働き方の希望なども、多様性に含まれています。
「現在勤めている会社はダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいますか?」という質問には、37.2%の企業が取り組んでいる、と回答。
一方で6〜7割の企業はそれに対応できていないという現状もあり、まだまだ企業の改善の余地はありそうです。
この調査を行ったザ・ドリーム・コレクティブによれば、「男性の、女性へ対する無意識の偏見に気付く」ことや、「女性が、組織でのキャリアアップを望み“主張してもよい”ということに気付く」ことで、よりよい職場環境をつくることができるようになるのだそうです。
最初は、ほんの少しの変化かもしれません。しかし、より働きやすい環境をつくるために、ひとりひとりの意識を変えていくことが、一番大切なことなのかもしれませんね。
■調査概要
「働き方の多様性に関する意識調査」(ザ・ドリーム・コレクティブ調べ)
調査方法/インターネット調査
調査期間/2020年1月25日〜1月26日
調査対象/全国の働く男女800名
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部