新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、「人との接触を8割減」という目標のなか、私たちの生活は一変しました。
学校は休校となり、会社もリモートワークが推奨され、不要不急でない買い物さえも3日に1回程度。変化に乏しいおうち時間が続き「今日は何日? 何曜日?」なんて、日付や曜日感覚が薄れてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「外出の機会が減り、人との触れ合いも制限され、祇園祭や阿波踊りなど地域の祭事が次々と中止になっていく日々が続くと、ゆくゆくは季節感すら感じなくなってしまうのでは……」と危惧したのが、「水にこだわる高級食パン」で有名な高級食パン専門店「銀座に志かわ」です。
古来、日本人は夏至・冬至・春分・秋分に代表される1 年を24 等分した二十四節気や、それを補う土用・八十八夜・入梅・半夏生・二百十日などの雑節を生活に取り入れ、自然のリズムとともに暮らしてきました。
しかし、デジタル化や地球温暖化による気候変動などで、近年暮らしのリズムが失われつつあるなかで、さらに今回の自粛生活。いま必要なのは生活のリズムを取り戻すことだと考え、「銀座に志かわ」は毎月1日に千社札(別名:朔日札)を配布することを決めたのです。
千社札って何?
千社札とは、神社仏閣に参拝したことを記念して柱や天井などに貼り付けるもので、長方形の札に自分の名前・住所・屋号などを記したもの。
江戸時代、「参拝した証を残すことでご利益をいただこう」という考えとともに、千社札もまた広まったといいます。それが近年は「ミニ千社札シール」として舞妓さんや芸者衆の間で広まり、落語や歌舞伎界でも愛用者が増加。趣味で収集している方も多くいるようです。
毎月1日から配布する「千社札」。5月のテーマは「菖蒲」
今回、銀座に志かわの千社札を手掛けたのは、「ミニ千社札シール」の発案者であり、第一人者である橘右之吉さん。柔らかいタッチの江戸文字に添えられる月替わりの図案にも注目で、5月のテーマは「菖蒲」です。
「菖蒲は言わずと知れた端午の節句で菖蒲湯に使う季節の花。そして、菖蒲は『尚武』の文字も当てられ、災いよけに軒端に刺してみたり、屋根に上げるお宅もありました。つまりは、折からの新型コロナウイルスの脅威に立ち向かうという意味を込めて、『魔除けの菖蒲』を描いてみました」と橘右之吉さんは語ります。
江戸文字にしては少し柔らかく書いたというその理由は、「なんたって銀座に志かわの食パンは柔らかいですからね」とのこと!
また、「食パン」という文字のバックの薄いこげ茶色はパンの耳をイメージ。江戸時代には奢侈禁止令といって贅沢が禁じられたことがあり、絵を描く際に茶色とねずみ色しか使えなくなったそうですが、それゆえに茶色は48色、ねずみ色は100色以上も編み出されたのだとか。今回、同じ食パンの「こげ茶色」といっても月ごとに変化していくのだそうで、それも楽しみのひとつですね。
に志かわの千社札は別名「朔日札(ついたちふだ)」と言いますが、「朔日」というのは大陰暦で「月の第一日」という意味。つまり月の形で言えば「新月」の日に配布することを当初は考えていたそうですが、生活のリズムを整える目的から、慣れ親しんだ太陽暦で毎月1日に配布することを決定。
ただし、初回の5月だけは準備の都合により、13日(水)から配布をするそうです。
ちょっとした手土産に、ちょっとした話題と気持ちをプラス!
「素材の旨みを引き出せるけれども、扱いが難しいためパンづくりには不向き」と言われていたアルカリイオン水を使用し、独特のしっとり感や繊細なくちどけを生み出した「銀座に志かわ」の食パン。
ちょっとした手土産にも大人気の商品ですが、千社札をさりげなく一緒にお渡しすれば話題にもなりますし、何よりもらった側もきっと幸せな気持ちになるはずです。
常に本物にこだわり、「食」を通じて日本の伝統文化を新しい形で表現し続ける「銀座に志かわ」。これからはレトロ可愛い「千社札」欲しさに、買いに行ってしまう方もいるかもしれません。食パン購入者に対し、各店舗1000枚の限定配布なので、気になる方はお早めに。
5月の絵柄は「菖蒲」ですが、さて6月は……? 毎月の楽しみになりそうですね。
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- Precious.jp編集部