新型コロナウイルスによる外出自粛要請に伴い、リモートワークを余儀なくされたことで生じた環境の変化に戸惑いを感じる人は多い。その戸惑いのひとつに、ファッションもある。そこで、「WORK STYLE REFORM ~働き方が変わる。スタイルが変わる。」を提唱し、働く場所とスタイルの自由度が増してきた昨今のファッションを考えてきた三陽商会に取材した。協力してくれたのは、マッキントッシュ ロンドン、ポール・スチュアート、エポカ ウォモのプレスの皆様。まずは、3月初めから実際にリモートワークに入ったという、各々の体験をもとにした提案と配慮すべき点を挙げてもらった。

「自宅とはいえ、リモートワーク中は勤務中。自分へのけじめとともに、相手に見られることもある状況であることを自覚することが大切。」

「友人に話を聞くと、1日に数回、ZOOMやSKYPEなどのオンライン会議が入り、30分後にミーティングという突然の招集がなされることもしばしばとか。そんなとき、あまりにリラックスした服装で参加してもちょっと説得力に欠けるし、印象も良くない。」

「オンライン会議の依頼に備えるためにも、ジャケットを着る、もしくは傍に用意しておく。」

「相手への配慮と自分へのモチベーションを保つためにはジャケットが最適ですが、デスクワークが中心になるので、シワになりにくく、軽くて、快適な着心地のジャケットを選びたい。」

「ジャケットは『きちんと感』の出る色味がいい。やはり、基本はネイビーやグレー。」

「インナーには、バンドカラーシャツやシンプルなカットソーで抜け感をだしても よいかも。オンライン会議の写り映えも考えて、色や柄で個性を出す工夫も欲しいところ。」

「オンライン会議時では、PCカメラの性能によって顔も服も暗く見えがち。なので、窓際の顔に光が当たる位置に行ったり、明るめのネイビー系の服で清涼感もプラスするのもおすすめ。」

 オンライン会議さながら、それぞれに考えを挙げてくれたが、ここからは、これらを反映させたコーディネートをお見せする。基本は、春から夏にかけての着こなしが楽しめるジャケット・スタイル。とくに、ジャケットとインナーが作り出すVゾーンがオンライン会議での大切なポイントとなる。ぜひとも参考にしたい。

Vゾーンを意識したコーディネート4選

■1:マッキントッシュ ロンドン

ジャケット¥49,000・シャツ¥23,000・パンツ¥23,000(SANYO SHOKAI カスタマーサポート〈マッキントッシュ ロンドン〉) 靴¥53,000(三陽山長 日本橋高島屋S.C.店) 眼鏡¥14,800(ロックスタージャパン〈グラントレス〉)
ジャケット¥49,000・シャツ¥23,000・パンツ¥23,000(SANYO SHOKAI カスタマーサポート〈マッキントッシュ ロンドン〉) 靴¥53,000(三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店) 眼鏡¥14,800(ロックスタージャパン〈グラントレス〉)

ネイビーのフレックスジャージーのジャケットは本格的なテーラードの仕立て。全体のシルエットの美しさはもちろん、よれにくいラペル、肩パッドを使用しないナチュラルショルダーながら立体的な肩回りが特長。Vゾーンからのぞくシャツはバンドカラー。高級感がある平織りのシャンブレー地は、洗い加工により今風の抜け感もあるのが大きな魅力だ。

■2:マッキントッシュ ロンドン

ジャケット¥69,000・ニット¥23,000(SANYO△SHOKAI△カスタマーサポート〈マッキントッシュ△ロンドン〉電話 0120-340-460)、パンツ¥23,000(ポール・スチュアート△GINZA△TIMELESS△8店 電話0120-340-460)、靴¥36,000(三陽山長△日本橋高島屋S.C.店〈ヤマチョウ・メイド〉電話03-6281-9857)
ジャケット¥69,000・ニット¥23,000〈マッキントッシュ ロンドン〉・パンツ¥23,000〈ポール・スチュアート〉/SANYO SHOKAI カスタマーサポート、靴¥36,000(三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店〈ヤマチョウ・メイド〉)

