「刊む」ってなんと読む?「かんむ」ではなくて…「刊」という字、意外な意味があるのです!

皆さま、最近、新聞は読んでいらっしゃいますか?

ひと昔前は、読み終えた「新聞紙(しんぶんし)」が年末の大掃除で大活躍…という事が当たり前でしたが、

情報のデジタライズが進んだ昨今、紙の新聞に触れる機会が、全体的に減っていそうです。

実は本日12月8日は、日本初の日刊新聞が創刊された日です。

1870(明治3)年の本日に発行された『横浜毎日新聞』(横浜活版舎)は、全2ページ、現在の新聞の約半分程度の大きさだったそうです。

さて、「創刊」「刊行」など、出版物や印刷物には「刊」という字がつきものですよね?たとえば、新聞や雑誌などの定期刊行物がお休みになる場合は「休刊」と言ったり、「刊=出版/印刷物の発行」というような意味で使われています。

…というところで、本日は、2問続けて「」の難読クイズと参りましょう。

【問題1】「刊る」ってなんと読む?

「刊る」という日本語の読み方をお答えください。

ヒント:「訂正する箇所をこそげとる」という意味の言葉です。

<使用例>

「年賀状用に木版画を掘っているのだけれど、上手にできないところを刊っているから、デザインがどんどん単純になってしまうの。」

「○○る」と読み仮名2文字です。
「○○る」と読み仮名2文字です。

・・・さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 刊(けず)る です。

意外な読み方!…しかし、ちゃんとした背景があるのです。解説をご覧ください。
意外な読み方!…しかし、ちゃんとした背景があるのです。解説をご覧ください。

「削(けず)る」は「刃物で表面をそぐ/削減する/一部分を削除する」などの意味を持ちますが、

「刊(けず)る」だと「訂正する箇所をこそげとる」なのです。…あら?いささか、違和感を感じませんか?

「訂正する箇所」があったら、「消す」「修正する」という対処法が一般的ですよね?

…という疑問を抱えつつ、2問目の出題です。

【問題2】「刊む」ってなんと読む?

「刊む」という日本語の読み方をお答えください。

ヒント:「木や石に文字などを彫りつける」という意味の言葉です。

<使用例>

「紙が発明される前は、木や石に文字を刊んで、情報を書きつけていたのよね!」

「○○む」と読み仮名2文字です。
「○○む」と読み仮名2文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 刊(きざ)む です。

ヒントの例文の通りの歴史が、この読み方に表れています。

2問通したところで、【問題1】の後で出ていた疑問も、なんとなく解消されたのではないでしょうか?

「刊」という字は、木や竹、石などに文字を彫りつけることを意味した字で、

昔の印刷は訂正箇所が出た場合、版木を「刊(けず)る」ことで修正を行っていたのです。

「刊」という字の入った四字熟語に

「万世不刊(ばんせいふかん)=磨滅せず、いつまでも伝わり続けること」や、

「不刊之書(ふかんのしょ)=いつまでも変わらず伝わり続ける書物。不朽の名著。」があります。

「不刊」とはすなわち「変わらないこと=改めて訂正しないこと」を意味します。

「できあがった(校正を終えた)作品を印刷して出版すること」を「刊」という字で表すようになった流れが、うなづけますね。

本日は、日本初の日刊新聞が創刊された日にちなんで、

・刊(けず)る

・刊(きざ)む

という難読漢字をおさらいしました。
 

 

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Precious.jp編集部 
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参考資料:『漢字カフェ』公益財団法人日本漢字能力検定協会
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小出 真朱