自分のやりたいことを次々と実現して、充実した人生を送っている人。他方で、毎日、自分のやるべきことに追われるばかりで、「私の人生、こんなはずじゃなかった」と不満をくすぶらせている人。

この両者の違いは一体どこから生じているのかというと、自己肯定感がカギを握っているようです。人生の幸福度を決める要素ともいわれる自己肯定感ですが、あなたは高いほうでしょうか、低いほうでしょうか?

自分自身のことは自分がいちばんよくわからないものですが、実はこの自己肯定感、「口癖」で簡単にチェックすることが可能。

対面や電話カウンセリングなどで「予約が取れないメンタルトレーナー」として人気の古山有則さんによれば、自己肯定感の低い人が使いがちなフレーズがあるとのこと。しかも、その言葉を口にすればするほど、ますます自己肯定感はダウンする一方なのだそう。

今回は、古山さんから教えていただいたNGフレーズ6つをご紹介します。

自分にいくつ当てはまるか、またどうすれば自己肯定感を上げられるのか早速チェックしていきましょう!

どんどん自己肯定感が下がってしまう!「NGな口癖」6選

■1:「どっちでもいい」

本当に好きなのはどっち?
本当に好きなのはどっち?

「まず、自己肯定感が高い人の特徴として、自分がどうしたいかという気持ちを尊重して、主体的に自らの行動を決められるという点が挙げられます。逆に、自己肯定感の低い人は『どうする?』『どうしたらいい?』『どっちでもいい』と、すぐに相手に判断を委ねてしまいがちです。

たとえば、私のもとにはクライアントから、『転職しようか迷っているんですけど、どうしたらいいと思いますか?』という相談がよく寄せられます。しかも、仕事において自分のしたいこと、やりたくないことが、ある程度、明確に定まったうえでの相談ではなく、相手に決断を丸投げするようなケースがかなり多いのです。

転職って人生のターニングポイントともいえるイベントで、本来、人から言われてどうこうするものではありませんよね。だから、私はいつも『それを決めるのは、あなたですよ』とアドバイスするようにしています。

このように、重大なテーマについて自分で決められない人は、ランチに何を食べるのかなど日常生活のささやかな決め事でも、他人任せにしているのではないでしょうか。

たとえば、『今日のお昼どうする?』と問いかけ、相手が『うーん。イタリアンか中華かなあ』と答えたら、『どっちでもいい』という具合に……。

こうした小さな決断を相手に委ねることが習慣化すると、ついには転職のような大事な決断をも他人任せになってしまい、自分主体の生き方ができなくなります。人に決められるままの人生では当然、大きな充足感を得ることはできません。

他人軸ではなく自分軸の人生を送るためには、まずは日頃から『どっちでもいい』を禁句とすること。相手やまわりがどう思うかではなく、『私はどう思うか?』と自分を主語にすることは、自己肯定感を高めるうえで不可欠だといえるでしょう」(古山さん)

■2:「お買い得」

「お買い得」を追い求めるほど自己肯定感が下がる
「お買い得」を追い求めるほど自己肯定感が下がる

「これは口癖というか、マインドの問題なのですが、お買い物をする際、安いかどうかを基準にしがちな人は自己肯定感が低いといえます。そういう意味で、『お買い得』とか『コスパ』という口癖は要注意です。

たとえば、閉店間近のスーパーや、デパ地下で半額になっていたお惣菜をただ『安売りだから』という理由で買ったとします。

この場合、本当に食べたくて買ったわけではないので、賞味期限内に食べきれず、捨てる羽目になることも多いですし、あるいは、『捨てるのはもったいなから』という義務感から食べたものは、あまりおいしくありませんよね。お買い得のはずが、金銭面でも満足度においても、損してしまうのです。

また、『安いから買う』という発想では、値段ばかり気になって、本当に自分の好きなもの、欲しいものを見失ってしまうという弊害があります。

食べ物だけでなく、洋服でも、インテリアでも何でも、本当は自分が好きじゃないものばかり買ってしまう。これでは、自己肯定感の高まりようがありません。自己肯定感を高めるには、『自分はこれが好き』『これが欲しい』という感覚を大切にしましょう。なるべくセール品ではなく、定価で買うことをおすすめします」(古山さん)

■3:「普通~~だよね」

自分にとっての「普通」にとらわれていませんか?
自分にとっての「普通」にとらわれていませんか?

「『普通~~だよね』という口癖における“普通”とは、その人にとっての常識でしかありません。このフレーズが口をついて出る人というのは、自分の狭い常識の枠にとらわれてしまい、何か問題が生じたときに、そこから抜け出すことができず、自己肯定感の低下を招きがちです。

悩みを抱えたクライアントに対し、私が『〇〇してみてはどうですか?』と提案すると、『えっ、普通は~~ですよね』と、自分の常識に合わないことへの拒否反応が返ってくることが少なくありません。

そこで、自分の常識の枠を取り払って、『今までの自分の発想にはなかったことだけれど、やってみよう』となれば、打開の道が切り開かれるかもしれないのに、『自分の常識に反する→やらない』と思考停止してしまうのはもったいない気がします。

何か物事がうまくいかないとき、人に相談する以外に、本を読んだり、ネットで情報を探ったりなど、いろいろ解決策はありますが、どの方法をとるにせよ、『普通~~だよね』という発想では、どんなに有益なアドバイスや情報でも、自分の常識に合わなければスルーしてしまう危険性大です。

