「黒南風」「荒南風」「白南風」…こんなに種類がある「南風」ってどういうモノ?
今年の梅雨はずっと雨ではなく、急に暑い晴天の日が混じったりと、予測のつきにくいお天気が多いですね。梅雨の雨は南風にのってやってくることが多いそうですが・・・
本日の1問目のクイズです。
【問題1】「黒南風」ってなんと読む?
「黒南風」という日本語の読みかたをお答えください。
ヒント1:「梅雨の始めの頃に吹く、雨雲をともなった湿った南風」を意味する言葉です。
ヒント2:「南風」は「みなみかぜ」と読みますが、「黒南風」「荒南風」「白南風」の「南風」は「みなみかぜ」以外の、共通の読み仮名で読みます。
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 黒南風(くろはえ) です。
沖縄の方言で「南」の方位を「はえ」と呼ぶことに由来して、主に西日本では「南よりの風」を「はえ」と呼ぶならわしがあるのだとか。この言葉が俳句の季語として取り入れられることで一般化し、
梅雨の始めの頃の、雨を含んだ黒雲を連れて吹く南風を「黒南風(くろはえ)」、
梅雨の最盛期の激しい南風を「荒南風(あらはえ)」、
梅雨明けの晴天の日に吹く南風を「白南風(しろはえ)」と呼ぶのです。
「黒南風」「荒南風」は仲夏の季語、「白南風」は晩夏の季語になります。
季節風とその時期の景色を組み合わせ、その時期の人々の気分まで反映するような、趣深い言葉ですよね?ぜひ使いこなしたいものです。
というところで、2問目も「風」に関わる日本語クイズです。
【問題2】「颪」ってんなんと読む?
「颪」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「山から吹き下ろす風」という意味の日本語です。
<使用例>「六甲颪って、秋冬に吹く風のことなんですね!」
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 颪(おろし) です。
ヒントの例文でも触れた「六甲颪(ろっこうおろし)」や、群馬の「赤城颪(あかぎおろし)」は有名ですよね?「颪」は日本の太平洋沿岸の山から吹き下ろす、秋冬の時期の主に北風を指す言葉です。
プロ野球チームの阪神タイガースの応援歌の歌いだしに「六甲颪に颯爽と」というフレーズがありますが、これは、「六甲颪の吹く頃=プロ野球のシーズンが終わる秋冬」に「颯爽としている=優勝などのすばらしい戦果を残している」という意味が込められている、と聞いたことがあります。
単なる「地域の名物」として「六甲颪」が登場しているわけではないのですね。
時期や地形ごとの気象現象にも、それぞれの呼び名を持たせて親しむ日本語文化…自然と共生してきた先人の創った美しい言葉を、ぜひ継承して参りたいですね。
本日は、
・黒南風(くろはえ)
・荒南風(あらはえ)
・白南風(しろはえ)
・颪(おろし)
など、気象にまつわる難読漢字をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