世界的にもいち早く「サステナブル」の精神を理念に掲げていた「シックスセンシズ」。ブランド初の都市型リゾートとして誕生した「シックスセンシズ シンガポール」は、“都市でよりヘルシーに、豊かに過ごす”ための創意工夫が散りばめられています。今回は9つのポイントから、その見どころをご紹介します!
シンガポールの都市型リゾート「シックスセンシズ シンガポール」の「サステナブル&ヘルシー」な楽しみ方9
■1:歴史的遺産「ショップハウス」に泊まる楽しさ!
2018年12月にオープンした「シックスセンシズ マックスウェル」。そこから徒歩3分のダクストンヒルに同年4月に開業した「シックスセンシズ ダクストン」とともに、2軒を合わせて「シックスセンシズ シンガポール」と呼ばれています。
この2軒の特徴はなんといっても、チャイナタウンの有形文化財「ショップハウス」を改装して建てられている点。今回は「シックスセンシズ マックスウェル」に滞在し、両者を行き来しながら、文化遺産に泊まる醍醐味を心ゆくまで堪能するたびをご紹介します。
■2:世界的デザイナーが手がけるシックで壮麗なインテリア
「シックスセンシズ マックスウェル」はダンジョンバガー地区のクックストリートに位置し、長屋のように細長く連なる「ショップハウス」を大規模なリノベーションを施してオープンしました。
かつては一面のナツメグ畑だったという場所に1927年に建てられた建築物で、こうした貴重な文化財を宿泊施設に利用するのは、シンガポールでは今回で最後なのだとか。
築90余年という建物の歴史を大切に残しつつ、新たな命を吹き込んだのが、世界的に活躍するフランス人デザイナー、ジャック・ガルシア氏。パリの「オテル・コスト」やN.Yの「ザ・ノマド」、モロッコの「ラ・マムーニア」などのデザインで知られ、フランス芸術文化勲章の最高賞も受賞した人物です。
ホテルマニアなら、この優美な色と柄使いに思い当たる方も多いはず。
■3:本物の素材が生み出す、ラグジュアリーな非日常感
「シックスセンシズ マックスウェル」は3〜4階建ての長屋式建物を、実に14軒分も繋いだ細長〜い物件。歴史的建築ゆえ、天井の高さや客室の広さなどさまざまな制限がある中、ホテルに一歩入れば快適さやラグジュアリーさを丁寧に追求していることがわかります。これぞ、ガルシア氏の手腕。
たとえば多様な天然木材使い。ゲストを出迎えるコンシェルジュデスクには栗材を用い、客室のどっしりと厚みのあるドアや壁材は高級木材であるマホガニーを使用。館内の床面は、エシカル素材であるアフリカ産ウエンジ材が使われています。
■4:「サステナブル」と「ウェルネス」が息づく客室の心地よさ
そしてルビーレッドのベルベットを基調にした客室で目を引くのは、有機的な柄のベッドヘッド。カスタムメイドのフランス製刺しゅうが施され、ガルシア氏らしい優美な雰囲気を放っています。
ほかにも天然大理石や真鍮、シルクといった上質な素材が細部まで使われ、心地よい緊張感をもたらしています。これこそ喧騒のチャイナタウンにいながら一瞬にして“非日常感”に誘(いざな)われる、「シックスセンス」流の都市型リゾートの形なのかも。
そして「シックスセンシズ」を象徴するのが「サステナビリティ」「ウェルネス」「コミュニティ」という3つのテーマ。この理念は客室にも反映されています。
プラスチックを極力排除し、ミネラルウォーターもガラス瓶にボトリングされたものを使用。「時には“重くて使いづらい”とお客様から苦情をいただくこともありますが、私たちの大事なポリシーとしてペットボトルは使用しないことをお伝えしています」と広報のジーンさん。
バスルームはUK発「Lafroy Brooks」社製のハンドメイドの洗面台や、どっしりと重量感のあるシャワーヘッドなどを配したクラシックな雰囲気。そしてコーンスターチ製の歯ブラシを始め、シャンプー&コンディショナーはすべて木製ディスペンサーにボトリングするなど、バスアメニティ類にもサステナブルの精神が貫かれています。
ちなみにボトリングされて表記されていませんが、シャンプー類はUK発の自然派コスメブランド「オーガニックファーマシー」のもの。銘柄は出さずとも、隅々まで良質なオーガニック製品がセレクトされていました。
そして安眠への配慮も格別。ホテルマニアにとって興味津々のベッド周りは、「Naturalmat」の極上マットレスに「Beaumont & Brown」のオーガニックリネン、ピローと羽毛布団は「Hanse」製、と名だたる5つ星ホテルが起用する一流メーカーでコーディネイト。ほどよい固さのマットレスとリネンの滑らかな肌触りで、瞬時に爆睡…でした。
■5:ちょっとうれしい「ウェルネス」の贈りもの
また「ウェルネス」的サービスで心に残ったのが、ミニバーに朝と夕2回、そっとサーブされる小さなボトル。目覚めとターンダウンのために作られたホテルメイドのハーブドリンクで、味わいも日々違うため、冷蔵庫を覗くのがちょっと楽しみになりました。こんな心づかいも「シックスセンシズ」ならではですね。
■6:ライブラリーでギルトフリーな朝食を!
