女優・吉田 羊さんが着こなす! しなやかに魅せる、ニューノーマル時代の「新ジャケット」

働き方が大きく変わった2020年。仕事服の代表ともいえるジャケットスタイルもまじめな堅いだけの印象から、もっと自由に、しなやかに変化しています。

そんな新しい時代の仕事服を、女優の吉田 羊さんが着こなします。また、さまざまな「働く女性」を演じてきた吉田さんが感じる、女性としての在り方や仕事観についてのインタビューとともにご覧下さい。

吉田 羊さん
女優
(よしだ よう)福岡県出身。映画『ハナレイ・ベイ』、WOWOWドラマシリーズ『コールドケース~真実の扉~』ほかで主演を務める。放送中の金曜ドラマ『恋する母たち』(TBS系・毎週金曜22:00~放送中)では大手メーカー勤務のキャリアウーマン・林優子を演じる。『女性セブン』で連載され、圧倒的な共感を呼んだ柴門ふみの同名マンガを原作に、大石静が脚本を手がけた話題作で、シングルマザーの石渡杏(木村佳乃)、セレブ主婦の蒲原まり(仲 里依紗)と優子の3人の「母」が、それぞれに魅力的な男性と出会い、再び「女」として恋に落ちていくさまを描く。

ドレスアップシーンを華やかに彩る黒ジャケットに、フェミニンオーラを授けて

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●ジャケットは…ヴァージンウールをベースに、シルクの艶をラペルに配したタキシードジャケット。裏地と表地の間にキャンバス素材の芯地を縫い付けることによって生まれる構築的なフォルムは、確かなテーラリングの技術の賜物。着たときにその美しさを実感する。●着こなしは…透け感のあるブラウスがドレスアップの鍵。細身デニムでカジュアルに着くずすのが新しい。ジャケット¥315,000・ブラウス¥120,000[参考価格]・ブレスレット各¥40,000・リング¥45,000・パンツ¥68,000(サンローラン〈サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ〉)

「楽しかった!」 エレガントに、クールに、フェミニンに。そしてときにコケティッシュに。変幻自在のジャケットスタイルを見せてくれた吉田 羊さんの、撮影終了後のひと言だ。

「ジャケットって、働く女性にとっては『さあ、仕事だよ!』というスイッチになる。単なる洋服ではなく、自分を鼓舞してくれる、大切な仕事のパートナー。私も、かっこよく決めたい気分の日は、ジャケットをはおります。そうすると、ジャケットそのものが、力をくれるような気がするんです」

マスキュリンなスーツも肩からなびくスカーフパネルで、フェミニンモードな印象に

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●ジャケットは…ウエストをキュッと太ベルトで絞り、太めのパンツを合わせたマスキュリンなグレーのスーツ。右肩に付いたストール風の「スカーフパネル」は、動くたびに裏地のベージュが見え隠れし、表情豊かに。素材はヴァージンウール。●着こなしは…あえてインナーを入れずにスッキリと。スカーフパネルは、すっと垂らせばモードに、ショール風に首周りに巻くとエレガントに……、とさまざまな表情に。ジャケット¥250,000・パンツ¥87,000・靴¥115,000(フェラガモ・ジャパン〈サルヴァトーレ フェラガモ〉)、椅子¥54,000(ケントストア東京目黒店)

できる女、のイメージが強い。さまざまな「働く女性」を演じてきたが、最近、感じることがある。

「仕事ができる女性上司、という存在が、話の中にあたりまえに出てくる時代になりましたね。少し前にやらせていただいたドラマで、私が、妊娠がわかった部下に対して『じゃあ退職ね』って言う場面があったんです。

今なら大問題ですが、でも、そう昔の話でもないんですよね。結婚したら女性は家庭に入るべき、母親は子育てに専念するべき、と、女性の可能性を狭めていたのは、意外と女性自身だったのかも、と思いました。

でもそれが、変わってきている。女性が主役の作品も増えていますし、性別関係なく、能力のある人が正しく評価される社会になってきたのかなと感じています」

深まる秋の色調に統一したシックな着こなしは、まるで70年代の女優のよう

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●ジャケット…スタンドカラーのマロンブラウンのジャケットは「ポータージャケット」と呼ばれるホテルのボーイの着ているものを基にデザイン。コンパクトなシルエットは、どんなボトムとも合わせやすい。素材はコットンビスコースの艶のあるベルベット。●着こなし…織り柄のあるマキシスカートと合わせて、1970年代のレトロなムードに。遠目から見ても印象に残る着こなしは圧巻。ジャケット¥280,000・ブラウス¥215,000・ベルト¥90,000・靴¥175,000[予定価格]・スカート・帽子/参考商品(セリーヌ ジャパン〈セリーヌ バイ エディ・スリマン〉)

