多くのジーンズ愛好家から絶大な支持を得ている「桃太郎ジーンズ」。同ブランドを展開するジャパンブルー(本社・岡山県倉敷市児島)が2011年に新たにスタートさせたのが、『JAPAN BLUE JEANS』。当時、岡山・児島産のデニムはすでに海外の一流ブランドからも認められる存在だったが、メイド・イン・ジャパンの品質の高さをさらに世界の広めようと誕生させた、海外戦略用のブランドだった。
2012年には国内販売もスタート。その後も、欧米で認められたシルエットにメイド・イン・ジャパンの付加価値を組み合わせた新しい価値観のジーンズを提案してきたが、この3月10日に、新たな商品を世界同時発売した。
それは、ジャパンブルーが今だからこそ目指すものとして立ち上げた「エシカルプロダクト」の第1号となるラインナップだった。
「エシカルプロダクト」とは?
『JAPAN BLUE JEANS』のブランド・サイトには、こんな文章が綴ってある。
─ JAPAN BLUE JEANSが考えるエシカルプロダクト ─
「児島」と「ジーンズ」
このキーワードは切っても切り離せない、JAPAN BLUE JEANSのものづくりの原点。
私たちはこの街で働く人々、地域産業に誇りがある。
これまで当たり前だった視点を少し変え、
限りある資源を大切にJAPAN BLUE JEANSらしい ジーンズを作り続け、穿き続けたい。
そんな想いから始まったエシカルプロダクト。
この取組みは今はまだ特別なことで正解はありません。
今まで培ってきた伝統の技術と、 最新の技術を融合させて課題を解決し、
この取り組みが普通のことになることを目指して、
私たちは「児島」でのものづくりを続けていきます。
3月10日に発売された新製品は、ジーンズがシルエット3型でそれぞれ2色展開、デニムジャケットが1種類で2色展開、Tシャツが5色展開というランナップ。「エシカルプロダクト」が具体的にどのような取り組みをしているのかを、ジーンズの商品特徴とともに紹介していこう。
まずは、水。糸の染め上げ作業やデニム表面の風合いを整えるウォッシュ加工など、その過程で使われる水の再利用化に取り組み、水の使用量の全体の80%を削減。また、ユーズド感やビンテージ感を出すための加工においては、人体(工場従業員など)に与える負担の軽減を目指し、レーザー加工やオゾン加工といった方法を取り入れている。
ジーンズに施されているディテールの数々も、持続可能性を考慮した素材に切り替えている。革パッチは、従来の皮革から、破棄されるリンゴの皮や芯を樹脂でかためた人工皮革に変更。ポケットスレーキーは、紡績段階で排出される落ち綿をリサイクルした素材に変更。ネームには、ペットボトルをリサイクルしたエコペットネームを採用。さらに、金属製のリベットの使用をやめ環留め縫製にすることで、ジーンズ自体のリサイクルも容易にできるようしている。
そしてもうひとつの大きな特徴が、『JAPAN BLUE JEANS』の主力商品である「コートジボワールコットンジーンズ」の、クラシックストレート、ストレート、テーパードの3型が主軸になっているということだ。もともと「コートジボワールコットンジーンズ」誕生(2014年)の背景には、度重なる内戦によって疲弊した綿花栽培の産業を支援しようという思いもあった。そのコートジボワールコットンの、「原種に近い綿」と言われる特性を活かしながら、環境負荷軽減につながる新しい技術を積極的に取り入れた製品が「エシカルプロダクト」のジーンズだ。
世界が認める倉敷デニム
これまで当たり前だった視点を少し変え、限りある資源を大切にJAPAN BLUE JEANSらしいジーンズを作り続け、穿き続けたい‥‥。児島でジーンズを、これからも作る続けるジャパンブルーのそんな想いを肌で長く感じる。そして、たくさんのものごとの中から、わたしたちが選ぶべき基準は何なのか。スタートラインに立ったばかりの「エシカルプロダクト」は、その答えを導きだそうとしている。
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- TEXT :
- 堀 けいこ ライター