イタリアのモダンライフスタイルを日本の暮らしに適した形で提案する家具ブランド「アルフレックス(arflex)」。「マレンコ(MARENCO)」や「エヌティー(NT)」、「エー・ソファ(A・SOFA)」といった数々の名作で知られ、「一生使える家具」として多くの人に愛されています。
そんな「アルフレックス」の世界観を余すことなく体感できるショールームが東京・恵比寿にあります。約300坪の広々とした空間に、リビングやダイニング、ベッドルームを想定したディスプレイを展開する「アルフレックス東京」です。
2020年6月1日(月)に発表されたソファ「ヴァスカ 19(VASCA 19)」とテレビボード「ヴィスタ(VISTA)」も体験できる「アルフレックス東京」。同社で広報・PRを担当する長谷川恵里香さんに、ブランドヒストリーからショールームの見どころ、新製品のこだわりまで、たっぷりお伺いしました。
主役は人で、家具は道具。「イタリア生まれ、日本育ち」の「アルフレックス」が提案する、心豊かな暮らし
1951年、イタリアで創業した「アルフレックス」。イタリア語の「家具=arredamenti」と英語の「柔軟性=flexibility」の頭文字をつなげて名づけられたブランド名には、「いつの時代にも、どのような環境にも、適応する家具でありたい」という願いが込められています。
ときは1960年代。保科正氏が、ヨーロッパの成熟したライフスタイルに興味を抱き、アパレル会社勤務を経て、単身で渡ったイタリアで偶然、「アルフレックス」の家具に出合ったことをきっかけに、1969年に誕生したのが「アルフレックス ジャパン」です。
当時、畳の茶の間が一般的だった日本の生活空間に、欧米の合理性とモダンさを落とし込んだ家具を通じて、「ソファを置いたリビングでくつろぐ」という新しい家族団らんのスタイルをいち早く持ち込んだのが「アルフレックス」の家具でした。
「『アルフレックス』は家具ブランドではありますが、提案しているのは家具単体ではなく、時代を問わずに長く使える家具を取り入れた、心豊かなライフスタイルです。
弊社の創業者である保科が、家具づくりを学んだイタリアで影響を受けたのは、住まいを大切にし暮らすことを楽しむイタリア人の姿です。
『アルフレックス』の家具がどれもシンプルで飽きのこないデザインで設計されているのは、生活の主役はあくまで人であって、家具は道具と考えているからなんです」(長谷川さん)
創業してから50年。今もなおロングセラー商品を多数抱え、ひとつの家具をメンテナンスしながら世代を超えて使い続けるファンも多いという「アルフレックス ジャパン」。「イタリア生まれ、日本育ち」のブランドとして幅広い世代に親しまれる所以がここにあります。
ショールームのような洗練された部屋をつくるコツは?プロに聞いた3つのテクニック
「アルフレックス」のシンプルで上質な家具を取り入れたインテリアを、リアルにイメージできる「アルフレックス東京」。実際、ショールームのどんなポイントをおさえれば、洗練されたインテリアのエッセンスを吸収できるのでしょうか。長谷川さんに秘訣を教えてもらいました。
■1:オープンなLDK空間のコーディネートのカギは「中継アイテム」
キッチン、リビング、ベッドルームと、多彩な生活シーンで家具を魅せる「アルフレックス東京」。テーブルにチェアにソファにサイドボード。家具が複数置かれていながら、どのゾーンも落ち着きのあるシックなインテリアでまとめられています。
「最近はオープンキッチンの人気が高まっていますが、キッチンを中心にダイニング、リビングがひとつになった広い空間をコーディネートするのにおすすめなのは、それぞれのスペースの間をつなぐアイテムを取り入れること。
こちらのダイニングキッチンスペースでは、キッチントップと同素材天板のハイテーブルや、それらと質感の近いペンダント照明を使うことで、空間に素材や色の視覚的なつながりが生まれます。
また、お料理の準備でもお食事のサブテーブルとしても使えるハイテーブルは、立っている人と座っている人の目線が合いやすく、キッチン~ダイニングに相互につながりが生まれます」(長谷川さん)
「お部屋全体としては白とナチュラルなオークの色を中心にコーディネートすることで、キッチンの白い大きな面とリビングの白いラグとで一体感が生まれるよう工夫しています。
こうしてお部屋全体の素材や色を意識しながら、中継アイテムを上手に取り入れることで、LDKがひとつになり、お部屋を広々と使うことが可能になります」(長谷川さん)
中継アイテムでLDKをつなぎ、むしろ部屋を広く⾒せるとは、何とも斬新なテクニック︕ シンプルで飽きのこないデザインと多彩な素材が基調の「アルフレックス」だからこそ成せるインテリア技なのかもしれません。
■2:収納家具を間仕切りに。ひとつの空間でスペースを増やす即席ワザ
6月17日(水)に年2回のディスプレイチェンジを終えたばかりの「アルフレックス東京」。新型コロナウイルスの影響を受け、春に実施予定だった当初のディスプレイ案を、急きょ見直したのだとか。
「テレワーク・リモートワーク推進の動きもあり、書斎スペースに関するご相談も増えてきています。今回のディスプレイチェンジでは、急激なライフスタイルの変化にも取り入れやすい設えを提案しています」(長谷川さん)
在宅時間が増えたことで、「仕事に集中できるスペースがない」「ひとりになれる空間がない」などのお悩みをお持ちの⽅も、ワンフロアで様々なシーンを構成している「アルフレックス東京」なら、スペースの使い方を工夫するヒントがたくさんみつかります。
「ディスプレイで多⽤しているのが、収納家具を間仕切りとして活⽤する空間づくりです。サイドボードやシェルフを上手に使うことで、壁のような圧迫感はなくゆるやかに空間を仕切ることができ、家族が互いに気配を感じ合いながら、それぞれの事に集中することができます。間仕切り代わりのサイドボードにグリーンを飾ったり、ガラスのシェルフにお気に入りのものを飾ったりすれば、スペースを増やしつつ、⾒せる収納も楽しむことができます」(長谷川さん)