ホテルには3つのダイニングと2つのバーがあり、中でも朝食からオールデイで利用できるメインレストランが「Cook&Tras」。 3000冊の蔵書をそろえたライブラリーでもあります。
レストランやバーでは極力、現地の農園から仕入れた新鮮で安全な食材を使い、ヘルシーコンシャスな料理を提供するのが大きな特徴。ここにもまた、「サステナブル」「ウェルネス」「コミュニティ」のポリシーが活かされています。
たとえば「サンライズ ヘルス&ウェルネス」と題された朝食メニューは、食材はすべてオーガニック&無添加であるのはもちろん、乳製品フリー、グルテンフリー、ヴィーガン、ベジタリアン、シュガーフリー対応のメニューを用意している徹底ぶり! 数あるラグジュアリーブランドの中でも、食への意識が高いゲストに愛されている理由がわかります。
■7:「ショップハウス」の“後ろ姿”を眺めてひと泳ぎ
14軒分を繋げたというコンパクトで細長い敷地を巧みに活かして、屋上にはみごとな長方形のラッププールがあります。ここからは普段見ることのできない、美しい螺旋階段が並ぶ「ショップハウス」の後ろ姿が眺められるのもポイント。
プールの向かいにはハーブやリーフ類を栽培するエディブルガーデンがあり、料理やカクテルに積極的に使用しているのもサステナブル的な試みです。
■8:トリートメントでSPAの質の高さを実感
さて、「シックスセンシズ」はSPAのクオリティも、世界的に評価されているブランドです。ゲストのみがアプローチできる密やかな階段を昇って、最上階(4階)のSPAフロアへ。このホテルではオーストラリアの「サトルエナジーズ」を使用し、アーユルヴェーダのメソッドを取り入れたトリートメントが体験できます。
施術には「シックスセンシズ シンガポール」のシンボルとも言える「シンギングボウル」が取り入れられ、まずはこれを奏でて、心身の緊張を解きほぐすところからスタートします。
その土地の伝統を取り入れたトリートメントが特徴の「シックスセンシズ」では、「シンギングボウル」は大切なアイテムのひとつ。その波動は心身を浄化すると言われ、ベッドに横たわり音を聞いていると、体の力がすうっと抜けていく…。
筆者の受けた「シグネチャートリートメント」は、適度な圧と解放を繰り返すマッサージで、筋肉の深部までアプローチするもの。特に疲労の溜まっていた首と腰を、重点的にマークしてくださるのもうれしい。ホットストーンの心地よい温かさと、流れるようなハンドテクニックで、いつしか夢の世界へ…。
施術後、トリートメントの余韻に浸るリラクゼーションルームも、このホテルならでは。通常のスパでは広々とした部屋にベッドが並んでいることが多いですが、こちらは空間に制限がある物件ゆえ、全室個室対応。
狭さを逆手に取った贅沢さと言いましょうか、これがなかなかのVIP感。アフタードリンクの自家製ジンジャーティーも美味しくて、ゆるりとくつろげました。
■9:幸せな1日の終わりは、オリジナルカクテルで
ここ数年、ホテル業界では世界的に「ミクソロジー」がブーム。腕利きのバーテンダーがその土地の個性を活かしたオリジナルカクテルを競うように考案していて、旅の先々でそれをオーダーするのが楽しみのひとつになっています。「シックスセンシズ」のバーもかなり優秀で面白い。
「Cook&Tras」には、ヘッドバーデンダーのリック・パイバ氏によるシグネチャーカクテルが用意されています。
この日、トライしたスロージンとレモンメレンゲを使った「Our Sloe Gin Fizz ‘n’ Tonic」は、甘酸っぱくチャーミングな一杯。たとえ少々飲み過ぎたって部屋はすぐそこ。至福の1日の締めくくりなのでした。
*後編「シックスセンシズ ダクストン編」に続きます。
ホテル詳細
問い合わせ先
関連記事
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 藤森陽子
- WRITING :
- 藤森陽子
- EDIT :
- 石原あや乃