国連により定められている、女性への差別撤廃と、女性のエンパワーメントを目的とした3月8日の「国際女性デー」。

この日に先立ち、女性リーダー育成に焦点を当てた「ダイバーシティ&インクルージョン」を専門とするオーストラリアのコンサルティング企業、The Dream Collective Global Pty Ltd(本社/オーストラリア、代表取締役社長/サラ・リューさん、以下ザ・ドリーム・コレクティブ)による書籍、『女性が共に、さらに輝くということ』が発売されました。

女性リーダーがまだまだ少ない日本。「社会進出」に課題

世界経済フォーラムが毎年実施している「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は2018年の110位から順位を下げ、153か国中、121位となりました(※)。

本調査によると、日本は「教育」と「健康」では格差がほとんど解消されたものの、政治では歴代首相に一人も女性がおらず、議員や大臣、管理職や経営者でも女性比率が低い、としています。この結果から、女性の社会進出に関する意識に障壁があり、課題が多いことが浮き彫りになっているのだそうです。

※ 世界経済フォーラム/「ジェンダー・ギャップ指数2020(the Global Gender Gap Report 2020)」
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『女性が共に、さらに輝くということ』The Dream Collective著 幻冬舎 ¥1,500(税抜)

今回出版された書籍には、企業内において、このようなジェンダー・ギャップが発生しないよう、あらゆる分野で人々が違いを尊重しあって活躍するという「ダイバーシティ&インクルージョン」や、女性リーダーの活躍促進について、まとめられています。

大手企業20社・72名が語る!女性活躍の秘訣にクローズアップした日本初の書籍

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国内外問わず各業界、錚々たる企業で活躍する男女のリーダーたちにインタビューした本書。

本書では、アマン東京、アディダス、スターバックス、LVMHモエヘネシー・ルイ・ヴィトン、グランドハイアット東京、ユニリーバ、リクルート、LIXILなど、国内外問わず各業界で活躍する男女のリーダーたちに、キャリアパスやよりよい未来ビジョン、経験などをインタビュー。

また、リーダーだけでなく現場で働く社員にもフォーカスし、自分らしい働き方を目指す「ワークライフバランス」の実現や、個の経験・能力そして考え方を活かして、よりよく働くための「ダイバーシティ&インクルージョン」について触れています。

大手企業20社・72名のケーススタディから、女性支援のヒントが紐解かれるため、日本国内における女性の社会進出を考えるうえで、必読の書籍といえそうです。

力を合わせて、より大きなインパクトを!女性の進出に深くコミットしている企業が参加

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写真左から、ノバルティスファーマ株式会社 人事統括部部長 クリステル・ラベスさん、ザ ドリーム コレクティブ 代表取締役社長 サラ・リューさん、ブリストル ・マイヤーズ スクイブ株式会社 執行役員 オンコロジー事業部部門長 辻和美さん、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン株式会社 シニアバイスプレジデント ヒューマンリソーシズ ステファン・ヴォワイエさん。

3月8日の「国際女性デー」に先立ち、3月5日(木)に実施されたパネルディスカッションは、内閣府男女共同参画局役員の挨拶でスタートし、その様子はライブストリーミング配信されました。

「日本人として初めてのラグジュアリーホテルの支配人」、「会社で初めて有休を取った社長」、「女性リーダーシップを8%から30%に増加させたブランド」など、書籍に登場した72名の中から、スピーカーとして参加したのは、こちらの3名。

LVMHモエ ヘネシー・ルイ・ヴィトン・ジャパン株式会社シニアバイスプレジデントのステファン・ヴォワイエさん(写真右)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社の執行役員・オンコロジー事業部部門長の辻和美さん(写真右から2人目)、そしてノバルティスファーマ株式会社 人事統括部部長 クリステル・ラベスさん(写真左)。

この代表者3名と、日本における女性の社会進出支援について、女性の社会進出や多様性についてディスカッションが行われました。

女性管理職、リモートワーク、育休などをディスカッション。「無意識の偏見」をなくし、自分らしく活躍できる場を!

一緒に達成できること、女性管理職、育休、女性のコーチングやロールモデルの必要性など、興味深い内容が次々と語られたなか、唯一の男性スピーカーであったステファンさんは、新型コロナウイルスが蔓延しているこの状況下で、お子さんがいる家庭は女性のみが、休みを取らなければならない、という「無意識の偏見」のような固定概念があるように感じている、と言及しました。

また、「いまだに家事の役割が女性が多く、日本は親の介護で辞めるのは女性の役割だったりする。そういった文化を変えたいというわけではないが、サポートしたい」とも述べていました。

辻さんは「20代の時、自分が上司になれるとは思っていませんでした。(海外へ)MBAに行き、固定概念に自分が縛られていたことに、気がつきました。違うということは、企業にとってもバリューになります。自分自身も、自分らしくあることでパフォーマンスが上がります」と、語りました。

また、日本でホットな話題である育休についてもトピックが挙げられました。クリステルさんが働くノバルティスファーマでは、世界共通で14週間の有休で対応しており、実際にゼネラルマネージャーも日本で2週間取得し、キャリアにインパクトがないことを証明したのだとか。さらに男性社員の25%が育休を取得した、という数字が示され、その進歩的な社風にスピーカーの間で感嘆の声が漏れていました。

「何をするにも自分の意思を持ってやること」、そして「行動、態度や『ものの見かた』を変え、間違っていると思ったら、どう行動していくか」、「変化が大切。魔法の解決法はないけれど、一番避けるべきは何もしないこと」、といった意見が交換されました。

また、現在の状況をきっかけにリモートワークなど多様性がある働き方が、今後日本でも広がる可能性があるのでは?という意見も伺えました。

力を合わせれば、女性はより輝く!ガラスの天井を自分で割ろう

ザ・ドリーム・コレクティブの代表である、サラ・リューさんは以下のように述べています。

「本書は、私たちのビジョンであると同時に、あなたの一部でもあります。あなたや私のように理想を携え、それらを実現する人がいてこそ、理想の世界は現実となります。ガラスの天井は、私たちひとりひとりが自らの手で割ろうとしなければ、そこに傷すらつけられないのです。

この世界に対するビジョンを考え、ダイバーシティ&インクルージョンを日本の社会に浸透させる力は、私たち個々の手にあります。そして、行動を起こす責任も私たちにあるのです。そのことを知るきっかけとして、本書がお役に立てば幸いです。Together, She Shines Brighter. 共にあることで、女性はより輝く。読者の皆さんも、ぜひご一緒に」


仕事面だけでなく、社会全体における女性のポジションを引き上げていくことが急務だと感じるとともに、多様性を受け入れ、しなやかに変化し、来年はどのように前進しているか、が楽しみとなるような本書。

万人が平等な権利を持つ社会へ向けて、アクションをとりたい!と思った人は、まず「知ること」を第一歩として、ぜひこの書籍を手にとってみてはいかがでしょうか?

この記事の執筆者
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WRITING :
神田朝子