「芥子」の読み方は「からし」?「けし」?どちらが正解?

7月24日は、文豪・芥川龍之介の忌日『河童忌』です。

芥川龍之介と言えば、国語の教科書に掲載された写真で、風貌をご存知の方がほとんどでしょう。文豪たちの写真は時代性もあり、どの写真も、その姿を立派に収めるべく丁重に整えられ、独特の魅力を放っていましたが、中でも芥川龍之介の繊細かつ精悍な面差しは、女生徒の人気がとても高かった…と記憶しています。現代的に表現すると「めちゃくちゃイケメン!」なのですよね(笑)。

国語の教科書で出会う芥川作品と言えば『羅生門』がお馴染みですが、こちらはなんと、芥川龍之介が大学在学中、たったの23歳で書かれた作品です。芥川龍之介は大変早熟な天才で、若くして執筆依頼が殺到したため、一度は就職したものの、英語教師職をすぐに辞職、創作に専念させるために彼を雇った大阪毎日新聞社に籍を置くなど、とにかく引き合いがすごかったようです。

現代でも話題の文学賞『芥川賞』の正式名称は『芥川龍之介賞』で、「純文学の新人もしくは無名作家」を対象としています。芥川龍之介の死後に創設されたこの賞は、新しく鮮烈な文学の天才の再来を切望し、選考されているのでしょう。

さて、本日1問目のクイズです。

【問題1】「芥川龍之介」の「芥」と同じ漢字を使うのは?

「芥川龍之介」の「芥(あくた)」と同じ漢字を使った「芥子」という日本語の読み仮名として正しいものを、選択肢の中から選んでください。

1:けし

2:からし

3:みじんこ

「芥子」の読み仮名として正しいのはどれ?
「芥子」の読み仮名として正しいのはどれ?

さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 1:けし と 2:からし の二つです。

「芥子」…「けし」とも「からし」とも読むのです!
「芥子」…「けし」とも「からし」とも読むのです!

「芥子」という漢字、

パン屋さんで「芥子の実をあしらいました」などと書いてあれば「けし」ね、

おでん屋さんなどで見かければ「からし」ね、などと、

「なんとなく見かけて、シチュエーションで読み分けている漢字」ではないでしょうか?

よく調べれは「けし」と「からし」は微妙に違う字なのだろうな…と思いがちですが、実は全く同じ字で、「芥川龍之介」の「芥」という漢字+「子」なのです。

「芥」という漢字は一文字だけでも「からし」とも読み、

香辛料の「からし」をとるもとになる植物は「芥子菜(からしな)」と書きます。

この、芥子菜と「けし」は別の植物ですが、食用として使用される種子の形がとても似ていたことから混同され、いつの間にやら「けし」も「芥子」という漢字で表記することが定着してしまったのだそうです。…テキトーな理由に笑ってしまいますが、「芥子」という表記は「からし」と読んでも「けし」と読んでも正解です。

「芥」という漢字は「こまかいもの」という意味を持っています。

さて、2問目です。

【問題2】「一縷」ってなんと読む?

「一縷」という日本語の読み方をお答えください。

ヒント:「一本の糸。またはそのように細いもの。」「ごくわずか。ひとすじ。」という意味の日本語です。

<使用例>

「『蜘蛛の糸』は、一縷の望みとしてもたらされた光明を、ひとり占めしようとしたとたんに見放されてしまう…という、なんとも考えさせられる物語よ」

「○○○」と読み仮名3文字です。
「○○○」と読み仮名3文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 一縷(いちる) です。

「一縷の望み」…芥川龍之介作『蜘蛛の糸』を思い出す表現です。

例文のような「一縷の望み」という言い回し、よく使いますよね?

「一縷」は「糸のように細い」「たった一筋」のような意味をもつ言葉ですが、ネガティブな言葉とは組み合わせず「望み」や「希望」のような、ポジティブな言葉と組み合わせるのが通例です。

ネガティブな言葉に組み合わせる似たニュアンスの言葉は、「刷毛(はけ)のひと塗り」を意味する「一抹(いちまつ)」です。「一抹の不安」などの言い回しに使いますが、「一縷の不安」とは言いません。

本日は、芥川龍之介の忌日『河童忌』にちなんで、

・芥子(からし)

・芥子(けし)

という、良く見る、似ていると思ったら本当に同じ表記!と驚く日本語と、

・一縷(いちる)

・一抹(いちまつ)

の使い方の違いをおさらいしました。

 

この記事の執筆者
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ILLUSTRATION :
小出 真朱