コロナ禍によってテレワークやリモートワークといった在宅勤務を導入した企業が増え、ご自身の働き方について考えさせられた方は、少なくないでしょう。働き方だけでなく、自宅で過ごす時間が長くなったことで、日常の生活習慣にも変化があったのでは?

それがよい習慣なら喜ばしいですが、反対に「寝坊しがちになった」といった悪い習慣が染みついてしまうのは困りもの。

「繰り返し行うこと=習慣ですから、悪い習慣を手放し、よい習慣を身につけていくことで、人生を大きく変えることができます」と語るのは、『何でも「続く人」と「続かない人」の習慣』の著者である伊藤 良さん。

「ところが、いざ習慣を変えようと思っても、なかなか続かないという人も少なくありません。それは、続けるための工夫や仕組みつくりがうまくできていないから。まずは1日15分でもいいので、小さいことから始めてみてください。半年ほど継続できれば『自分にも続けられる』という自信がついてくるでしょう」

継続は力なりという言葉があるように、以下で紹介する生活習慣の改善法も、また日々の積み重ねが肝心。焦らず少しずつ身につけていけば、仕事の効率アップやプライベートな時間の確保に役立つはずです!

テレワークが多い人向け!生活習慣の改善法5選

■1:「鏡に映った自分の姿」を見てダラダラを防止

習慣_1
客観視することで、仕事モードに!

在宅勤務では職場と違ってほかの人の視線がないため、ついついだらけてしまいがちですよね。普段リラックスしている空間だと、なかなか仕事モードに気持ちを切り替えられないということもしばしば……。伊藤さんは「自分を客観視する状態をつくることで、集中力をキープできる」と言います。

「具体的な方法は、パソコンやスマホのカメラで自分の姿を動画撮影する、あるいはもっと手軽な方法として、デスクに鏡を置くとよいでしょう。これは、ポジティブ心理学で『プロセスビジュアライゼーション』と呼ばれる手法です。

仕事をしている自分の姿を録画したり、鏡に映った自分を見たりすると、だらけている自分を見たくないという心理が働き、仕事に集中しやすい状況をつくることができます。

また、仕事モードに切り替えるという意味では、寝間着のまま過ごさない、いつもどおりメイクをする、といった工夫も効果的。それだけでも1日の過ごし方が変わるでしょう」(伊藤さん)

在宅勤務のときこそON・OFFの切り替えが大切。仕事はあるけど人に会わないから……とメイクをサボりがちな方は、仕事中でも目に入る位置に鏡を置くことから始めてみてはいかがでしょうか?

■2:自分の行動を誰かに宣言する

習慣_2
時間や作業量を決めて、誰かに宣言してみましょう。

これまでに、生活習慣の改善やダイエットなどに挑戦したものの、挫折してしまった経験はありませんか? その原因は、自分ひとりで取り組もうとしたことにあるのかもしれません。というのも、自分だけの問題であれば、仮に約束事を破ったとしても誰かに責められる心配がなく、自分に対して甘くなってしまいやすいからです。

「自分が取り組みたいことをブログやSNSなどで公言すると、誰かに見られている、言ったからにはやらなくちゃ……という健全な強制力が生まれ、だらけずにやり抜くことができます。

例えば、早起きを習慣化したいなら『今月から二度寝をしない』、仕事に集中したいときは『これから仕事を始める』といった具合です。もしブログやSNSがなければ、家族や友人、職場の仲間など、仲のよい人に宣言してみてください。

さらにテレワーク中の作業効率を上げるための応用法として、職場の仲間とオンライン会議アプリを利用するのも手。オンライン会議といっても、コミュニケーションのためではなく、自分の作業に集中するためのツールとして活用するのです。

オンライン上で仲間とつながっていると、お互いに相手の目を意識することになり、集中タイムをつくることができます。実践する際は『13時から14時まで』というように、あらかじめ制限時間を設けておきましょう」(伊藤さん)

職場で上司に見られていない場面だと気が緩んでしまうように、自分ひとりだとせっかく決めたルールを破ってしまう可能性あり。ダイエットでも仕事でも、身近にいる仲のよい人を上手に巻き込みながら、前向きに取り組めるとよいですね。

■3:1日の初めに今日の目標を立てる

テレワークには、通勤時間がかからないといったメリットがある一方、仕事以外の雑事に気が散りやすいというデメリットもあります。午前中はまだ時間があるからと、のんびり過ごしてしまい、昼食後はなんだか眠たくて集中できず、気が付いたらもう夕方だった、なんてことも……。

