「ベニワレン」という名前のモロッコ製カーペットが、ファッションやインテリア業界の洒落者たちを中心に人気を集めている。その特徴は、毛足の長い白地のウールに施された、黒いラインによる幾何学文様。しかしその名前や柄のルーツをご存じの方は少ないだろう。実は「ベニワレン」とは、モロッコ北部の山間部に住むベニワレン族のこと。

ふたつとして同じものは存在しない

心のままに織ることでうまれる、北アフリカのラグやカーペット

上/モロッコのベニムギルド村で織られた個性的な絨毯。約266×約181㎝。¥280,000・中/モーリタニアの遊牧民がテントの中で使っていたゴザのようなラグは、葦をベースに、ラクダの革で刺しゅうを施したもの。約270×約177㎝。¥270,000・下/人気のベニワレン。約383×約188㎝。¥400,000 (オン・ザ・ショア)
上/モロッコのベニムギルド村で織られた個性的な絨毯。約266×約181㎝。¥280,000・中/モーリタニアの遊牧民がテントの中で使っていたゴザのようなラグは、葦をベースに、ラクダの革で刺しゅうを施したもの。約270×約177cm。¥270,000・下/人気のベニワレン。約383×約188cm。¥400,000(オン・ザ・ショア)

毛足の長さはこの地に住む羊の特徴だし、黒いラインは「家を守る」などといった意味が込められているのだ。このように、モロッコをはじめとする北アフリカで織られるラグやカーペットは、遊牧民たちが家族の生活のために、村ごとの文化や風土に基づいて織った民芸品。デザイン画は存在せず、織り手の女性たちが心の赴くままに自由に織るから、まったく同じ柄やサイズのラグはこの世にふたつとない。

もちろんトルコやイランで織られた工芸品としての絨毯も魅力的だが、売るために織られた完璧な絨毯よりも、家で使うために織られたラグのほうが、なぜだか素敵に見えてくるのだ。

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PHOTO :
戸田嘉昭(パイルドライバー)
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