日本のファッション文化のすべてが観られる、挑戦的な展覧会が開催!

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2020年2月26日(水)に国立新美術館で開催された、記者発表会にて。左から、国立新美術館 主任研究員の本橋弥生さん、読売新聞東京本社 事業局文化事業部長の三村竜太郎さん、国立新美術館長の逢坂恵理子さん、国立新美術館 特定研究員の小野寺奈津さん。「2020年はオリンピック、パラリンピックの年。6月、7月はスポーツ一色になるかと思うが、オリンピック憲章で謳われているようにスポーツと文化を繋いでいきたい」と逢坂さん。

2020年6月3日(水)~8月24日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館にて、もんぺからKawaiiまで、戦後の日本ファッション史をたどる、世界初の大規模展「ファッション イン ジャパン 1945-2020 ―流行と社会」 が開催されます。

1970年代以降、高田賢三さん、三宅一生さんといった日本人ファッション・デザイナーたちが世界的に高い評価を得て、彼らを契機に突如として誕生したかのような日本のファッション。

しかし、実際はそうではなく、日本が近代国家となり洋装を取り入れたことを契機に、第二次世界大戦後の昭和時代に一般に洋装が広がり、ミシンの普及により洋裁ブームが到来ーー、と欧米とは違う発展の仕方で、独自の装いの文化を展開してきました。

 

デザイナーの菊池武夫さん、稲葉賀恵さんなどファッション・デザイナーやスタイリスト、雑誌編集者などファッション界を牽引してきた人たちへのインタビュー映像。

本展では、そんな長い日本のファッションの軌跡を、衣装だけでなく、映像や、写真、雑誌の記事といった豊富な資料を通して、各時代のファッションを社会現象とともに辿っていきます。

「ファッション イン ジャパン 1945 - 2020-流行と社会」見どころ4選

当時の社会状況が如実に現れた、各時代のファッションを、1920年代からスタートするプロローグ、戦後の軌跡を辿る第1~6章、そして未来を洞察する最終章という、各年代を通して紹介する本展。装いの歴史を超えた文化を振り返り、さらに最先端の動向まで紐解いていく、その見どころ4つをご紹介します。

■1:戦前から現代まで!「日本のファッションの歴史を通観」

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森英恵《アロハシャツ 映画「狂った果実」衣装》 1956年 日活株式会社蔵 撮影:杉本和樹

1950年代、ファッションに最も影響力のあったメディアは映画でした。映画『狂った果実』の影響で、街でアロハを着る男性が続出!そのスタイルは「太陽族」と呼ばれていました。

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田中千代 《ニューキモノ(市松柄のキモノ)》 1950年 渋谷ファッション&アート専門学校蔵 撮影:加藤成文 
既製服のなかった戦後、洋裁は女性にとって家事、そして貴重な収入源でした。

戦後、洋裁ブームが起こり、全国で数多くの洋裁学校が設立されました。中でも田中千代さんはデザイナーとして戦前から重要な役割を果たし、1951年にはアメリカで着物から着想を得たドレス「ニューキモノ」を発表し、大きな反響を呼びました。

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Masayoshi Sukita《David Bowie》 1973年 ©︎Sukita

個性豊かな日本人デザイナーが躍進した1970年代。1971年にロンドンでショーを開催した山本寛斎さん。のちにこのショーがきっかけとなり、デヴィッド・ボウイのコスチュームを手がけることに。

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TSUMORI CHISATO《2006年秋冬コレクション 《雪の日》より》 2006年 TSUMORI CHISATO蔵 
日本初の「Kawaii」カルチャーを代表したブランド。

2000年代に入ると世界に「Kawaii」が飛躍し、SNSの時代へ。

「モダン・ガール」、「真知子巻き」、「DCブランド」や「裏原系」など、独自の展開をしてきた、日本のファッション文化。それぞれの世代にとって、懐かしい!と感じたり、逆に新鮮な時代があるはずです。

