マーブル紙の起源は古い。1600年頃、オリエントからトルコ経由でヨーロッパに持ち込まれ、フランスとイタリアに定着。かつて、フランス紙といわれるほど、マーブル紙はフランスで流行したが、やがて廃れ、イタリアのフィレンツェに残った。

一瞬ですくい取る!ジュリオ・ジャンニーニのマーブルペーパー

見た目の美しいマーブル紙

マリアさんの慣れた手技。画用紙やケント紙などを用い、液体に浮かべ、 30秒ほどで掬い上げると幻想的なマーブル紙が完成。
マリアさんの慣れた手技。画用紙やケント紙などを用い、液体に浮かべ、30秒ほどで掬い上げると幻想的なマーブル紙が完成。
ステンレスの容器に海藻をゆでて溶かした液体を入れる。そこに筆を振って染料のしずくを落とし、専用のクシ型の棒や筆で模様をつくる。
ステンレスの容器に海藻をゆでて溶かした液体を入れる。そこに筆を振って染料のしずくを落とし、専用のクシ型の棒や筆で模様をつくる。
3,000種類ものハンドメイドの刻印。1300年代のものもある。
3,000種類ものハンドメイドの刻印。1300年代のものもある。
●Giulio Giannini 住所/P.zza Pitti,37/R-50125,Fir enze ☎+39・055・212621 https: //www.giuliogiannini.com
●Giulio Giannini 住所/P.zza Pitti,37/R-50125,Fir enze TEL/+39・055・212621 https://www.giuliogiannini.com/

1856年創業のジュリオ・ジャンニーニは、フィレンツェで最も古い歴史を誇るマーブル紙の工房。2代目のジュリオ・ジャンニーニさんが、皮革製の本の表紙よりも安価で、見た目の美しいマーブル紙を本の表紙に使ったことで、一躍人気を呼んだ。

現在、6代目のマリアさんが、マーブル紙の職人とPRを兼ねる。職人として40年のキャリアを持つ。実際にマーブル紙をつくりながら、その多様な柄を説明してくれた。渦巻き状になった色柄が、一般的なマーブル紙のイメージだが、「猫の目」「貝」「クジャク」「クシの目」など、様々な模様がある。

1980年代、ミッソーニ夫妻が工房に訪れ、マーブル紙の柄から着想を得て、あの鮮やかなニットに発展したというエピソードも教えてくれた。「瞬間芸術」のようなマーブル紙づくり。6世代にわたりものづくりの情熱を受け継ぐ、奇跡の工房だ。 

この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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PHOTO :
仁木岳彦
EDIT :
矢部克已(UFFIZI MEDIA)