城下町の風情が残る“飛騨の小京都”、岐阜県高山市。町なかから少し離れたビール工場の一角に、安土草多(あづちそうた)さんのガラス工房があります。ガラス作家である父・忠久氏のもとで修業した後、20代で築窯して13年。古いレンガ積みの窯を使い、成形から仕上げまで、すべての工程をひとりで行っているのです。

安土さんの技法は「型吹きガラス」。1000℃を超える高温で溶かしたガラスを棹に巻き取り、その塊に息を吹き込んでふくらませたものを、型に入れて成形します。型を使う製法をとっていますが、型から出した後で、棹を回したり揺らしたりして、形をくずすのが安土流です。

左から/面取り酒器¥3,500、八角片口¥3,000、クラックのコップ(小)¥3,000(すべて税抜) ※1点ものにつき、売り切れの場合もあり

安土さんの細長いビールグラスを初めて見たとき、なぜか、すっと手に取りたくなったんです。“あ、使ってみたい”と思える心地よさと親しさがあった。シンプルなように見えて、はっきりした個性がある。女性っぽいかわいらしさと、力強さの両方がある。ひとつのグラスがいろんな表情を放つところが魅力だし、毎日ラフに使える強さも好き。実際、すごく丈夫です。ガラスシェードの照明も自宅で使っているのですが、天井や壁にうつる影がそれはもう美しくて、ガラスは影も楽しむものなんだ、と改めて思いました。

■厚みというより奥行きを感じる質感。角に丸みがあって、手に優しくなじむ形も特徴。クラック(ひびのような模様)が入ったコップは、女性の手に程よいサイズ。片口や酒器は、いわば小ぶりのピッチャー。白ワインや水を入れると、光がゆらゆらと反射して、とても魅力的。「興味がない人でも思わず心惹かれるような、“日常の美しいガラス”をつくりたい」と安土さん。

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※この情報は2016年1月1日時点のものになります。詳細はお問い合わせください。

この記事の執筆者
TEXT :
フジヤ奈穂さん スタイリスト
2017.8.25 更新
インテリアやテーブル周りの仕事を中心に、雑誌や書籍、広告で活躍。作家ものの器や民藝に詳しく、器の本のスタイリングも数多く手がける。 好きなもの:ラナンキュラス、アコースティックギター、コーヒー、ブラウンマッシュルーム、超長綿のベッドリネン、延興寺窯のうつわ
クレジット :
撮影/赤尾昌則 文/輪湖雅江
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