「麒麟児」は子どもと大人、どちらを表現する日本語?使い分けはできていますか?
毎週日曜日といえば、NHKの大河ドラマを楽しみにしていらっしゃる方も多いでしょう。今年は戦国武将・明智光秀を主人公に据えた『麒麟がくる』が好評を博していますね。
というところで、本日の1問目です。
【問題1】「○○児」という日本語で、子どもの誉め言葉になるのはどれ?
「麒麟児」「豚児」「風雲児」…「子ども」を意味する「児」という漢字のつくこれらの日本語の中で、「子どもの誉め言葉」として使用できるものは、3つのうちどれでしょうか?
1: 麒麟児(きりんじ)
2: 豚児(とんじ)
3: 風雲児(ふううんじ)
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 1:麒麟児(きりんじ) です。
「麒麟児(きりんじ)」は文字通り「麒麟の子」という意味です。
この場合の「麒麟」とは、動物園で見られる首の長い実在の動物・キリンのことではなく、中国神話に由来する伝説の霊獣・麒麟を指します。
麒麟は「獣類の長」と言われており、
「麒麟児」は、幼いころから天才的な才知や技芸を発揮し、将来を有望視される子ども、言いかえれば「神童」に匹敵する表現になります。
明智光秀については、『美濃の麒麟児』という異名が散見されることから、ドラマのタイトルに「麒麟」という表現が入ったのかもしれません。
選択肢2:豚児(とんじ) は、「わが子をけなす謙遜表現」です。
同義の表現として「愚息」や「愚女」がありますが、「豚児」は性別に関係なく使用可能な言葉です。しかし、現代的な感覚からすると、いかに謙遜であっても「豚の子ども」という表現は苛烈すぎる感があるのか、あまり使われなくなっていますね。
選択肢3:風雲児(ふううんじ) は、「児」という漢字は入っているものの、「子ども」を意味する言葉ではありません。「社会の変動などに乗じて活躍する英雄的人物」という意味になります。
社会の変動を好機に変えて躍進するような、活力を持った能動的な英雄、というイメージです。
優秀なお子さんをほめる時に、「まさに麒麟児ですね!」という表現はOKですが、「まさに風雲児ですね!」は間違った表現、という事になります。
…さて、2問目に参りましょう。
【問題2】「禿びる」ってなんと読む?
「禿びる」という日本語の読みかたをお答えください。
ヒント:「先がすり切れて減る。すれて小さくなる」という意味の言葉です。
<使用例>「明日は久しぶりの出勤なのに、アイブロウペンシルが禿びたままだったわ!これではお化粧直しの時に恥ずかしくて出せないわ…」
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 禿(ち)びる です。
頭髪の薄さを表現する「禿(はげ)」という読み方がポピュラーな漢字ですが、「禿(ち)びる」とも読みます。
コロナ禍で今も緊急事態宣言下の地域にお住まいの方は、ご自宅ではお肌を休息させるべく、メイクはしない…という方もいらっしゃるでしょう。例文のようなことにならないよう、今週末は、メイクポーチ内の点検が必要かもしれません。
さて、明智光秀の話題に戻ります。主君である織田信長への謀反を起こした『本能寺の変』の動機については「日本史最大の謎」と称する歴史家も多く、今も明確に定義づけられていません。人間関係のもつれの理由は、織田信長と明智光秀に限らず、シンプルに言及することは難しいものですが・・・
「信長が光秀の頭髪の薄さをあげつらい、辱めたから」という一説があること、ご存知でしょうか?
信長が光秀に「金柑頭(きんかあたま=赤みを帯びて光る果実・金柑のような禿頭)」というニックネームをつけていた、とか、人前で光秀のつけ毛をはたいてとばし、薄い頭髪をさらして辱めた、などの説が散見されるのです。
江戸時代になって、信長の家臣の家系でしたためられたとされる書物『稲葉家譜』にも、この類の経緯が載っていますが、内容の信ぴょう性については、専門家の意見が分かれています。
この件はともかく、大河ドラマ『麒麟がくる』の中で、『本能寺の変』に至るまでの光秀の心中がどのように描かれていくのか、興味深いですね!
本日は、
・麒麟児(きりんじ)
・豚児(とんじ)
・風雲児(ふううんじ)
・禿(ち)びる
という日本語をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