2011年3月11日に起こった、東日本大震災から9年。震災以降も、激しい地震や甚大な被害をもたらした台風など、たびたび大きな自然災害が日本全国で起こっています。

そのたびに、自然災害に対する備えの大切さを感じている方も多いかとは思いますが、実際、みなさんのご家庭では、どのような災害対策をされているのでしょうか。

先日、金庫ブランドのディプロマット・ジャパンが「災害対策に関する意識調査2020」を実施。各家庭での自然災害に対する備えについて、20歳〜69歳までの男女1,000名を対象に、アンケート調査を行いました。本記事では、調査結果を詳しくご紹介します。

「災害対策に関する意識調査2020」(ディプロマット・ジャパン調べ)

■1:最も恐れているのは「地震」!年代ごとの災害への備えの差が顕著に

まずはこちらの質問から。「被害に遭うことを恐れている自然災害はなんですか?」

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被害に遭うことを恐れている自然災害第1位は「地震」!

第1位は「地震」で、82.8%という結果になりました。地震の多い日本ですから、やはり多くの人が気にかけているようです。

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災害対策を行っている自然災害は?

しかしそれに対して「災害対策を行っている自然災害」を尋ねたところ、地震対策の数値は27.2%にとどまりました。また、全体の66.7%が「特になし(自然災害への対策を行っていない)」と答えるなど、自然災害を恐れてはいるものの、対策はできていない、という人が多いようです。

ちなみに地域別に見ると、台風がよく通過する九州・沖縄地方が「台風対策」で22.7%となるなど、それぞれの地域の特性に応じた対策が取られているようですね。

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自然災害に対する「備え」として、家庭でどのようなことを行っているか

しかし、「自然災害に対する備えとして、家庭でどのようなことを行っているか」という問いには、なんらかの準備を行っていると答えた人が70.6%となりました。災害に対して直接的な「対策」は取られていなくとも、やはりなんらかの「備え」を行っている人は多いようです。

内訳としては、第1位は「食料の備蓄」で39.5%。続いて「家具の倒壊を防ぐための固定」「非常用持ち出し袋の準備」など、各家庭でできる自然災害への備えが順に続きます。

ところが、備えを行っている人の割合は、年代別に見ると顕著な差が見られました。

20代で「準備を行っている」は58.0%、60代で「準備を行っている」は81.5%。各年代を見ても、年代が上になればなるほど、準備を行っている人の割合が増えているのが見て取れます。

たくさんの災害が起こる日本ですが、年齢が若い人ほど、災害を多く経験していない分、防災意識が薄いのかもしれません。

■2:「避難勧告の発令」で避難する人は全体の4割! 

災害に対する対策や備えは万全! という人でも、やはり一番は自分の命。みなさんはどのように自分の身を守るのでしょうか。

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自然災害の情報の入手方法

まずは「自身の住んでいる地域で自然災害が起こった場合、何から情報を入手すると思うか」という問いには、「テレビ」が68.2%となりました。

しかしながら、やはり各年代で差が見られます。「テレビ」は比較的各年代ともに多いのですが、特に60代の人は79.0%もの人が「テレビ」と答えるなど、圧倒的に大きな情報源となっているようです。

逆に、20代は「テレビ」や「ラジオ」に次いで、「SNS」が高くなるなど、即時性のより高い情報発信ツールを利用したい、という人が多いようです。

「ネットの利用」というわけではなく、即時性の高い「SNS」を重視しているということは、20代の「天気予報サイト」の利用や「気象庁のサイト」の利用、「自治体の防災メール」の利用などが顕著に少ないことからも伺えますね。

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避難勧告・避難指示が発令された時に避難をする人は全体の4割

また「自身の住んでいる地域で自然災害が起こった場合、どのようなタイミングで避難をすると思うか」という問いには、43.8%が「避難勧告・避難指示が発令された時」と答えました。

ちなみにこの「早期注意情報が発表されたとき」というのが災害の「警戒レベル1」にあたり、以後、グラフの右に行くにつれ、警戒レベル2、3と続き、この順に危険度や切迫性が高くなります。

約4割が避難すると答えた「避難勧告・避難指示が発令された時」は左から4番目、つまり「警戒レベル4」にあたり、「対象地域の住民全員が、安全な場所に避難すること」が必要であるとされています。

反対に「避難はしない」と答えた人は全体で13.5%となりました。

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避難勧告がでていても3割の人は出勤する!