同時に、女優という「女性」にしかできない仕事の面白さもある。

「世にある職業のなかで、女優はある意味特殊で、妻とか母とか、『女であることの特権』を仕事の場で求められることが多いわけです。

私自身は未婚で子供もいないけれど、それでも、役を演じるときには、第六感というか、『女である』ことを、細胞レベルで受け継いでいる実感がありますね」

今回のコロナ禍は、働く女性のあり方も大きく変えた、と語る。

「もう、『今までどおり』は通用しなくなってしまった。仕事も、生き方も、従来の『こうあるべき』という価値観に縛られることなく、新しい社会のなかで、しなやかに変化していける、そういう能力をもっている人が、これからは生き残っていくんじゃないかという気がします。

自分で自分の人生をコントロールしていくことこそが、幸せになる方法なんだ、と」

きちんとした仕立てのジャケットを、あえて力を抜いてラフに着こなす

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●ジャケット…細いストライプは、ボールチェーン=「モニーレ」を刺しゅうしたもの。ヴァージンウールに少量のマイクロファイバーを配合した軽やかな生地は、肩から腰周りに優しくフィット。長めの着丈が極上の着心地を約束する。●着こなしは…太めシルエットのパンツで、肩の力の抜けたエフォートレスな気分を表現。ラフに巻いたスカーフタイで小粋に。ジャケット¥954,000・ブラウス¥144,000・スカーフタイ¥53,000・帽子¥103,000・ベルト¥128,000・パンツ¥147,000・靴¥167,000[帽子・ベルトはオンライン限定](ブルネロ クチネリ ジャパン)

そして最後は人間力、と笑う。

「俳優もそうですが、お芝居がうまい人なんて、ごまんといるんです。努力するのはあたりまえで、あとはもう、人間性、人間力。この人ならどう演じるんだろう、という興味です。

私、撮影現場で、エキストラの方たちによく話しかけるんですね。ひと旗揚げようという人もいれば、定年後に夢だった役者に挑戦した人や、非番の日に医療ドラマに出ている看護師さんも。私自身、お仕事がない時代が長かったからか、ほかの人の人生に興味がすごくあって」

ストイックな黒なのに、部分的なニット使いで親しみやすさを発揮!

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●ジャケット…ボディ部分はウールナイロンの布帛生地。襟、そで、ペプラムの内部に、ウールのハイゲージニットを配した、異素材コンビネーションのロングジャケット。着心地のよさは申し分なし。さらにウエストシェイプと立体的なペプラムが、美シルエットを約束。●着こなしは…ニットジャージーのロングスカートを合わせたロング&リーンなスタイリングは、知的な黒を優しく見せる。印象的なメガネをプラスして、個性豊かに! ジャケット¥350,000・スカート¥230,000(三喜商事〈アニオナ〉)、メガネ¥119,000(トムフォード アイウエア)

放送中の金曜ドラマ『恋する母たち』では、妻であり、母でありながら、年下の部下と恋に落ちる。

「大手企業で役職ある立場にいて、家庭もありながら、さらに恋も、なんて、ともすれば妬まれるキャラクターですが、どこか抜けというか、ほころびがある女性で、そこが愛らしいんですよね。

完璧な人間なんて、面白くないじゃないですか。そもそも私自身がほころびだらけなので(笑)、共感します。妻、母親、上司と、いろんな役割を背負うなかで、消耗して、空っぽになってしまったときに、『なんの役割もない、ただ女としての君が欲しい』と言ってくれる人が現れたら、それは恋に落ちちゃうよね、と。

罪悪感や葛藤を抱きながらも、それでもなお…。正当化するわけではありませんが、でも、やっぱり恋って、人の心を救っていくんだな、と思いました」

女性として、人間として。吉田さんがまた美しく変わっていく。


※掲載した商品の価格はすべて税抜です。

問い合わせ先

PHOTO :
浅井佳代子
STYLIST :
小倉真希
HAIR MAKE :
ヘア/hiro TSUKUI(Perle)、メイク/福沢京子
MODEL :
吉田 羊
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
宮田典子(HATSU)、喜多容子(本誌)