『大地』を皮切りに! 三種三様の三谷幸喜作品、三か月連続上演!

三谷幸喜
三谷幸喜

3月に新たに再始動した東京・渋谷のPARCO劇場。6月からは、旧劇場でも数々のスマッシュ・ヒットを放ってきた劇作家・演出家、三谷幸喜が、芝居&ショー&文楽と、ジャンルの異なる三作品を三か月連続で上演します。

■1:大泉 洋、山本耕史らが出演する群像劇『大地』

『大地』
『大地』

『大地』は、とある共産主義独裁国家において、反政府主義のレッテルを貼られた俳優たちが強制的に集められ、収容された施設が舞台。さまざまな理由によって俳優という職業を選び、生きてきた人々が、「演じる」ことを禁じられるという極限状態におかれて織りなす群像劇です。

旧劇場においても、『笑の大学』『国民の映画』といった作品で、権力に対峙する芸術のありようを鋭く切り取ってきた三谷ならではの辛口俳優論、舞台論に大いにしびれたいところ。

本作に出演する大泉 洋はこれがPARCO劇場初登場、三谷作品は『おのれナポレオン』以来7年ぶりとなる山本耕史、三谷作品での活躍もおなじみの藤井隆、相島一之、浅野和之といった手練れのキャストが顔をそろえています。                 

■2:川平慈英&シルビア・グラブが歌って踊る『三谷幸喜のショーガール』

『三谷幸喜のショーガール』
『三谷幸喜のショーガール』

7月からの『三谷幸喜のショーガール』は、かつて旧劇場で14年にわたって上演されていた人気シリーズ『ショーガール』に三谷がオマージュを捧げ、2014年から新たなシリーズとして上演しているもの。

『大地』終演後の遅い時間に上演される、大人のための小粋なショーで、生演奏で歌われる、スパイシーでちょっぴり毒の効いた歌詞のオリジナル・ソングも楽しみな限り。シリーズ化して以来、出演しているのは川平慈英&シルビア・グラブ、歌って踊って芝居して、ふたりの息の合ったコンビぶりも見どころです。

■3:『曾根崎心中』の続編?人情物語『其礼成心中』

『其礼成心中』
『其礼成心中』

そして8月には、2012年に旧劇場にて初演され、全国各地でも上演されてきた三谷文楽『其礼成心中』が再び登場。文楽で多い「心中物」をこれまた三谷らしい視点で料理した作品で、彼が文楽人形という存在に注ぐ温かな眼差しも心に響くところです。

三谷は、1月に行なわれた新生PARCO劇場のお披露目&オープニング・シリーズ記者会見では、眼鏡を着用したキュートな文楽人形「三谷くん」と共に登場し、腹話術(?)を披露。劇場に備わった新たな設備(すべて架空のもの)を紹介したり、大泉 洋と笑いを誘うやりとりを展開するなどハイテンションで、新劇場へかける並々ならぬ意気込みを大いにアピールし、PARCO劇場への思い入れの深さを感じさせました。3か月の大奮闘に大注目、大期待です。

Information:PARCO劇場オープニング・シリーズ 三谷幸喜三作品三か月公演

『大地』

舞台、映画、ドラマなどで俳優を見続けてきた三谷幸喜だからこそ描ける、書き下ろしの新作は「三谷流俳優論」。とある共産主義国家で独裁政権が遂行した文化革命のなか、反政府主義のレッテルを貼られた俳優たちが収容される施設があった。そこは、政府監視下にあり、自給自足を強いられる。しかし、彼らを何より苦しめたのは「演じる」ことを禁じられたことだった…。「三谷流俳優論」とも言える、歴史と芸術を巡る群像劇。

出演は大泉 洋、山本耕史、竜星 涼、栗原英雄、藤井 隆、濱田龍臣、小澤雄太、まりゑ、相島一之、浅野和之、辻 萬長ほか。

 

PARCO MUSIC STAGE『三谷幸喜のショーガール』

PARCO劇場の歴史を語る上で欠かせない舞台『ショーガール』。福田陽一郎の脚本・構成・演出で上演し続けられた傑作で、大人の恋の物語を歌と踊りでつづった作品。そんな福田陽一郎の意思を継ぐ形で、新生『ショーガール』として2014年に初演。開演は22時で、真夏の夜の1時間、大人のショータイムが楽しめる。

出演は川平慈英、シルビア・グラブ。

 

三谷文楽『其礼成心中』

元禄16年、近松門左衛門の『曾根崎心中』の大ヒット後、物語で男女が心中する舞台となった場所の近くで饅頭屋を営む夫婦がいた。心中する男女が増えるにつれ、饅頭屋は縁起が悪いということで客足が遠のき、店が傾き始めていた。ある日、我慢できなくなった饅頭屋の親父は心中しようとする男女を思い留まらせることから、そんなことが何回か続いた後、饅頭屋は繁盛し出して…。曾根崎に暮らす市井の人々の笑と涙にあふれた人情物語。

出演は竹本千歳太夫、豊竹呂勢太夫、豊竹睦太夫ほか。

 

 

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この記事の執筆者
TEXT :
Precious編集部 
BY :
『Precious6月号』小学館、2020年
美しいものこそ贅沢。新しい時代のラグジュアリー・ファッションマガジン『Precious』の編集部アカウントです。雑誌制作の過程で見つけた美しいもの、楽しいことをご紹介します。
WRITING :
藤本真由(舞台評論家)
EDIT :
宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)