英国紳士・カーナボン伯爵の紳士論

「騎士が生み出した英国紳士の原型。広大な領地を守り、慈しむことで本物の優しさは培われる」

ジョージ・ハーバート第8代カーナボン伯爵とその邸宅ハイクレア城
ジョージ・ハーバート第8代カーナボン伯爵とその邸宅ハイクレア城 撮影/富岡春子

現在、ジェントルという言葉の意味は優しく思慮深い性格をさすが、その源流は中世の騎士道に通じる。そんな言葉も、由緒正しきカーナボン伯爵家の8代目に口にされると、重さが違う。

「騎士道は非常に英国的です。騎士には真のマナーが求められました。それが今の紳士の根本です」。

その昔、王、または女王に所領を与えられ、騎士には、領地と領民に対する責任が生まれた。伯爵は「その責任が紳士の振る舞いをつくった」と言う。また伝統的な英国紳士が田舎の生活を好み自然を愛するのも、騎士が領地と領民を守る過程で自然と人に対する深い思慮と優しさを身につけた名残だという。

ロンドンから西に約100キロ。日本でも大ブレークしたTVドラマ『ダウントン・アビー』の舞台となったハイクレア城がある。言わずと知れた伯爵の住居だが、圧巻は城を囲んだ5000エーカーの大自然。なんと東京ドームが434個も収まる美しい緑の丘陵地帯である。「この屋敷に住む素晴しさは、四季とともに移り変わる自然の美しさを目の当たりにすることです」。本物の英国紳士は、こうしたいにしえの騎士の時代から受け継ぐ広大な自然のなかで、今も存在し続けていた。(文/森 昌利)

撮影/富岡春子
Earl of Carnarvon ジョージ・ハーバート第8代カーナボン伯爵
第8代カーナボン伯爵
1956年11月10日生まれ。ゴッドマザーは現英国女王のエリザベス2世。考古学者であった第5代はハワード・カーターとともにツタンカーメンを発掘。実父の7代目はエリザベス女王の持ち馬の調教師として有名。伯爵の邸宅ハイクレア城は、有名英テレビドラマ『ダウントン・アビー』の撮影に使用され、世界的な名所となった。 
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WRITING :
中野香織
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森 昌利・大平美智子