遠目にグレーに見えるジャケットは、実は、モノトーンのグレンチェックのシアサッカー。軽さと清涼感のある素材の持ち味を生かし、芯地を最小限におさえ、袖裏も省くというシャツジャケット仕立てになっている。インナーは白のクルーネック・ニット。リブ組織なので伸縮性が非常に優れ、着用感はストレスフリー。なにより、広すぎず、程よく首もとにフィットするネックの開き具合が絶妙。優しさと知的さを持ちあわせたVゾーンといえよう。

マッキントッシュ ロンドンのアイテムは公式オンラインストアで購入できます

マッキントッシュ ロンドン 公式オンラインストア

■3:ポール・スチュアート

ラミーバスケットジャージジャケット¥63,000・ボーダーTシャツ¥9,000・パンツ¥23,000(ポール・スチュアート△GINZA△TIMELESS△8店 電話03-5537-5634)、靴¥36,000(三陽山長△日本橋高島屋S.C.店〈ヤマチョウ・メイド〉電話 03-6281-9857)
ラミーバスケットジャージジャケット¥63,000・ボーダーTシャツ¥9,000・パンツ¥23,000(SANYO SHOKAI カスタマーサポート〈ポール・スチュアート〉)、靴¥36,000(三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店〈ヤマチョウ・メイド〉)

明るいグレーのジャケットは麻ベースのバスケット編みのジャージー素材。芯地を極力省いた軽い着心地のアンコン仕立て。さらに裏地もストレッチ素材という、動きやすさが嬉しいコンフォータブルなアイテム。Vゾーンからのぞかせたのはマイクロボーダーのカットソー。カジュアルすぎないリラックス感を表わした組み合わせだ。そして、椅子に座ったら相手には見えないかもしれないボトムスには、この春イチ押しのカラー、ミントグリーンのコットンパンツを。気持ちが上向きになること請け合いだ。

ポール・スチュアートのアイテムは公式オンラインストアで購入できます

ポール・スチュアート 日本公式オンラインショップ

■4:エポカ ウォモ

ジャケット¥39,000・ヘンリーネックTシャツ¥21,000・ドローコードパンツ¥23,000・スニーカー¥39,000(SANYO SHOKAI カスタマーサポート〈エポカ ウォモ〉)

ジャケットは、凹凸感のあるワッシャー加工が施されたサッカー地にオリジナルのプリントを施したもの。その独特なニュアンスが魅力。なにより、ストレッチ性と軽い着心地が、長めの時間パソコンに向かうリモートワークには嬉しいポイントだ。インナーは長袖のヘンリーネック、ボトムスはストレッチ性のあるレザーストラップ付の楽チンパンツ。全身をネイビー系でまとめているが、とくにVゾーンは、それぞれの素材の表面感の違いがつくりだす陰影が、清涼感と色気を漂わせる。

エポカ ウォモのアイテムは公式オンラインストアで購入できます

エポカ ウォモ  公式オンライストア

 以上、4つのコーディネイトを紹介したが、自宅内でのリモートワークなのに靴を合わせているのは、靴は紳士の装いに絶対不可欠なものであるから。そして、この着こなしは、本来、春の日差しをうけて歩く日にふさわしいものであるからだ。

 とくにルールや、外出用との区切りのないリモートワーク・スタイル。個性は大切だが、悪目立ちしないことも心しておきたい。最後に、担当者から挙がったこんなコメントを載せておく。

「長引く外出自粛で籠りがちになる気持ちを解放するためにも、これまで以上にファションを楽しみ、リモートワークにおけるスタイルの守るべき基準を自分なりに決めておくとよいでしょう」

※価格はすべて税抜です。

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この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。
PHOTO :
島本一男(BAARL)
STYLIST :
河又雅俊