今までの自分のやり方ではうまくいかないからこそ悩んでいるのに、それでは問題が一向に解決しないし、自分の成長にもつながりません。

何をやってもうまくいかず、『自分はなんて価値のない人間だ』と落ち込んでいる人は、『普通~~だよね』という思考にとらわれていないか?振り返ってみましょう」(古山さん)

■4:「検討します」

決断の先延ばしは自分も相手も損する
決断の先延ばしは自分も相手も損する

「もうひとつ、人から何か提案されたときのフレーズとして『検討します』がありますが、これも自己肯定感の低い人にありがちです。

『検討します』と言う人の本音は、『何だか嫌だなあ。でも、今この場ではっきり断るのは気が引けるし……』といったところではないでしょうか。私もクライアントからこのフレーズをよく聞きますが、その後、『検討の結果、やってみることにしました!』という反応が返ってくることは、ほぼゼロです。

自己肯定感が低い人というのは、自分に自信がないから、嫌なことでもはっきりとNOを示すことができず、先延ばしの方便として『検討します』と答えるのでしょう。

しかし、このフレーズは、提案した相手を待たせることになりますし、自分にとってプラスとなりうることがらを反故にしてしまうという点で、自他ともに損にしかなりません。

たとえば、私が主宰するメンタルトレーニングの講座で、定員3名のところ150名の応募があったときのことです。応募者の1人に『受講されますか?』とコンタクトをとったところ、なぜか『検討します』と渋ってしまい、そのまま回答がなかったので、別の人が受講することになったことがあります。

決断や拒否が苦手な人にとって『検討します』は便利なフレーズですが、相手に迷惑をかけないためにも、自分の可能性を広げるためにも、ただ先延ばしにするのではなく、『3日以内にお返事します』など、期限を設定する言葉を添えましょう

あるいは、何かしら不安があって即答できないときは『実は~~という点で迷っています』と自分の思いを打ち明けてみるのもおすすめです。

そうすれば、相手は『なるほど、~~でお悩みなのですね。その点については……』と、判断材料をいろいろ提供してくれるかもしれません。このように率直にコミュニケーションととっていけば、最終的にYESでもNOでもお互いにとって、納得のいく結論になるのではないでしょうか」(古山さん)

■5:「なんでわかってくれないの?」

相手を責めるよりも自分を変える
相手を責めるよりも自分を変える

「これは、仕事にせよプライベートにせよ、人間関係に悩んで自己肯定感を低める人からよく聞くフレーズです。

『私のことをわかってくれない』と不満な人は、相手に自分を理解してほしいという気持ちが強いあまり、自分のほうが相手を理解しようという姿勢に欠けるといえます。

そんなスタンスで接しては、相手から理解してもらえるどころか、余計に避けられるのが関の山。すると、ますます『やっぱりわかってもらえない!』という被害者意識をこじらせたり、自己肯定感を低めたりという、完全な悪循環に陥ってしまいます。

職場の上司の頭が固いとか、いくら指導しても部下がついてこないなど、相手が自分の思い通りにならないことに悩んでいる人は、『相手が自分をわかってくれない』から『自分がどうやったら相手にわかってもらえるか』に発想を切り替えましょう」(古山さん)

■6:「明日から~~やろう」

「明日からやろう」は永遠に実現しない
「明日からやろう」は永遠に実現しない

「何か自分がやりたいこと、挑戦したいことがあっても、なかなか行動に移せない。その結果、『自分には何もできない』と自己肯定感を低める人にありがちなフレーズが『明日から~~やろう』です。

人間は習慣の生き物。いくら『明日からやろう』と気合を入れても、翌日には翌日の都合がありますし、やらなければいけない日常のタスクを優先させ、『明日からやろう』と思っていたことは後回しになりがちです。これでは本当に、自分がやりたいことを実行できる日は永久に訪れません。

『明日からやろう』ではなく、自分の願望を実現するために、『今すぐできることはないだろうか?』とちょっと考えてみましょう

たとえば、『明日からダイエットのため運動しよう』ではなく、スクワットを1回だけやってみる。エレベーターのかわりに階段を使ってみる。『明日から読書しよう』ではなく、1ページ、1行だけでも今すぐ読んでみる。

こんな感じで、自分のやりたいことを実現するスモールステップを積み重ねていくのは、その過程自体が楽しいものですし、自己肯定感を高めることにもつながるでしょう」(古山さん)

以上、自己肯定感を低めるNGフレーズをご紹介しましたが、あなたはいくつ当てはまりましたか? この機会にぜひこうした口癖は封印して、自己肯定感も人生の満足度も高めていきましょう。

古山有則さん
メンタルトレーナー
(こやま あきのり)大学院修了後、相続専門税理士法人に勤め独立。燃え尽き症候群、円形脱毛症などの挫折経験をきっかけに、独自のメンタルトレーニングを導き出す。自己肯定感に関する恋愛、復縁、人間関係の悩みについてインスタグラムで発信を行い、人気に。心を鍛える「古山塾」主宰でもある。著書に『嫌いな人がいる人へ 自分を知って生きやすくなるメントレ』(KADOKAWA)がある。
この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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