まるで絵画のようなガラス装飾は圧巻
ルネ・ラリックは1860年、フランス、シャンパーニュ地方の小さな村に生まれました。その後、両親の仕事のために幼少期をパリで過ごし、宝飾細工師のもとでの学びなどを経て、1882年にジュエリーデザイナーとして独立します。
当時のヨーロッパを席巻していたのが、「新しい芸術」という意味をもつ美術様式「アール・ヌーヴォー」。草花や昆虫など自然界にあるモチーフを用いた装飾表現です。展覧会の第1章では、「ガレとドーム/情景を描く」として、ラリックに先駆けて活躍していたエミール・ガレとドーム兄弟の作品や、アルフォンス・ミュシャのポスターなどを展示。急激な近代化により、人々のライフスタイルが激変していく時代の空気を感じることができます。細密な装飾が施されたガラス作品の数々には目が釘付けに!
みずみずしいジュエリーと美しい色合いのガラス作品
第2章「ラリック/ジュエリーからガラスへ」では、ラリックのジュエリーと、本格的なガラスのデザインを始めるきっかけとなった香水瓶、そして、ガラスのもつ輝きと透明感のある色彩を生かしたガラス作品を紹介します。
ジュエリーでは、ガラスなど新しい素材を用いた大胆なデザインで人々を魅了したラリック。代表作のひとつである『ブローチ 翼のある風の精』は、上半身をひねり、ふわりと舞い降りたような風の精の表現が秀逸。七宝にダイヤモンドを組み合わせた翼もエレガントで、じっくりと見入ってしまいます。
絶妙な照明も相まって”うっとり”が止まりません
時代の気分は装飾性の高いアール・ヌーヴォーから、幾何学的で洗練されたアール・デコへ。ラリックの作品も、ボリュームのあるダイナミックなデザインや、魚や鳥など生き物を抽象化したモチーフなど、新しい表現へ移行していきます。
第3章「時代とともに/ラリックとアール・デコ」では、この時代のラリックを代表する名品がずらり。なかでも宝石のオパールのように見えるオパルセント・ガラスを用いた『花瓶 オラン』は、ため息が出るほどの美しさ。厚みのある花の部分はオレンジがかった乳白色、薄い葉の部分は青系の乳白色になっていて、光によって色合いが繊細に変化します。上から見たり横から見たり、近づいたり離れたり…。表情の違いを楽しんで。
そして、ガラス作品の魅力を最大限に引き出しているのが、美術館専門の照明デザイナーによるライティング。作品そのものはもちろん、ガラスを透過した光、作品が生む影までも美しく、ドラマティックな展示空間に魅了されます。この場所、この展覧会でしかできない鑑賞体験。ぜひ足を運んでください。
◇Information
ルネ・ラリック展ーガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術ー
会場/国立工芸館
期間/開催中〜2026年6月14日(日)
開館時間/9:30〜17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜日(ただし4月27日、5月4日は開館)、5月7日
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般¥1,200ほか
住所/石川県金沢市出羽町3-2
- EDIT&WRITING :
- 剣持亜弥

















