各界で活躍する男性・女性が、プライベートで愛用している“食” “お遣い物” “ホテルや宿”などをお聞きするこの連載。トップバッターの『BRUTUS』編集長・西田善太さんに、まずはビジネスでの接待やプライベートの食事会など、ここぞというときに利用するとっておきのお店を伺いました。食事を“面”で楽しむ、日本のサン・セバスチャンとは? 東京の東、京成立石の知られざる魅力に迫ります。

おでん二毛作@京成立石

有名シェフの新店や星付きなどにいち早く通って経験値を稼いだ時代もありましたが、ここ数年は居酒屋をベースにコースを組み立てています。理由は、驚き、非日常性、ハレの感覚…いろいろあるけれど、要は楽しいんです。お店を転々としていると、なんだか旅に出たような気分になって、はしゃいじゃいますね。

今回“食”の名店として選んだ「おでん二毛作」があるのは、東京の東、京成立石。駅から1分の飲食街アーケードを中心に、もつ焼き、おでん、立ち食い寿司、惣菜屋、中華に鶏の素焼きが立ち並ぶこの辺りを“日本のサン・セバスチャン”と呼んでいます。2軒目、3軒目と足を運び、食事を”面”で楽しめるエリアのひとつ。本家スペインのお酒と美食の町“サンセバ”には行ったことはありませんが、ここで十分なのです。

僕のコースはいつも決まっています。「二毛作」に予約を入れておいて、行く時間帯によって、その前後にはしごする店を入れます。早めに行けるときは、京成立石の改札前で待ち合わせて、もつ焼き「宇ち多“」に。ここでの滞在は20分程度、いわゆる“センベロ”ですから、お会計も一人1,000円いかない。そんなセンベロ居酒屋を楽しんで、いざ「おでん二毛作」へ。

リニューアルオープンした「二毛作」は、もともとおでん種専門店「丸忠蒲鉾店」でした


2015年3月に移転し、リニューアルオープンした「二毛作」は、もともとおでん種専門店「丸忠蒲鉾店」が店舗拡張して、隣におでん居酒屋を始めたのが店名の由来です。

滋味が深く、あっさりとした出汁のおでんはもちろん、おでん以外のメニューも充実していて、冬だけでなく夏でも楽しめます。おでんに合う日本酒や焼酎なども豊富ですが、ここではやっぱりビオワインをぜひ。ワインの種類がしっかり揃っているのが喜ばれます。立石で、おでんで、ビオワイン。セレクトはど真ん中、絶対はずさないのでご安心を。

立石(tateishi)のおでん店、二毛作の店主日高寿博さん

■「ワインは一見、おでんとは合わないイメージですが、これがおでんの出汁ととても良く合うんです。白ワインはもちろんのこと、すっきりとした赤ワインも合いますよ」と店長の日高寿博さん。

立石(tateishi)のおでん店、二毛作のおでんとビオワイン

■「しょうが天(写真右上)は女性にも人気。丸ごと煮込んだトマトのおでんも人気です」(日高さん)。

「二毛作」でおでんとビオワインを堪能したあとは、中華「蘭州」で美味しい水餃子か「鳥房」の鶏の素揚げを。立石はスナックも多いので、最後はもう運任せで扉を開けば、オリジナルコースもつくれます。昭和も平成も京成も味わえる、ちょっぴりレトロな日本の“サンセバ”コース。開始時間のオススメは(無理だけど)5時、理想は4時かな。

 

■おでん二毛作
東京都葛飾区立石1-14-4
TEL:03-3694-2039
営業時間/月〜金 14:00〜21:00、土 12:00〜21:00
定休日/日曜・第三月曜

この記事の執筆者
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西田善太さん BRUTUS編集長
2017.6.22 更新
1963年生まれ。早稲田大学卒業後、87年より博報堂第四制作室にてコピーライター。91年よりマガジンハウスにて、『BRUTUS』『GINZA』『Casa BRUTUS』編集部を経て、2007年12月より『BRUTUS』編集長。 好きなもの: 白いスニーカー、書店の匂い、グラノーラ、カスタードクリーム、グラタン
クレジット :
撮影/横田紋子(小学館写真室) 構成/渋谷香菜子(LIVErary.tokyo)