世界から高い評価を得ている(日本工芸の)作家の作品が一堂に会す特別展が開催されます

◎作家コメント:日本人の心の中に一点景を占めている富士を、山容、前景をレリーフにして色漆の塗かさね研出し、月と雲・霞を金箔、白金粉、金粉で表現しました(伊藤裕司)
◎作家コメント:日本人の心の中に一点景を占めている富士を、山容、前景をレリーフにして色漆の塗かさね研出し、月と雲・霞を金箔、白金粉、金粉で表現しました(伊藤裕司)

東京国立博物館 表慶館(東京・上野)で、2020年9月21日(月・祝)~11月15日(日)の間、特別展「工藝2020-自然と美のかたち-」が開催されます。

この展示は世界から高い評価を得ている伝統工芸から日本工芸の作家の作品を一堂に会し、自然と工芸の関係性をテーマに展示することで、東京2020オリンピック・バラリンピック競技大会の機運醸成を図るというもの。さらに建築家・伊東豊雄氏によるデザイン性の高い空間で展示することで、工芸のもつ魅力や可能性を発信します。

日本には、自然との共生による密接な精神的感性と固有の生命感が芽生えて我が国特有の工芸を発展させてきた背景があります。それは、長い歴史と文化が形成されるなかで、変化に富む地形と四季折々の気候、そして豊かな風土に育まれた自然観を要因とすることが大きいと考えられているそう。

◎作家コメント:江戸期から伝わる「墨はじき」技法に白の微妙な「雪花墨はじき」と「プラチナ彩」をとりいれ、今までにない大胆な墨色と白の構図の作品に仕上げました(今泉今右衛門) 
◎作家コメント:江戸期から伝わる「墨はじき」技法に白の微妙な「雪花墨はじき」と「プラチナ彩」をとりいれ、今までにない大胆な墨色と白の構図の作品に仕上げました(今泉今右衛門) 

今回の展示は、第1章「金は永遠に光り輝き、銀は高貴さに輝く」、第2章「黒はすべての色を内に吸収し、白はすべての光を撥する」、第3章「生命の赤、自然の気」、第4章「水の青は時空を超え、樹々と山々の緑は生命を息吹く」という、4つのニュアンスで構成され、日本を歴史的に表象した天然の煌めきや、自然を彩る根源的な黒と白、また工芸素材の色合いや自然の形象を彩る、生命の象徴を表現。

また日本工芸の展示と伊東豊雄氏の「自然の生命の輝き」をコンセプトとした空間デザインによって、今日まで明らかにされなかった日本工芸の根底に横たわる思想を紹介します。

「自然界にはさまざまなエネルギーが渦を巻いてひしめき合っています。自然の部分としての人間がその中に身を投じ、そのエネルギーを顕在化した結晶が日本の工芸と考えます。デザインを床面と展示台に絞ることによって凝縮した展示空間をつくり、作品が映えるように考えました。即ち味を抽象化された大地(自然)と設定し、大地から湧き上がるエネルギーを、そのまま断面形とする展示台としました」と伊東豐雄氏は語ります。

◎作家コメント:秋陽の金色に輝く情景を表現。乾漆造形の合子に、柏の実を夜光厚貝で、葉は鉛板および金鎮粉と平目粉で蒔き分け、研ぎ出し蒔絵で仕上げています。(奥田小由女)
◎作家コメント:東日本大震災の津波によって、海に流された多くの尊い命を安らかに天空に誘いたいと願いながら制作いたしました(奥田小由女)

日本が世界に発信する芸術文化を牽引する現代の工芸から優れた近年の工芸作品82件を集めた今回の特別展示。いずれも作家らが自由な感性によって多彩な芸術表現を発揮した名作ばかりです。この機会をお見逃しなく!

特別展「工藝2020-自然と美のかたち-」開催概要

◎作家コメント:タータンチェックと市松模様を重ね合わせたものを、金、銀、赤銅など金属の素材を使い多重象嵌しています。(中川衛)
◎作家コメント:タータンチェックと市松模様を重ね合わせたものを、金、銀、赤銅など金属の素材を使い多重象嵌しています(中川衛)

会期/2020年9月21日(月・祝)〜11月15日(日)
会場/東京国立博物館 表慶館
閲館/時間 午前9時30分~午後5時 ※金曜・土曜は午後9時まで開館
休館日/月曜日 ※ただし9月21日(月・祝)は開館、9月23日(水)は休館
キュレーション/内田篤呉(MOA美術館館長〉、諸山正則(元東京国立近代美術館主任研究員)
会場構成/伊東豊雄建築設計事務所
観覧方法/オンラインによる事前予約制(日時指定券)
※観覧料金は後日、展覧会公式サイト等でアナウンスされます。
※特別展「桃山一天下人の100年」(10/6~11/29)は別途事前予約(日時指定券)及び観覧料が必要です。
お問合せ電話番号/03-5777-8600(ハロダイヤル)

◎作家コメント:秋陽の金色に輝く情景を表現。乾漆造形の合子に、柏の実を夜光厚貝で、葉は鉛板および金鎮粉と平目粉で蒔き分け、研ぎ出し蒔絵で仕上げています(室瀬和美)

問い合わせ先

特別展「工藝2020-自然と美のかたち-」

TEL:03-5777-8600

この記事の執筆者
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