「『1日の計画を立てる前に、1日を始めてはいけない』という言葉があります。1日の計画を立てるかどうかが、その日のパフォーマンスの質を左右するのです。

そこで、1日の初めに『今日はこれを完了させる』という目標やタスクを思いつくままに書き出してみましょう。目安は5つですが、それより多くても構いません。目標(タスク)を書き出したら、それらに優先順位をつけていきます。長時間かかるタスクは、15~30分で終わるような、細かい作業に分けるのがポイント。あとはそのリストを見えるところに貼っておきましょう。

こうすることで、今日やるべきことの全体像が明確になり、予定外の作業が飛び込んできても対処しやすくなります」(伊藤さん)

目の前の作業や急に入ってきた用事に流されるまま1日が終わり、結局「今日は何ができて、何ができなかったのか」がよくわからない……という日はありませんか? 有意義な1日を過ごすために、毎朝「今日やるべきこと」をリストアップする習慣を身につけましょう。

■4:時間割を作って行動する

習慣_3
パフォーマンスを落とさないためには、時間割が大切。

職場では、基本的に出勤時間や退勤時間が決まっていますが、テレワークならある程度、時間の融通がききます。だからといって、昼間やるべきことを先送りにして夜更かしするのはいけません。生活リズムを乱してパフォーマンスを落とさないために有効なのが、1日の初めに自分の時間割をつくることです。

「学校の時間割のように、何時に何をやるのかを細かく決めておくのが理想的……ですが、最初のうちは『仕事のスタート時間』『ランチの時間』『仕事を終える時間』の3つを決めればOK

あるいは、1日を朝・昼・夜でざっくり3分割して、それぞれにタスクを入れる形式でも構いません。これだけでも1日の時間管理に役立ちます。慣れてきたら、徐々に時間割を細かくしてみてください。

また、生活リズムが崩れてしまったときにおすすめしたいのが、朝起きてから15分と夜寝る前の15分に『自分ひとりの静かな時間をつくる習慣』を取り入れることです。具体的には、朝の15分で1日の時間割を作り、夜の15分では感謝日記を書いてみましょう。

感謝日記といっても難しいことはなく、今日1日のなかで感謝できることや達成したこと、嬉しかったことなどをノートに書き出すだけ。自分の気持ちと向き合って、ポジティブな感情を言葉にしてから眠りにつけば、その日1日を気持ちよく終えられるはずです」(伊藤さん)

時間割をつくる習慣と、先述した「1日の初めに今日の目標を立てる」習慣をセットにして取り組めば、相乗効果が期待できそうですね。

■5:就寝時間を決めないのはNG

習慣_4
自分に合った就寝時間を把握していますか?

規則正しい生活を送るために、早寝早起きが大切なのは百も承知。とはいえ、どうしても早起きが苦手という方にとっては、早寝も難しいですよね。

また、睡眠時間の長さは人それぞれですし、季節によっても変わるので、一概に何時に寝て何時に起きるのがベストと言い切れないのも事実。そこで心がけたいのが、朝起きる時間から逆算して、ご自身に合った就寝時間を決めることです。

「早起きという結果をつくるためには、前夜からの組み立てが重要。つまり、朝の好スタートを切るためには、まず寝る時間を意識して、前日の夜の行動をコントロールする必要があるのです。

仮に7時間以上寝ないと調子が出ない人の場合、朝6時に起きるためには、前日の夜11時までに布団に入ることになります。そのためには、遅くとも夜6時には仕事を終え、8時までに夕食を済ませる……という具合に、自分にとって最適なスケジュールを考えてみてください」(伊藤さん)

1日のパフォーマンスが高まる就寝時間を知るためには、寝た時間や起きた時間を記録し、何時間寝ると調子がよいかを把握することも大切。睡眠時間を記録してくれるスマホのアプリやツールなどをうまく活用しながら、最適な就寝時間を決めましょう。


よい習慣は1日だけやるのではなく、積み重ねることで、ようやく真価を発揮します。初めのうちは、簡単にクリアできるルールを設定するのがコツです。急激な変化は実感できずとも、地道に毎日続けることで、いつかきっとその努力が実を結びますよ。

伊藤 良さん
良習慣プロフェッショナルコーチ
(いとう りょう)国際コーチ連盟アソシエイト認定コーチ、GCS認定プロフェッショナルコーチなどの資格を持つ「習慣化の達人」。セミナーや読書会を主催するほか、ブログ『良習慣の力!』の運営、メルマガ『複業で自分を磨く習慣』の発行、ビジネス書の執筆など、複数の分野で活動中。http://www.ryoushuukan.com/
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
上原 純