『メンズプレシャス』読者を始め、ファッション・ライフスタイルに一家言ある男性の聖地といえば、東京の伊勢丹新宿店メンズ館。8階には『メンズプレシャス』で連載中の「お洒落極道」こと島地勝彦氏の「サロン・ド・シマジ」のシガーバーもある。百貨店でありながら、メンズ館全体がお洒落好きな男のサロンとして、世界に類を見ない業態となっている。

「バーカウンターは男の勉強机である」

とは、島地勝彦氏の名言だが(名言コースターとして伊勢丹メンズで売られている)、この8月、5階にある「ビジネスクロージング」フロアがリニューアルし、バーカウンターが新設された。売り手と買い手がバーカウンターを挟んで服談義。商品の説明にとどまらず、服好き同士の会話から始まるショッピングを楽しめると言うから面白い。

『メンズプレシャス』のエグゼクティブファッションエディター・矢部克已が、このリニューアルした「ビジネスクロージング」フロアの陣頭指揮を執るバイヤーの山浦勇樹氏を取材。男の遊び場をイメージしたという新フロアのキモを聞いた。

2フロアにまたがっていたアイテムを厳選&集約!

「今季は表情のある生地を豊富に揃え、選ぶ楽しさを重視しました」と語る、バイヤーの山浦氏。

 時代をとらえたリアルな服が並び、年間を通してオーダー会も頻繁に行われる、伊勢丹新宿店メンズ5階フロアの「ビジネスクロージング」が、2017年8月にリニューアルした。「スティレ ラティーノ」や「ラルディーニ」、「エルネスト」といった『メンズプレシャス』となじみ深い多くのブランドが、選びやすく編集されたフロアになった。

 その陣頭指揮にあたったのは、ビジネスクロージングのバイヤーを務める山浦勇樹氏。筆者は、ピッティ・イマジネ・ウォモや三越伊勢丹の展示会などで、山浦氏の顔は知っていたが、直接話をするのは今回が初めて。まず、フロアのリニューアルの目的を伺った。

「以前まで、4階の『インターナショナルラグジュアリー』に陳列していたアイテムを5階に移し、より商品を選びやすくしました。同時に、商品数をこれまで以上に厳選して、フロアに余裕のある空間をつくり、よりゆったりと買い物ができるように工夫しました。また、2018年、メンズ館はオープン15周年を迎えます。今回のリニューアルは、そのプロローグになるかもしれません」

「買う価値のある場」を提供する

バーカウンターは明るい雰囲気で、居心地がいい。ファッションは人生を豊かにする。ここで、そのヒントを見つけて欲しい。

 5階のフロアを山浦氏と一緒に回ると、随所に変化がある。ビジネスを意識したスーツのコーナー、カジュアルとビジネスとの中間的なスタイルを集めたコーナー、大量のパンツのコーナーなど、見やすさや選びやすさにこだわっている。しかし、山浦氏は、4階から5階フロアに、単に商品を並び替え、選びやすくしたのではないという。

「今までのように、多くの商品をそのままお勧めするのではなく、男の遊び場『サードプレイス』としての提案です。そこで新設したのが、このカウンターです。『買う価値のある場』の提供を考えました」

 5階フロア中央のスペースに、明るい雰囲気のバーカウンターをつくり、店員と対面しながら商品選びを楽しんだり、商品の説明を聞いたりできる。そのうえ、飲み物のサービスもある。

服づくりのマエストロたちにも会える最高の空間

山浦勇樹氏。2006年、三越伊勢丹に入社。「伊勢丹メンズでしか買えないもの」を目指してバイイングに奔走する34歳。

 確かに、今のファッションビジネスは、「上質でいいものを売る」だけでは、価値が見いだされにくくなってきた。伊勢丹新宿店メンズ館の5階フロアに行くことで、服を購入するだけではなく、他に充実した時間までも実感できれば足が向くことになるだろう。同じフロアには、オーダーメイドが楽しめるメジャーメイドのコーナーがあり、そこにもバーカウンターを設置している。ゆったりと話をしながら服選びに興ずる客たちで大盛況だ。

「向こうに比べ、こちらのカウンターは、ダイナーのイメージです。もっと和気あいあいとした雰囲気をつくりたいと思っています」

 と山浦氏は、その目的を明確に話す。

 カウンターの後ろには、パンツだけを集めた大きな棚も新設。パンツづくりに特化した3ブランドの「インコテックス」「PT01」「G.T.A.」のパンツが、カジュアルからドレスまでズラリと並び、実に壮観だ。

 リニューアルまもない2017年9月には、オーダー会のために、イタリアから名ブランドのオーナーや服づくりのマエストロたちもやってきた。カウンターを挟んで、彼らと対面して、服をつくることができるなんで最高じゃないか。

■問い合わせ先
伊勢丹新宿店
TEL:03-3352-1111(大代表)
http://isetan.mistore.jp/store/shinjuku/

この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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