「人工的な障害物ではなく、可能な限り自然に近いフィールドでジープ本来の実力を試して下さい」という、めったにないチャンスがインポーターから届いた。迷うことなく参加を決定。ジープのフルラインアップが並んだその場所は、背丈を軽く超える草が生い茂るシーズンオフのゲレンデだった。おまけに天候は雨が上がったばかりで、相当にぬかるんでいる。都会で過ごしていると、まず走ることなどないルートで、ジープの真価を体感した。

悪路に強い専用モデルが勢揃い

青木湖を見下ろすゲレンデをラングラー・アンリミテッド・ルビコンで一気に下る。スクエアなボディの見切りの良さもオフロードでのストレスを軽減する。
青木湖を見下ろすゲレンデをラングラー・アンリミテッド・ルビコンで一気に下る。スクエアなボディの見切りの良さもオフロードでのストレスを軽減する。
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「Blue Resort 白馬さのさか」に設定されたコースはふたつ。ひとつは比較的容易(それでもゲレンデを上り下りするのだが)なコースで、そちらの試乗用として「レネゲード・トレイルホーク」、「コンパス・トレイルホーク」、「チェロキー・トレイルホーク」、「グランドチェロキー・リミテッド」の4車種が用意された。試乗コースのハードさから、オフロード性能をさらに強化した限定車であるトレイルホーク仕様が並んでいる。

そしてメインコースというか、さらにハードなアップダウンが連続するラングラーコースには「ラングラー・アンリミテッド・サハラ」、「ラングラー・ルビコン」、「ラングラー・アンリミテッド・ルビコン」の3台がスタンバイ。悪路の走破性ではノーマルでも世界トップの実力を発揮するラングラーだが、そのスキルを可能な限り高めたルビコンやサハラといったモデルを並べるという力の入れようである。

まさに4WDのスーパースポーツ

20度以上の下り。泥やガレ場だけでなく、草が倒れ滑りやすいコースをゆっくりだが確実に下っていく。
20度以上の下り。泥やガレ場だけでなく、草が倒れ滑りやすいコースをゆっくりだが確実に下っていく。
前後だけでなく左右にも傾斜のある路面を下る。計器で表示されるので、安心感がある。
前後だけでなく左右にも傾斜のある路面を下る。計器で表示されるので、安心感がある。

ラインアップの中から最初に選んだのは、もっとも走破性の高い「ラングラー・アンリミテッド・ルビコン」(以下、「ルビコン」)だ。スタートからぬかるんだ草地に突入する。「ルビコン」には専用のギア比の「ロックトラック4×4システム」が与えられているので、ローレンジをセレクトして走り出す。初級者レベルのゲレンデの角度なら苦もなく登っていく。装着されたマッドテレインタイヤがガッチリと大地を掴んでいる感覚が伝わってくる。

徐々にコースの角度は増していく。おまけに石がゴロゴロとあらわになっているところも、まさに涼しい顔で登っていく。まるで自分の運転スキルが上がっているような気になってくる。ジープの優れたトルク制御のお陰で、タイヤが路面で空転するような場面に出くわすことのないまま、折り返し地点まで登り切る。

そして、中級者コース程度のゲレンデを下ることに。これまでに走ったクルマがつくったわだちに沿って草が倒れ、コースらしきものはあるのだが、慎重に走る。路面のぬかるみと、滑りやすい草の上、さらには小さな石がゴロゴロとしているガレ場が次々に現れるのだ。

それでも「ルビコン」は4輪を絶妙に制御しながら、4輪が路面をガッチリ掴みながら降りていく。なにしろ車体が25度に傾いても路面を捉えて走れるというのであるから、なんたる安心感!