また、仕事をしている人を対象に、災害に関するさまざまな状況を挙げ、それぞれの状況のときに自身が出勤するかどうかを聞いたところ、「避難勧告が出ている時」でも「出勤する」と答えた人は28.7%にものぼりました。

もちろんこれは職種などによると思います。医療従事者や公共機関の職員など、出勤せざるを得ない状況の方も多いでしょう。しかし、自分の命を守らなければならない時だからこそ、どう行動するのが最善か、改めて個人や会社で、防災について考える機会を設けてもよいのかもしれませんね。

■3:不安に思うこと第1位は「家族の安否」!貴重品の紛失も…

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自身の住んでいる地域で自然災害が起こった場合、一番心配なのは「家族の安否」

また、「自身の住んでいる地域で自然災害が起こった場合、どのようなことが心配か」という問いには、第1位が「家族の安否」71.8%、第2位が「家屋の倒壊や破損」65.6%、そして「断水」や「停電」などが続きました。

しかし20代の44.0%が「携帯電話・スマートフォンが使えなくなる」と答えており、先の問いにもあったように、情報ツールとしても、家族との連絡手段としても、とても重要視しているもののひとつのようです。

しかし逆に「貴重品や思い出の品の紛失」は32.1%と、全体的に見ても、比較的低い結果となりました。それに対して、こんな質問を行っています。

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紛失や盗難が心配ではない理由とは?

「貴重品や思い出の品の紛失が心配ではない理由」や「避難中の留守宅での盗難が心配ではない理由」を尋ねたところ、もちろん「命のほうが大切だ」という答えや「貴重品を持っていない」という答えが挙がる一方で、「セキュリティが万全だから」「治安がいい場所だから」などの答えが挙げられているようです。

ところが、災害時には、日頃想定できないような被害や犯罪が発生する可能性があります。実際、大きな災害の際に「停電でマンションのオートロックが使えなくなった」などの事例もあり、「100%安心」という言葉は災害時には通用しません。「火事場泥棒」という言葉もありますよね。

貴重品を持っている人は、なんらかの対策をきちんと講じたほうがよさそうです。

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自然災害に備えて安全に保管したいと思うもの

ではみなさんはどんなものを「貴重品」として考えているのでしょうか。

「自然災害に備えて安全に保管したいと思うもの」の第1位は現金、第2位は「貯金通帳、預金通帳」という回答となりました。そして差が開いて「保険証券」「マイナンバーカード」「土地や不動産の権利書」などが続きます。

また別の質問で、「避難する際に持っていくもの」を質問したところ、「現金」は全体の9割を超えていたものの、「保険証券」は27.2%、「土地の権利書」は11.8%と低い数値にとどまっていたことから、急な災害や避難勧告で、なかなか貴重品の取り扱いまで気が回らない、という人が多いのかもしれません。

■4:自宅に金庫を持つ人は1割強にとどまるが、漂流金庫の返還率は99%!

ちなみに、最後にこんな質問も行いました。

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自宅に金庫がありますか?

「自宅に金庫がありますか?」という問いに対して、あると答えた人は14.2%にとどまっています。

2011年に発生した東日本大震災では、津波等の被害により、財産や貴重品などが流される被害が多発しました。その際、津波等で流されて発見された金庫(漂流金庫)は約5,780個(現金約28億円)にものぼりますが、実にその99%が持ち主の元に返されたそうです。

この「漂流金庫の返還率」を知っていたという人は、本調査に回答した人のうち、わずか5%しかいませんでした。

そして先の「自宅に金庫がありますか?」という問いを、返還率の認知状況別に見ると、「返還率を知っていた人で、金庫を持っている人」の割合が40.0%という結果に! 保管している大切なものが手元に戻ってきやすいことを見聞きし、金庫を利用し始めた、という人も多いのかもしれませんね。

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あなたの災害対策は万全ですか?

地震や台風など、災害への不安が尽きない日本。今は大丈夫だとしても、いつ自分の暮らす地域が災害に巻き込まれるか、それは誰にも予測はできません。

もしもの災害に備えて、「災害に対する対策は十分か」「所有している貴重品は災害の際にはどうするのか」など、自身の災害対策について、改めて見直してみるのもよいかもしれませんね。

■調査概要

調査タイトル/「災害対策に関する意識調査2020」(ディプロマット・ジャパン調べ)
調査対象/全国の20歳〜69歳男女
調査期間/2020年1月17日
調査方法/インターネット調査

問い合わせ先

ディプロマット・ジャパン

この記事の執筆者
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