「ゴロ合わせ」の「ゴロ」とはいったい? 何を「合わせる」の?

本日3月8日は、「国際女性の日」です。国連などさまざまな国際機関が、世界的にその問題について呼びかける、世界的な記念日「国際デー」のひとつなのですが…。

「3」と「8」の組み合わせは「ゴロ合わせ」が見つけやすいようで、さまざまな団体が記念日としている日でもあります。

みつばちの日…「みつ(3)ばち(8)」にちなんで。(全日本蜂蜜協同組合)(日本養蜂はちみつ協会)

みやげの日…「み(3)や(8)げ」にちなんで。(全国観光物産振興協会)

さばの日…「さ(3)ば(8)」にちなんで。(青森県八戸市)

さやえんどうの日…「さ(3)や(8)」にちなんで。(和歌山県農業協同組合)

このほか各企業や団体によって「サワークリームの日」「ビールサーバーの日」エトセトラ、かなりの数の記念日が、3月8日にそろいぶみしているのです。

ところで皆さま「ゴロ合わせ」の「ゴロ」ってなんでしょうか? 漢字にすると「語呂」と書きますが、「語」はともかく「呂」とは、いったい何なのでしょう?

…というところで、クイズです。

【問題1】「語呂合わせ」の「呂」ってどんな意味?

「語呂合わせ」の「呂」は、何を意味する漢字でしょうか? 次の中から正しいものを選んでください。

1:詩

2:音階

3:人名

「語呂合わせ」の「呂」ってナニ?
「語呂合わせ」の「呂」ってナニ?

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 2:音階 です。

「語呂合わせ」の「呂」は、もともと「呂律(ろれつ、りょりつ)」という雅楽(古典音楽)用語を意味しています。

「呂」って、では、どの音階?
「呂」って、では、どの音階?

「呂律(ろれつ、りょりつ)」とは、「呂(偶番目の音階)」と「律(奇数番目の音階)」からなる、曲の「旋法(調子、モード)」を意味する言葉です。

これがうまく曲に合わない事や、演奏が合わせられない状態を「呂律(ろれつ、りょりつ)が回らない」と表現していました。

泥酔した人など、話し方がおぼつかないことを表す「呂律(ろれつ)が回らない」という言い回しも、ここから来ています

「語呂合わせ」は、「語(ことば)の呂(呂律)を、調子よく合わせる」という意味。数字や漢字などの読み方の「音」を、あえて他の言葉にあてはめ、調子よく整える「言葉遊び」の手法を意味しているのです。

「音を合わせる」といえば、「ゴロゴロする」などの擬態語や、擬音語・擬声語も「様子や音、声などを、人の感覚により音で表現した言葉」ですよね?

…というところで、2問目のクイズです。

【問題2】3つのうち、音や声がもとになっていない言葉はどれ?

次の3つの選択肢のうち、実は 「擬態語・擬音語・擬声語」ではないもの を、ひとつ選んでください。

1:ゴロゴロ

2:ゴタゴタ

3:ゴソゴソ

…さて、正解は? どれも音や声がもとになっていそうですが…

擬態語・擬音語・擬声語のどれでもないのは、どの選択肢?
擬態語・擬音語・擬声語のどれでもないのは、どの選択肢?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は・・・ 2:ゴタゴタ です。

「ゴタゴタする」は「ものごとが混乱している」ことを表す言葉ですが、こちらは擬態語ではなく、人名に由来する慣用句なのです。

「ゴタゴタ」の語源は、まさかの「人名」!…どんな人物?

鎌倉時代、北条時頼に招かれ、南宋(中国)から来日した禅僧・兀庵(ごったん)の名が、慣用句のルーツです。

兀庵の話し方が理屈っぽく複雑で、話の筋道がたどれなくなるほどだった…という様子から、「混乱する」ことを「ごったんごったんする」という表現が生まれました。その後、次第に簡易化されて「ゴタゴタする」になったのだとか。

「今、ちょっとゴタゴタしてまして…」という表現、今でも使っている方、多いですよね? 机がせわしなくガタガタする音などから来ているのかと思いきや、まさか禅僧の名前からきた言葉だとは、驚きです。

本日は、語呂合わせの記念日でいっぱいの3月8日にちなんで、

・語呂(ごろ)

・ゴタゴタ

という日本語の、意外で興味深い語源トリビアをお送りしました。

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小出 真朱