富山県の高岡銅器のメーカーが生み出した、「回して楽しい」ワイングラス

日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、日々探しているスタイリストの河井真奈さん。

今回ご紹介いただくのは、400年余りの歴史をもつ高岡銅器の発祥の地である富山県高岡市金屋町で、代々続くメーカーが開発したワイングラス「アロワール」です。

一般的なワイングラスにはつきもののステム(グラスの脚)がないだけでなく、金属製のパーツとグラスの2ピース構造になったこのグラス、その形状にはワインをより美味しく楽しむための、さまざまな秘密が隠されているとのこと。

特許出願中だという革新的なワイングラス「アロワール」の魅力と、試行錯誤が繰り返された誕生までのストーリーを、河井さんに教えていただきました。

河井真奈さん
スタイリスト
(かわい まな)女性誌、CM、ドラマのスタイリング、トークショー、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。2016年、ギフトに特化したWEBサイト「futo」をローンチし、2019年6月には初の実店舗を南青山にオープン。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)、『服を整理すれば、部屋の8割は片付く』(立東舎)。https://futo.jp/

 今までにない本格的なスワリングを楽しめる「世界唯一・2ピース構造」のステムレスワイングラスはどうやって生まれた?

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絶妙なバランス感覚をもつ、ユニークな形状のワイングラス「アロワール」

「私がおすすめするワイングラス『アロワール』は、花器や香炉、置物、鉄瓶などの高岡銅器を代々作り続けてきた四津川製作所が、創業時からの雅号『喜泉』に込められた思いをモダンに進化させた、ライフスタイルブランド『KISEN』のものです。

『KISEN』のブランドプロデューサーである四津川晋(よつかわ・すすむ)さんが目指しているのは、金属のよさを柔軟な発想で活かし、現代の日常生活や美意識にマッチしたアイテムを届けること。『アロワール』も、金属のよさが活きるワインアイテムを製作しようという企画から誕生したそうです。

あれこれ検討している中で出てきたのが、長いステムのワイングラスが合わせにくい和食などのテーブルコーディネートにも映え、ステムがなくても効果的にスワリングできるグラスを作れないだろうか、という案でした。

一般的には、台座に近いステムを持って回すことでワインを空気に触れさせ、より香りを引き出し、まろやかな味わいに変えるスワリング。スマートに回せたら素敵なのですが、慣れないとなかなか難しいものです。しかも、ステムがないとさらに回しづらさは倍増します。

また、ワイン向けのステムレスグラスは存在するものの、タンブラーという位置づけのものや、カジュアルな雰囲気のものが多数。四津川さんとデザインチームは、あくまで本格的なワイングラス同様に、エレガントで高級感があるデザインに作り上げたいと考えました」

無数の失敗から導き出された、世界初の画期的スタイル

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金属製のピボットベースとグラスが分かれた、2ピース構造の「アロワール」

「『アロワール』の最大の特徴は、特許を出願中でもある、金属製のピボットベースとグラスを組み合わせる2ピース構造にあります。しかし、開発当初はグラスと金属部分が接着された『起き上がりこぼし』のようなスタイルで試作を重ねていたそうです。

さまざまな形の金属パーツと、さまざまな形のグラスをつけたり外したり。気が遠くなるほど何度も繰り返すものの、納得のいくデザインにたどり着けない日々が続く中、逆転の発想で生まれたのが『接着せずに2ピースに分ける』というアイデアでした。

とはいえ、ピボットベースとグラスの形状をうまく合わせ、倒れることなくバランスがとれるフォルムに仕上げるのは至難の業。完成までにはさらなる試作が続きました。

ゴールドとシルバーのカラーがデザイン性の高さにも大きく貢献しているピボットベースは、ゴールドが真鍮、シルバーはアルミ素材です。熟練の職人により鋳造された後、ひとつひとつを手作業で表面にバイブレーション(スクラッチ加工)が施されています。

この工程こそが企業秘密! 機械や作業の様子を明かすことはできないそうです。

グラス部分は、東京の江戸ガラス職人さんが2人がかりで手吹いています。本格的なワイングラスに求められる薄さと軽さ、美しい曲線を実現しながら、さらにピボットベースに合わせたくぼみを底面に作るためには、卓越した技術が必要なことは言うまでもありません。

ピボットベースの上にグラスを乗せることで自ずと適度な傾斜がつき、ベースを軸にグラスを回すとなめらかな水流が生まれて、ワインと空気がまろやかに攪拌されていく。こうしてワインの香りが華やかに開いていくのです」

「回して楽しいグラス」は、ワイン以外にも大活躍!

