「登攀」ってどんな事?ニュースで見かける熟語の正しい意味、ご存知?

本日は7月19日は、女性のめざましい活躍に関する2種類の記念日とされています。

一つ目は『女性大臣の日』。1960(昭和35)年のこの日、池田勇人内閣の厚生大臣として、中山マサ衆議院議員が入閣。日本初の女性の大臣が誕生しました。

もう一つは『北壁(ほくへき)の日』。1967(昭和42)年、当時、東京女子医大の山岳部に所属していた今井通子さん、若山美子さんが、登頂が非常に困難だとされる「欧州アルプス三大北壁」のひとつ「マッターホルン」の北壁に、女性のみのパーティーとしては世界で初めて登攀成功!世界中にその名をとどろかすニュースとなりました。

…というところで、本日1問目のクイズです。

【問題1】「登攀」ってなんと読む?

「登攀」という日本語の読み方をお答えください。

ヒント:「登山で、高い山や険しい山などをよじのぼる事」という意味です。

<使用例>

「険しいことで有名な山は、『登頂成功』より『登攀成功』と書いたほうが、『いかに難所を制覇したのか?』という凄みを表現できるのね!」

「○○○○」と読み仮名4文字です。
「○○○○」と読み仮名4文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 登攀(とうはん/とはん) です。

「登山」「登頂」とは、どう違うの?
「登山」「登頂」とは、どう違うの?

「登攀」は、特に険しい山に登ることを表現した言葉で、ニュースにもしばしば使われます。

『北壁の日』の解説としては、マッターホルンの北壁を「登頂」よりも「登攀」と書いている例のほうが多い印象です。

「登山関連のニュース」とわかった上で「登攀」と書いてあると「山に登る事だろう」と、状況から理解しますが、

「登山」「登頂」「登攀」の違いを気にしたこともなかった…という方も多いのでは?

…というところで、そのあたりの理解を深めるための、2問目のクイズです。

【問題2】「攀じる」ってなんと読む?

「攀じる」という日本語の読み方をお答えください。

ヒント:「のぼろうとしてすがりつく。またはその状態でのぼる。」という意味の日本語です。

「〇じる」と読み仮名1文字です。
「〇じる」と読み仮名1文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 攀(よ)じる です。

「捩(よじ)る」は同音異義語で、意味は違います。

「よじる」という音の言葉には、ほかに「捩(よじ)る」もありますが、こちらは「曲げくねらせる」という意味ですので「攀(よ)じる」とは意味が違います。

「攀じる」は「=よじのぼる」であり、「すがりつきながらも登る」という、登る事自体に予断を許さないような、過酷な登り方を表現した言葉です。

マッターホルンは標高4478メートル。ピラミッド型に尖った山体の、北壁の落差は1200mほどだそうです。

長い間「女性にこの山は無理」と言われてきた場を、今井さんと若山さんは、まさに「登攀」したのです。

更に今井さんはその後、「アルプス三大北壁」の残り二つ、

「死の壁」の異名を持つ「アイガー」北壁を1968年に、

「グランドジョラス」北壁を1971年に制覇し、

「欧州アルプス三大北壁をすべて登攀成功した世界初の女性」としても知られています。

「登攀」という一つの言葉を理解するだけで、さまざまな背景が見えてくる…日本語はとても奥深いですね。

本日は『女性大臣の日』『北壁の日』ということで、登山にスポットをあて、

・登攀(とうはん/とはん)

・攀(よ)じる

という日本語の読み方と意味をおさらいしました。

 

この記事の執筆者
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ILLUSTRATION :
小出 真朱