「滑稽(こっけい)」「稽古(けいこ)」のもともとの意味は? えっ、そんな意味だったとは!
本日4月16日は『チャップリン・デー』…世界の喜劇王として名高い、チャールズ・チャップリンの誕生日です。チャップリンの名言に、こんな言葉があります。
『このひどい世の中、永遠のものなんてないのさ。我々のトラブルさえね』
今、まさに、我々を勇気づけてくれる言葉ですよね?
チャップリンが世界的スターとして活躍したことは皆の知るところですが、彼の成人までの道のりは苦難に満ちたものでした。
1歳の時に両親が離婚、母子家庭となるも、幼少期に母が精神に異常をきたし、兄とともに貧民院や孤児学校を転々とした。
…そんな生い立ちに負けず、人々に「笑い」というギフトを贈り続け、時には命がけともとれるほどの風刺を込めた作品を送り出し、人々を啓蒙した人生。チャップリンは、ノーベル平和賞に推薦されたこともあるのです!
チャップリン作品には、今見ても新鮮に心から笑わされてしまいますし、考えさせられます。家ごもり中の映画鑑賞にいかがでしょうか?
…というところで、本日の日本語クイズ1問目です。
【問題1】「滑稽(こっけい)」という言葉のもともとの、意外な意味は?
滑稽」という日本語の、本来の意味を、以下の選択肢の中から選んでください。
1:言葉がなめらかで知恵がある
2:舞台から転がり落ちる
3:もの覚えが悪い
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 1:言葉がなめらかで知恵がある です。
「滑稽」という言葉は、現在は「おかしいこと」「おどけたこと」を意味しますが、
実は「滑(なめ)らか」「稽(かんが)える」という漢字を合わせた熟語で、
もともとは「言葉が滑らかで知恵がある」=知識人に使われる尊敬の言葉だったのです。
「稽(かんが)える」という字は「稽古(けいこ)」という単語にも使われる漢字です。演劇などの「稽古」は、今では「練習」という意味合いで使用される言葉ですが、
もともとは「古い(以前)のものと比べ、かんがえる」という成り立ちの言葉です。練習を重ねていく経緯で「以前の回と比べて、より良くなるよう考える」という知的な過程を表現する言葉が「稽古」だったのです。
チャップリンは本来の意味での「稽古」にこだわる人で、『街の灯』という作品では、たった3分の出会いのシーンを1年かけて撮り直し続けた、という逸話が残っています。
今般のコロナ禍で他界された日本の喜劇王・志村けんさんも、追悼番組などで、人々に笑いを届けるために稽古を惜しまなかった姿勢や、「笑い」を職業に選ぶまでのご苦労、その生い立ちから培われた他者への優しさなどが報道されています。
「滑稽」=「言葉が滑らかで知恵がある」という本来の意味を、体現したかのような先人たちですよね?
さて、2問目は、「滑稽」にちなんだ、やわらかめの問題と参りましょう。
【問題2】「滑々」ってなんと読む?
「滑々」という漢字には、二通りの読み方があります。ひとつは「すべすべ」、もうひとつは何でしょうか?
ヒント:「すべすべ」は、「滑(なめ)らかな状態」の気持ちのいいバージョンの擬態語ですが、もうひとつの読み方は気持ちの悪いバージョン、というイメージの擬態語で、「すべすべ」に湿り気を伴うような状態を表します。
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 滑々(ぬめぬめ) です。
正解できましたか?
「滑」という漢字の訓読みには、「滑(なめ)らか」「滑(すべ)る」「滑(ぬめ)る」があります。
後者二つの読み仮名の重ね言葉が「すべすべ」「ぬめぬめ」です。
本日は喜劇王のバースデーにちなんで、
・滑稽(こっけい)
という言葉を深掘りしつつ
・滑々(すべすべ、ぬめぬめ)
という、印象が正反対の読み仮名を持つ難読熟語をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