イタリアのトスカーナ州にある都市ピサから20kmほど離れたカルチナイアにダルモ カシミヤの工房はある。創業から70年経った今も、往時の光景を見るようなこぢんまりとした素朴な空間。90歳になる2代目のサラさんを中心に、近所に住む女性たちが、手作業でニットを黙々と編む姿は、実に長閑(のどか)である。

ダルモ カシミヤのニット、温もりを編み込む

左側の赤いニットを着た女性が、ダルモカシミア2代目のサラさん。巧みなボタンホールの縫製はすべて担当する、90歳の現役。右側の女性は、勤続25年目のアンジェラさん。2本の編み棒をもの凄い速さで使いこなす。
左側の赤いニットを着た女性が、ダルモカシミヤ2代目のサラさん。巧みなボタンホールの縫製はすべて担当する、90歳の現役。右側の女性は、勤続25年目のアンジェラさん。2本の編み棒をもの凄い速さで使いこなす。
2018年に発表した、都会的なラインのカシミアのニットジャケット『カプリ』。
2018年に発表した、都会的なラインのカシミヤのニットジャケット『カプリ』。

創業当初は、ウールニットが主体だったが、大手工場による大量生産のニットに押された。ファミリービジネスの原点に立ち返り、巧みな手仕事のニットを製造。2000年以降は、高品質のカシミヤを素材にした、上質なニットを増やした。

今日では、オリジナルのニットのほか、イタリアやイギリスの有名メゾンとのコラボモデルも多数展開。ふわふわとしたカシミヤの優しい肌触りや、クラシックなデザインとの調和が、評価されているようだ。多彩にそろえられたモデルに、ダブルのニットジャケットの『カプリ』や『マレンマーノ』がある。男心をくすぐるノスタルジックな色気をかもし出す、オリジナリティあるスタイルだ。

素朴なデザインで手仕事の高いクオリティを備えるのが、このダルモカシミヤのニットである。 

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PHOTO :
仁木岳彦