日本のファッション文化のすべてが観られる、挑戦的な展覧会が開催!
2020年6月3日(水)~8月24日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館にて、もんぺからKawaiiまで、戦後の日本ファッション史をたどる、世界初の大規模展「ファッション イン ジャパン 1945-2020 ―流行と社会」 が開催されます。
1970年代以降、高田賢三さん、三宅一生さんといった日本人ファッション・デザイナーたちが世界的に高い評価を得て、彼らを契機に突如として誕生したかのような日本のファッション。
しかし、実際はそうではなく、日本が近代国家となり洋装を取り入れたことを契機に、第二次世界大戦後の昭和時代に一般に洋装が広がり、ミシンの普及により洋裁ブームが到来ーー、と欧米とは違う発展の仕方で、独自の装いの文化を展開してきました。
本展では、そんな長い日本のファッションの軌跡を、衣装だけでなく、映像や、写真、雑誌の記事といった豊富な資料を通して、各時代のファッションを社会現象とともに辿っていきます。
「ファッション イン ジャパン 1945 - 2020-流行と社会」見どころ4選
当時の社会状況が如実に現れた、各時代のファッションを、1920年代からスタートするプロローグ、戦後の軌跡を辿る第1~6章、そして未来を洞察する最終章という、各年代を通して紹介する本展。装いの歴史を超えた文化を振り返り、さらに最先端の動向まで紐解いていく、その見どころ4つをご紹介します。
■1:戦前から現代まで!「日本のファッションの歴史を通観」
1950年代、ファッションに最も影響力のあったメディアは映画でした。映画『狂った果実』の影響で、街でアロハを着る男性が続出!そのスタイルは「太陽族」と呼ばれていました。
戦後、洋裁ブームが起こり、全国で数多くの洋裁学校が設立されました。中でも田中千代さんはデザイナーとして戦前から重要な役割を果たし、1951年にはアメリカで着物から着想を得たドレス「ニューキモノ」を発表し、大きな反響を呼びました。
個性豊かな日本人デザイナーが躍進した1970年代。1971年にロンドンでショーを開催した山本寛斎さん。のちにこのショーがきっかけとなり、デヴィッド・ボウイのコスチュームを手がけることに。
2000年代に入ると世界に「Kawaii」が飛躍し、SNSの時代へ。
「モダン・ガール」、「真知子巻き」、「DCブランド」や「裏原系」など、独自の展開をしてきた、日本のファッション文化。それぞれの世代にとって、懐かしい!と感じたり、逆に新鮮な時代があるはずです。
■2:ファッションはストリートとのキャッチボール!「発信者と消費者双方の視点から構成」
1984年に立ち上げられたヒステリックグラマーは、ロックとファッション、アートの融合をモットーに1960年代から1980年代のサブカルチャー的なアイコンから着想を得て人気でした。
1980年代以降、ストリートの要素が強くなっていき、バブル崩壊後は「街」から多くの流行が誕生。ストリートスナップ、コギャル、読者モデルなどのファッションを通じて、当時の空気感が伝わってきます!
■3:衣服だけでなく、さまざまなメディアを含め「当時の文化を紹介」
言論の自由が厳しく規制されていた戦争期を経て、人々の活字への渇望から多くの雑誌が出版された終戦後。『それいゆ』は、ファッションにとどまらず、手芸やインテリアなど幅広い内容を扱い、若い女性に向けて、身近なものを用いて、美しく暮らすことを提唱。中原淳一さんが描く女性は、時代を超えた魅力があります。
■4:島根県立石見美術館、神戸ファッション美術館など「各時代のアイコン的作品展示」
日本的な図柄と鮮やかな色、繊細な絹の刺繍、と日本の良さを詰め込んだドレスは高い評価を得ました。
現在は、サステナブルが盛んに取り上げられるなどし、その時代の空気を色濃く反映してきたファッション。戦後からその歴史を振り返る本展は、ファッションを超えて、日本の軌跡を総ざらいするような見応えを感じそうです。
それぞれの人にある、自分の時代、そして、過去、未来。あの空気感を懐かしむも良し、新しい発見を求めるも良し。ファッションにそれほど興味がない人でも、どんな視点でも、日本が歩んできた時代を感じに、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?
<「ファッション イン ジャパン 1945-2020 ―流行と社会」 詳細>
- 東京展
- 会場/国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)
- 会期/2020年6月3日(水)~8月24日(月)
- ※料金、前売り券発売情報については近日中に展覧会ホームページで発表。
- 主催/国立新美術館、島根県立石見美術館、読売新聞社、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
共催/経済産業省
協力/七彩 - TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 住所/東京都港区六本木7-22-2
- 島根展
- 会場/島根県立石見美術館 展示室A,D
- 会期/2020年9月19日(土)~11月23日(月)
- 観覧料(税込)/当日は一般¥1,200、大学生¥600、小中高生¥300。
- ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
- 主催/島根県立石見美術館、国立新美術館、読売新聞社、しまね文化振興財団、日本海テレビ、山陰中央新報社(予定)
協力/七彩 - TEL:0856-31-1860
- 住所/島根県益田市有明町5-15 島根県芸術文化センター「グラントワ」内
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 神田朝子