ジャケットなら立体感と縫製、副資材、立体的な仕立て。トラウザーズなら股ぐりを包み込むような仕立てに、立体感を生む職人のアイロンワーク。シューズなら、グッドイヤーウェルト製法にきめ細かなカーフといった具合に、ワードーローブの見極めポイントはアイテムによってまちまちである。

ワードローブの上質さはどこで見極める?

■1:ジャケットは立体感と縫製、副資材で見極める

手縫いの技術を駆使して、体の曲線的なラインを生かす立体的なジャケットづくりが、イタリアの真骨頂。その最高峰である〝キートン〟は、ふわっと軽い着心地と、体を生き生きと見せる美しいシルエットで有名だ。ウールにリネンやシルクを混紡した、極上生地の一着。¥680,000(キートン 銀座店)
手縫いの技術を駆使して、体の曲線的なラインを生かす立体的なジャケットづくりが、イタリアの真骨頂。その最高峰である〝キートン〟は、ふわっと軽い着心地と、体を生き生きと見せる美しいシルエットで有名だ。ウールにリネンやシルクを混紡した、極上生地の一着。¥680,000(キートン 銀座店)

上質なジャケットの条件はいくつかある。まず第一は、首から肩にかけてピタッと吸い付くようにフィットすることと、腕を上げたときに腕だけが上がること。このように体の一部になったジャケットは、重い生地を使っても疲れにくい。見た目においていうと、胸回りがペタッとしておらず立体的に見えるジャケットは、体をスマートに見せてくれる。そんな一着と上質な天然素材との組み合わせこそが究極だ。

アイロンで生地を曲げたり、芯地を入れたり、手で縫ったり。曲面を生かした仕立てのジャケットこそが、人間の体にフィットする。
アイロンで生地を曲げたり、芯地を入れたり、手で縫ったり。曲面を生かした仕立てのジャケットこそが、人間の体にフィットする。
ボタンや芯地などの副資材に上質な天然素材を使い、ていねいに縫製したスーツはオーラが違う。体になじみ、長年着ることも可能だ。
ボタンや芯地などの副資材に上質な天然素材を使い、ていねいに縫製したスーツはオーラが違う。体になじみ、長年着ることも可能だ。

■2:パンツは立体感で見極める

イタリア・ナポリのビスポークトラウザーズ職人、サルヴァトーレ・アンブロージ。そのこだわりを既製品に落とし込んだのが、こちらの一本だ。パターンこそ万人向けだが、股~ヒップにかけての包み込むフィット感や、綺麗なシルエットは絶品。¥110,000(伊勢丹新宿店〈アンブロージ〉)
イタリア・ナポリのビスポークトラウザーズ職人、サルヴァトーレ・アンブロージ。そのこだわりを既製品に落とし込んだのが、こちらの一本だ。パターンこそ万人向けだが、股~ヒップにかけての包み込むフィット感や、綺麗なシルエットは絶品。¥110,000(伊勢丹新宿店〈アンブロージ〉)

「すそ幅19cm」といったスペックだけでトラウザーズを選ぶのは愚か。人間のヒップから脚のラインは曲面で構成されているから、単なる直線的なトラウザーズでは、はき心地もよくないし脚も美しく見えない。そこで大切なのが職人技。上質なトラウザーズは立体的な裁断に加え、アイロンを使い生地を成形することで、人間の脚の形を模したかのような、3Dシルエットを描くのである。これなら快適さも美しさも抜群だ。

■3:シューズは堅牢さで見極める

英国製グッドイヤー靴の中でも最高の完成度を誇るのが、エドワード グリーンの木型『202』だ。ゆとりのある足幅に加え、土踏まずを絞ることで足を支えるその設計は日本人にもぴったり。この木型とストレートチップとの組み合わせは普遍的な存在だ。¥159,000(エドワード グリーン銀座店)
英国製グッドイヤー靴の中でも最高の完成度を誇るのが、エドワード グリーンの木型『202』だ。ゆとりのある足幅に加え、土踏まずを絞ることで足を支えるその設計は日本人にもぴったり。この木型とストレートチップとの組み合わせは普遍的な存在だ。¥159,000(エドワード グリーン銀座店)

はき手のライフスタイルにもよるが、ある程度歩く人にとっては、グッドイヤーウェルト製法でつくられた本格靴こそが、上質といえるかもしれない。はくほどに足に沈み込み、個々の足型にフィットしていくこの製法は、何度でもソールの交換ができるため、つきあい方によっては一生モノになる。ゆえにこの製法の靴を選ぶ際は、流行に流されないクラシックなデザインとはくほどに味を増す丈夫なレザーにこだわりたい。

■4:タイは締めやすく緩みにくいシルクと芯地で見極める

ギュッと握ったときに確かな弾力を感じること。そして手を放したらすぐにシワが消えること。これが上質なシルクの証であり、締めたときにビシッと結び目がきまる、よいネクタイの第一条件である。また、実際に店頭で調べるわけにはいかないが、ネクタイの内部には天然素材の芯地が仕込まれており、その品質も締め心地や美しい結び目には大きく影響する。お洒落な色柄も大切だが、購入の際はしっかり手で触れてから選びたい。

■5:シャツはコットン生地と丁寧な縫製で見極める

シャツ選びで最も大切なのは、デザインではなく生地である。その品質は番手の細かさで語られがちだが、日常で着ることを考えると、繊細すぎる生地も考えもの。指先にハリコシを感じる、コットン100%の生地を選びたい。そんな上質な生地を生かす縫製とは、襟に歪みがなく左右対称に仕立てられているもの。また、襟がボディに対して立体的に付けられているものは、上質なシャツの指標となる。これなら畳んだ状態のシャツを見るだけで、仕立てのよさがわかるはずだ。

創業100年を超えるナポリの老舗で、世界屈指のステイタスを誇るブランド。クラシックな9.5㎜の大剣幅と、どっしりとした復元性の高い肉厚シルク生地がそのネクタイの特徴で、誰でも凜々しい結び目をつくれる極上品。¥33,000(マリネッラ ナポリ 東京ミッドタウン)/ボローニャの腕利きシャツブランド マロル。シャツの表情を左右する襟羽根のステッチは、なんとキワから1㎜の位置で、1cmに13針という細かなピッチで縫われている。逆に肩とそで付けは手縫いでやわらかに。このバランスが真骨頂だ。¥60,000(レガーレ〈マロル〉)

※価格はすべて税抜です。2020年春号掲載の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
メンズプレシャス2020年春号より
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PHOTO :
渡辺修身(SAMMY STUDIO)
STYLIST :
四方彰敬