「氵(さんずい)」がつく漢字は「水」関係、では「冫(にすい)」はナニ関係の漢字?
いまから50年前、1970(昭和45)年の本日7月31日、東京都内で、いまでは当たり前、しかし当時としては画期的なできごとが起りました。なんだと思いますか?
JR(当時は国鉄)山手線の列車に、初の冷房つき車両が導入されたのです。
当時、鉄道の冷房つき車両と言えば、特別料金のかかる特急列車ほか、全国でもほんの一部にしか導入されていませんでした。
ちなみに当時の都内通勤ラッシュ時の最高混雑率は、なんと300%台。『通勤地獄』という言葉が社会に定着し、乗客の押し合いで窓ガラスが割れたり、乗降時に靴が脱げて無くしてしまう人にそなえて、駅にサンダルが用意されていたと言います。
50年前の本日の東京の天気は曇り、最高気温は33.3℃…その状況でようやく初の冷房車が登場したと知ると、その時代の通勤に耐え、日本の高度経済成長期に貢献してくださった多くの先人たちに、改めて感謝と尊敬の念が湧きますね。
さて、本日は「冷房車」にちなんで「冷」の部首でもある「冫(にすい)」関連のクイズを出題します。
【問題1】「冫(にすい)」は何を意味する部首?
漢字の部首「冫(にすい)」は、何をかたどっているでしょうか?次の選択肢から選んでください。
1:メガネのレンズ
2:凍った水
3:人の涙
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:氷の表面 です。
「冫(にすい)」は、水が凍って凝固した形をかたどった部首です。常用漢字では「冷」「凍」「冶」「凄」「凝」などがありますが、
「冶金(やきん)」などの熟語に使用される「冶」には、「(氷がとけるように)金属がとける」という意味がありますし、
「凄」という字が持つ「程度がはなはだしい」という意味は、凍り付くほどの極限状態になぞらえたもの、と考えられます。
また「氷(こおり)」という字の旧字体に「冰(こおり)」という表記があります。
「氵(さんずい)」がつくのは「水」に関係する漢字!とすぐ連想できるのに、
「冫(にすい)」は連想できる漢字も少ないし、よくわからない…という方も多かったのではないでしょうか?
「冫(にすい)」の漢字とカン違いされやすい字に「次」がありますが、この漢字の部首は「冫(にすい)」ではなく「欠(あくび)」です。「次」という漢字がポピュラーで連想しやすいため「冫(にすい)ってなんの意味があるのかよくわからない」というイメージを招いているかもしれません。
というところで、2問目のクイズです。
【問題2】「凍みる」ってなんと読む?
「凍みる」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「温度が低く、こおるように冷たい」という意味の言葉です。
<使用例>
「男性陣が好む冷房の温度に設定すると、私は凍みて仕方がないの!」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 凍(し)みる です。
高野豆腐は、いったん凍結させる製法から「凍(し)み豆腐」とも呼ばれますよね?
「夜道がしみる」など、寒さや冷たさをひしひしと感じる、という場合の「しみる」は「染みる」ではなく「凍みる」です。
昨今の列車では、強すぎる冷房を苦手とする人のための「弱冷房車」も当たり前になっていますよね?50年前の通勤ラッシュを経験した人々からすれば、思いもよらないような、贅沢なサービスなのかもしれません。
本日は、
・漢字の部首「冫(にすい)」
と、
・凍(し)みる
という日本語の読み方、使い方をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