2020年の新作にラインナップされた「マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887」は、天才時計師アブラアン-ルイ・ブレゲが発明したトゥールビヨンをはじめ、パーペチュアルカレンダー、イクエーション・オブ・タイムを搭載する革新的な複雑機構を備えたグランド・コンプリケーションだ。
世紀を超えた技術の美学!羨望のスポーティーコレクション
ブレゲ「マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887」
「イクエーション・オブ・タイム」とは均時差表示ともいわれ、1日を24時間で区切った「平均太陽時」と、太陽が南中して次に南中するまでの時間に基づく「真太陽時」との差を表示する機構のこと。ダイヤルのセンターには2本の分針があり、ひとつは「平均太陽時」を示す通常の分針で、先端に太陽のアイコンを配した第2分針により、「真太陽時」との均時差を表示する。
イクエーション・オブ・タイムの表示は、パーペチュアルカレンダーと連携し、曜日と月は、小さな窓で、日付は、月末まで進むと瞬時に1へと戻る“レトログラード”で表示される。
ムーブメントは、超薄型の自動巻トゥールビヨン・キャリバー581から派生したキャリバー581DPEで、基本となる設計コンセプトは、1801年にアブラアン-ルイ・ブレゲが特許を取得した方式を継承。時計の歩度を制御するテンプ、ひげゼンマイ、脱進機一式をキャリッジに収納し、1分間で1回転させることで、重力の影響で生じる誤差を解消する仕組みになっている。
一方で、チタン製のキャリッジやテンプ、シリコン製脱進機といった最新のテクノロジーが用いられ部品数は563個に及ぶ。キャリッジが外周の歯車で駆動するようにトゥールビヨン機構自体も設計し直され、トゥールビヨンがあたかも宙に浮いているかのように見える。
ケースの薄型化を図るため、香箱の周囲に新たに溝を設け、香箱を外から3個のベアリング・アセンブリーで支えることにより厚みを25%も削減している。
海洋から着想した大胆な「マリーン」デザインを継承
ケースには18Kローズゴールドを採用し、ケースバンドに繊細なフルート装飾が施される。ダイヤルはスレートグレー仕上げのゴールド製。中央に手彫りギヨシェで波頭モチーフのウェーブ模様が細越され、アプライドのローマ数字や先端に月のモチーフをあしらったブレゲ針はローズゴールドで仕上げられている。ローマ数字のチャプターリングと蓄光インデックス、ファセットを加えた18Kゴールド製の蓄光ブレゲ針、8時位置にあるゲージ型のパワーリザーブ表示などを絶妙なバランスで配置。ブレゲの意匠ともいえる個別番号とBreguetのサインがラグジュアリーに磨きをかける。
ケースバック側には、かつてのフランス海軍の旗艦「ロワイヤル・ルイ」がムーブメントのブリッジを横断して彫られ、ムーブメントが組み上がったときに絵の各エレメントが完璧に整列するように配置。香箱蓋には手彫りのコンパスローズ(羅針図)のモチーフが、プラチナ製のペリフェラル・ローターにもブレゲ伝統のギヨシェ彫りと彫金が施され、ムーブメントのアートワークを隅々まで遮られることなく見渡すことができる。
時計全体がフランス海軍のマリン・クロノメーター開発の功績に対し、1815年、フランス国王のルイ18世から“王国海軍時計師”に任命された、アブラアン-ルイ・ブレゲの偉大なる遺産へのオマージュにもなっている。
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- TEXT :
- 安藤政弘 ライター