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ブルゴーニュタイプの「アロワール」

「『アロワール』にはブルゴーニュタイプとボルドータイプがあり、私が最初に使ったのは、ふっくらと丸く、壺のように飲み口が大きくカーブしているのが特徴のブルゴーニュタイプでした。

四津川さんの奥様である佳奈さんによると、『ブルゴーニュタイプはピノ・ノワールを美味しくいただくことをイメージした設計で、酸や渋みの穏やかなふくよかでフルーティな味わいのものと好相性。白ワインならシャルドネのようなしっかりと樽熟成をしたタイプが合う』そうです。

一方、開花したばかりのチューリップを思わせる、ゆるやかなカーブに仕上げられたボルドータイプは、カベルネ・ソービニオンをイメージした設計。『フルボディで渋みのあるワインの複雑で芳醇な香りと個性を引き出します。白ワインなら、リースリングやソーヴィニョン・ブランなどすっきりとした香りのものと好相性』だと教えていただきました。

とはいえ、それらはひとつの目安。佳奈さんは、『アロワールの大切なコンセプトは、“回して楽しいグラス”です。ブルゴーニュ、ボルドーと名付けてはいますが、必ずこのタイプのワインと合わせてほしいということはなく、難しく考えずに気に入ったものを気軽に使っていただきたい』と言います。

もうひとつ、佳奈さんがぜひとも伝えたいという最大の魅力は『香りの感じやすさ』で、一流のソムリエからも太鼓判を押されているそう。

『どちらのタイプもグラスにしっかりとふくらみがあるので、スワリングの際に液体の広がる面積が広く、より多くの空気に触れることで香りが立ちやすくなるよう設計されています。さらに壺のような形が香りを包み込み、濃密なアロマが鼻に届くのです』と、その理由を教えていただきました。

私自身、『アロワール』でスワリングした際に立ち上る芳醇な香りの虜で、もうステムのあるワイングラスでは飲みたくないと思うほど。

また、ボルドータイプのグラスは普段使いにもちょうどいいフォルムなので、今やワインだけでなく焼酎や日本酒までオールマイティに活用! 薄く仕上げられたグラスの口当たりが最高に心地よくて、もともと自宅ではあまり飲まないほうだったのに、ついついお酒が進んでしまいます。

夏に向かうこれからの季節は、アイスティーなどを飲む時にも活躍してくれそうな『アロワール』。ワイン好きな人はもちろん、素敵なテーブルウェアを贈りたい人にもぴったりのギフトになるのではないでしょうか?」

味覚と嗅覚に加えて、視覚と触覚でも楽しめる「アロワール」のグラス

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「アロワール」左から、ブルゴーニュ&ゴールド・ボルドー&シルバー各¥10,000

ぽってりと官能的なカーブを描く手拭きのグラスと、マットなゴールド&シルバーがラグジュアリーなアクセントを添える金属製のピボットベース。

ワインを注いだグラスをピボットベースに乗せてスワリングすれば、豊かなアロマと味わいが花開いていくとともに、グラスの中を流れる液体の美しさや、遠心力による心地よい感触も楽しめます。

ピボットベースを外せばグラスがしっかりと安定する、使い勝手のいいデザインもポイント。グラスとピボットベースの組み合わせは好みでセレクト可能です。

詳細はこちらから


今回は、「アロワール」のワイングラスをご紹介しました。

新型コロナウィルスと隣り合わせの日々、ステイホームやソーシャルディスタンスを意識して、自宅でお酒をたしなむ機会が増えているのではないでしょうか? リモート飲み会でのカンバセーションツールにもぴったりの斬新なグラスを、ぜひチェックしてみてください。

※掲載した商品はすべて税抜です。

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
谷 花生