ちょっとした工夫で、引っ越さなくても必要なスペースが確保できることを実証するショールームのディスプレイ。テレワーク・リモートワークでお部屋の使い方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
■3:「光」が心地よい空気をつくる!全体ではなくポイントを照らすべし
落ち着いた雰囲気にあふれ、心地よい空気が流れる「アルフレックス東京」。居心地のよさをつくり出す仕掛けのひとつが、ショールーム全体に施された温かみのある光の演出です。
「店内の基本照明は紫⾊LEDを採⽤しています。⼀般的な⻘⾊LEDに⽐べて、モノの⾊みが美しく⾃然に⾒えるため、お部屋に⾃然光が差し込む状態をイメージしながら、家具の⾊みを捉えることができます」(長谷川さん)
空間全体で感じる温かみの理由はこんなところに隠されていたんですね! 各ゾーンの随所でみられる間接照明ワザも気になります。
「天井からのひとつの照明でお部屋全体を照らすよりも、ペンダントライトや、スタンドライト、テーブルライトなど、複数の照明を使ってお部屋の各ポイントを照らすと、空間に陰影が生まれ、より立体的で温かみのあるお部屋を演出できます。お部屋の隅にフロアライトを置き、壁と天井を照らすことで、柔らかな光が部屋全体に回り、空間に奥行きが生まれ、お部屋を広く⾒せることもできますよ」(長谷川さん)
コンサルティング・デスク奥の⼀⾓には、朝・昼・⼣と、各時間帯の⾃然光を体感しながらカーテンを選べるコーナーも。時間によって変化する自然光によって、カーテンの素材感や色がどのように変化するか実際に確認することができます。
また、光がもたらす⼼理的効果を体感することで、⼀歩進んだインテリアの楽しみ⽅を知ることができそうです。
「ショールームでのディスプレイはほんの一例であり、お客様にはお部屋でどんな風に過ごしたいかをお伺いしたうえで、その方のライフスタイルにあったお部屋づくりを提案させていただいております。トータルコーディネートのご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください」(長谷川さん)
人気の家具がアップデート!「ヴァスカ 19(VASCA 19)」と「ヴィスタ(VISTA)」を体験
■1:バスタブにもたれたときのようなくつろぎ感!なめらかなカーブが背中にフィットするソファ「ヴァスカ 19」
「『ヴァスカ 19』は、2007年に発表した『ヴァスカ』に改良を重ね、2019年にリニューアルしたソファです。ぜひ体験してほしいのが、内側になめらかな傾斜をきかせたコーナー部分。どの⽅向を向いて座っても背中に⼼地よくフィットするので、その名の通りバスタブにもたれたときのようなくつろぎを感じることができます。
昨年のリニューアルに続き、今回は背もたれやアームのないユニットを追加しました。様々な方向からアクセスしやすく、ベンチに軽く腰を下ろすように座ったり、脚を伸ばしてゆったり座ったりと様々なくつろぎ方ができるようになりました」(長谷川さん)
■2:機器やコードをスマートに目隠し!どんなお部屋にもなじむテレビボード「ヴィスタ」
「デザインと機能のバランスに注力したテレビボードです。天板の素材と色を選ぶことができ、どんなお部屋にもなじみやすいのが特徴です。コード類を隠せる脚下のミラー調カバーや、配線をスムーズにする背面のスリット、家具の印象を柔らかくする側面のカーブと、細部のこだわりをぜひ堪能してほしいです」(長谷川さん)
改良を加え進化する「ヴァスカ 19」と、アルフレックスとしては10年以上ぶりのTVボードの新作となった「ヴィスタ」。どうやら、テレワーク・リモートワーク推進を含めた暮らしの変化は、これらリビング家具にも影響しているようです。
「おうち時間が増えたことで、ソファでくつろぎながらテレビで動画配信を楽しむ方が増えたのではないでしょうか。テレビなど家電製品の変化で暮らしや過ごし方が変化すると、家具の使い方も同様に変化します。
たとえば、ブラウン管から薄型大型のテレビに変わった時代は、テレビの配置場所が変わり、ソファはよりリラックスできて脚を伸ばせるタイプのものが人気になりました。
近年は、スマートフォンやタブレットの普及で、家族が皆で同じテレビを見るというよりは、テレビを見る家族の傍らでスマホを見たり、タブレットで読書をしたりと、同じ空間にいても、別々のことをして過ごすというスタイルも多くなりました。
ソファも、皆で同じ方向を向くタイプだけでなく、様々な方向からアクセスしやすかったり、ダイニングやキッチンにいる人ともコミュニケーションを取りやすい形など、多彩なレイアウトを可能にするモジュールタイプのものも人気が高まっています。
人それぞれリビングでの過ごし方には違いがあるので、アルフレックスではお客様のお話をお伺いしながら、ご自分の暮らしに合った家具選びをお手伝いしています」(長谷川さん)
ほかにも、上質なフェザーとダウンを使用した極上のソファ「ガーレ(GALE)」や、トレンドのアウトドアリビングやベランピングにも対応できる屋外家具ブランド「ロダ(RODA)」の製品など、注目の名品家具をたくさん取りそろえる「アルフレックス東京」。
おうち時間が増えた今、シンプルで上質な「一生使える家具」で、心豊かな暮らしを実現してみませんか。
問い合わせ先
- 営業時間/11:00~18:00
- 定休日/水曜日
- 住所/東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクエア1F
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石川聡子
- EDIT :
- 小林麻美