目の前に迫り来る状況はかなりハードで絶望的な状況だというのに、ステアリングを握る限り、平和な運転感覚で下っていく。このテの本格的な4WDにとって重要なのは速くオフロードを駆け抜ける性能ではなく、いかに確実に路面を掴んで不安を感じたまま走り抜けられるか、という性能である。その点において「ルビコン」というモデルに敵はいないのではないかと思えるほど確実性が高い。

一大決心をする時に“ルビコン川を渡る”という表現が使われるが、それに由来して名付けられた「ルビコン」は、まさに「どこでも走ってみせる」スーパーマンのような性能の持ち主だった。非日常的な状況ではあるが、最近多くなってきた災害時のことを考えると、このスキルの高さは心のゆとりとなることは間違いない。

非日常の中で見つけたジープファミリーの本当の実力

街乗り向きに見える「チェロキー・トレイルホーク」も、その悪路走破性の実力はかなり高い。
街乗り向きに見える「チェロキー・トレイルホーク」も、その悪路走破性の実力はかなり高い。

次はジープブランドのエントリーモデル、「レネゲード・トレイルホーク」(以下、「レネゲード」)を試す。コースもラングラー専用コースに比べれば楽だが、中級者コースを上り下りしたり、かなりハード。トレイルホークという仕様がなんともたくましく感じるコースである。こちらも4輪にはBF グッドリッチのオールテレインという、オフでのグリップ力の高いタイヤを装着している。

ギア比を低レンジにする4WD LOWをセレクトしてコースに突入。今度はコース設定がそれなりの速度を上げて走れるようになっている。ホイールベースが短くコンパクトな「レネゲード」は、見切りの効く軽量ボディのお陰で、ガレ場が連続するコースをかなりの速度(それでも20km/hくらいだが)グングンと登っていく。オフロードを軽快に走るなら、「レネゲード」が一番快適、と思えるほどスポーティだった。

そして迎えた中間地点。ここからの下りでは、不整地の滑りやすいダウンヒル向けとして威力を発揮する、ヒルディセントコントロールのボタンも押す。これによってスロットルペダルを踏まずとも、適切な速度をクルマ側が保つように制御され、ハンドル操作だけに集中して急坂路を降りていける。ジープ独自の電子制御による4×4システムが、どれだけ頼りになるかを実感できる瞬間だ。

「コンパス・トレイルホーク」、「チェロキー・トレイルホーク」なども同じだが、町中から郊外までごく普通に快適に走りながら、イザとなれば高次元の走破性を見せつけてくれる。“地球上でもっとも険しいトレイルでの過酷なオフロード性能試験に合格したモデル”に与えられるというトレイルホーク仕様の赤いTRAIL RATEDバッジに、偽りはなかった。

コンパクトなボディのお陰で悪路を軽快に走った「レネゲード・トレイルホーク」。
コンパクトなボディのお陰で悪路を軽快に走った「レネゲード・トレイルホーク」。
レネゲードの走行モードセレクトダイヤル。オートの他、スノー、サンド、マッド、そしてロックなど走行モードを選べる。
レネゲードの走行モードセレクトダイヤル。オートの他、スノー、サンド、マッド、そしてロックなど走行モードを選べる。
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【ジープ「ラングラー・アンリミテッド・ルビコン」】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,870×1,895×1,850mm
車両重量:2,050kg
駆動方式:4WD
トランスミッション:AT
エンジン:V型6気筒DOHC 3,604cc
最高出力:209kw(284PS/6,400rpm)
最大トルク:347Nm(35.4kgm)/4,100rpm
価格:¥6,120,000(税込)

【ジープ「チェロキー・トレイルホーク」】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,665×1,905×1,740mm
車両重量:1,910kg
駆動方式:4WD
トランスミッション:AT
エンジン:直列4気筒DOHCターボ 1,995cc
最高出力:200kw(272PS/5,250rpm)
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/3,000rpm
価格:¥4,990,000(税込)

【ジープ「レネゲード・トレイルホーク」】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,255×1,805×1,725mm
車両重量:1,570kg
駆動方式:4WD
トランスミッション:AT
エンジン:直列4気筒DOHCターボ 1,331cc
最高出力:132kw(179PS/5,750rpm)
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1,850rpm
価格:¥3,870,000(税込)

問い合わせ先

ジープ

TEL:0120-712-812

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この記事の執筆者
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで「いかに乗り物のある生活を楽しむか」をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
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