■2:ファッションはストリートとのキャッチボール!「発信者と消費者双方の視点から構成」

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達川清《HYSTERIC GLAMOUR 1988》Courtesy of POETIC SCAPE 
原宿の交差点でゲリラ的に撮影。

1984年に立ち上げられたヒステリックグラマーは、ロックとファッション、アートの融合をモットーに1960年代から1980年代のサブカルチャー的なアイコンから着想を得て人気でした。

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『FRUiTS』8月号 No.13 表紙 1998年 個人蔵 
1990年代、若者たちが主体となって新たなファッションを発信しました。

1980年代以降、ストリートの要素が強くなっていき、バブル崩壊後は「街」から多くの流行が誕生。ストリートスナップ、コギャル、読者モデルなどのファッションを通じて、当時の空気感が伝わってきます!

■3:衣服だけでなく、さまざまなメディアを含め「当時の文化を紹介」

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『美しい暮しの手帖』 第一号 表紙 1948年 暮しの手帖社蔵 
物のない時代にもお洒落に美しく、健康に暮らしたいと願う女性に向けて創刊。
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『それいゆ』第31号 表紙 1954年 国立新美術館蔵 ©︎JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA 
戦後、中原淳一さんによって創刊。
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長沢節《女性像 (赤いコート)》 1950年代 個人蔵 
最新流行のスタイルを写真やイラストで紹介していた戦後。スタイル画が優秀なメディアでした。

言論の自由が厳しく規制されていた戦争期を経て、人々の活字への渇望から多くの雑誌が出版された終戦後。『それいゆ』は、ファッションにとどまらず、手芸やインテリアなど幅広い内容を扱い、若い女性に向けて、身近なものを用いて、美しく暮らすことを提唱。中原淳一さんが描く女性は、時代を超えた魅力があります。

■4:島根県立石見美術館、神戸ファッション美術館など「各時代のアイコン的作品展示」

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森英恵《ホステス・ガウン「菊のパジャマ・ドレス」》1966年 島根県立石見美術館蔵 
1960年の『アメリカンヴォーグ』で紹介された、森英恵さんのドレス。

日本的な図柄と鮮やかな色、繊細な絹の刺繍、と日本の良さを詰め込んだドレスは高い評価を得ました。


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Mame Kurogouchi《2020年 春夏コレクション《EMBRACE》より》2019年 Mame Kurogouchi 蔵

現在は、サステナブルが盛んに取り上げられるなどし、その時代の空気を色濃く反映してきたファッション。戦後からその歴史を振り返る本展は、ファッションを超えて、日本の軌跡を総ざらいするような見応えを感じそうです。

それぞれの人にある、自分の時代、そして、過去、未来。あの空気感を懐かしむも良し、新しい発見を求めるも良し。ファッションにそれほど興味がない人でも、どんな視点でも、日本が歩んできた時代を感じに、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?

<「ファッション イン ジャパン 1945-2020 ―流行と社会」 詳細>

  • 東京展 
  • 会場/国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)
  • 会期/2020年6月3日(水)~8月24日(月)
  • ※料金、前売り券発売情報については近日中に展覧会ホームページで発表。
  • 主催/国立新美術館、島根県立石見美術館、読売新聞社、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
    共催/経済産業省
    協力/七彩
  • TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 住所/東京都港区六本木7-22-2

  •  
  • 島根展 
  • 会場/島根県立石見美術館 展示室A,D
  • 会期/2020年9月19日(土)~11月23日(月)
  • 観覧料(税込)/当日は一般¥1,200、大学生¥600、小中高生¥300。
  • ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
  • 主催/島根県立石見美術館、国立新美術館、読売新聞社、しまね文化振興財団、日本海テレビ、山陰中央新報社(予定)
    協力/七彩
  • TEL:0856-31-1860
  • 住所/島根県益田市有明町5-15 島根県芸術文化センター「グラントワ」内

この記事の執筆者
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WRITING :
神田朝子