1889年にローマで創業した「マリーニ」は、100%手作りによる、ビスポークのシューズブランド。王道のクラシックスタイルは、クラシコイタリアの装いにも似合ううえ、コンフォタブルな履き心地と美しく年輪を刻む上質な革で、一生を通じて添い遂げられる名品だ。このたび4代目当主のダニエレ・マリーニ氏が来日。東京と大阪でトランクショーを開催した。メンズプレシャスのエグゼクティブファッションエディター、矢部克已が、マリーニの魅力に迫った。
4世代にわたるハンドメイドの技術
1899年、イタリア・ローマで創業した伝統的な靴店「マリーニ」。その4代目当主となるダニエレ・マリーニ氏が、トランクショーのために来日した。
初代のジュゼッペ氏が同店を創業し、1920年代頃までは、なんとサルヴァトーレ・フェラガモも一緒に仕事をしていた、という伝説的な名店だ。メンズの靴をジュゼッペ氏がつくり、レディースの靴をフェラガモが手がけていたが、やがて、それぞれの道を歩み出した。今でも「マリーニ」で、レディースのス・ミズーラ(オーダーメイド)を展開しているのは、そんな礎に立ってのことだが、世に広く知られているのは、やはり、メンズのどっしりとした、安定感のあるはきやすい靴だ。
14歳の頃から学校に通いつつ、靴づくりの手伝いを始めたという、4代目のダニエレ氏に、「マリーニ」の靴づくりの秘密を聞いた。
「手で革をカットするところから、アッパーとソールを縫いつけて、仕上げにいたるまで100%手づくりによる、オーダーメイドの靴が『マリーニ』の誇りです。創業当時から4世代にわたり、まったく変わらない靴づくりを続けています。なかでも一番『マリーニ』らしいモデルが、ローファーでしょう。ペンドリーニ(タッセル)をデザインし、磨くとより美しさが増すやわらかい素材の、ラマの革を使用するのが、うちの持ち味のひとつです」
やわらかく快適な履き心地の秘密
革は、アッパーの裁断だけではなく、ソールの革も手でカットする。ソールの中ものにコルクやシャンクを使わない、独自の靴づくりによって、美しさに加え、やわらかくて快適なはき心地も生み出すのである。
「ヒールの部分も、決して、出来合いのかかとを張り付けるのではありません。ヒールの曲線に合わせ、革を一枚一枚積み上げてつくるのです。
ローマの靴を代表する『マリーニ』は、トウスプリング(つま先の反り返り)がほとんどなく、靴底がベタッと地面に付くのが特徴。つま先とかかとが均等に、地面に接地することで、安定感のある快適なはき心地が得られるのです」
イタリアの名優と同じ靴も誂えられる!
(問い合わせ先)※次回のトランクショー開催時期は未定です。
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- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
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