その年に発売されたラグジュアリーウォッチから、40~50代にふさわしい逸品をカテゴリーごとに選出する「Precious Watch Award」。今年で3年目を迎えました。今年も高い審美眼をもつ8人のプロフェッショナルが、華やかに出そろったニューモデルのすべてを吟味し最高の一本を決定しました。

最新『Precious』1月号では「Precious Watch Award」を総力特集。この記事では、その中からクラフツマンシップ賞を受賞した、ジャガー・ルクルト「101 スノードロップ」をご紹介します。

ムーブメント、宝飾技術、それぞれ至高を究めたクラフツマンシップに敬意を込めて。

あまりにも稀少なため実物が日本に届かず、受賞対象から外れてしまったものの、「それはあまりにも残念」という声が多く上がり、急遽部門を新設。時計としてジュエリーとして、究極に挑んだ、マニュファクチュールの技術力と矜恃の結晶のようなウォッチです。

本間恵子さん
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
(ほんま けいこ)ジュエリーデザイナーから宝飾専門誌エディターに転身。その後フリーランスになり、女性誌や新聞を中心に専門性の高い記事を執筆。手を洗う機会が増え、今はリングをあまりつけなくなり、大ぶりの時計を選ぶ傾向になっている。
岡村佳代さん
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
(おかむら かよ)スイスの時計フェアの取材歴は日本屈指のキャリアを誇り、女性に機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られている。マニアックになりすぎないわかりやすい筆致で、女性誌、男性誌、専門誌から新聞まで、幅広い媒体で執筆活動を展開。
中村絵里子
本誌ファッションディレクター
(なかむら えりこ)装飾的な美しさと精巧で本格的な中身を両立するレディスウォッチの奥深い世界に興味をもつ。ラグジュアリーウォッチ&ジュエリーの取材多数。高級ブランドのアーカイブや工房を訪ねる機会も多く、貴重な時計を目にするチャンスに恵まれている。
並木浩一さん
腕時計ジャーナリスト、桐蔭横浜大学教授
(なみき こういち)1990年代より、スイスの時計フェア・S.I.H.H.(ジュネーブサロン)、バーゼルワールドほかを取材・研究し続けている日本の腕時計ジャーナリストの草分け。著書に、『腕時計一生もの』(光文社新書)、『腕時計のこだわり』(ソフトバンク新書)などがある。

創業以来187年、一貫して時計製造に専念する名門、ジャガー・ルクルト。そのウォッチメイキングは、スイスの時計産業の聖地であるル・サンティエに拠点を置く工房ですべて行われており、ひとつ屋根の下で180以上の職種の熟練の職人たちが日々切磋琢磨しながら、時計製造に情熱を傾けています。

その長い歴史のなかで製造されてきたムーブメントは、なんと1200種類以上! それには複雑機構でも最高難度のミニッツリピーターやトゥールビヨンなどのハイコンプリケーションも多数含まれ、メゾンの豊かな独創性と創造性を語ります。

同時に、創業間もないころからジュエリーウォッチも手がけ、歴史あるジュエラーと比肩する宝飾技術の伝統と実力も兼備。とりわけ、宝石の輝きを最大限に生かすジュエリーセッティングの技は、専業のジュエラーをも凌駕する高さを誇ります。

そんなジャガー・ルクルトが2020年の新作の目玉として発表したのが、この「101 スノードロップ」。メゾンの美学と矜恃が凝縮されたこのハイジュエリーウォッチに収められているのは、1929年に開発された世界最小の機械式ムーブメント「キャリバー101」です。

「ジュエリーと機械式時計の融合という点で、ひとつの究極ともいえる完成度の高さに拍手!」(本間恵子さん)

時計_1,高級時計_1
「101 スノードロップ」¥44,400,000/参考価格 ●ケース:PG×ダイヤモンド ●ケースサイズ:縦18.35×横5.98mm ●ブレスレット:PG×ダイヤモンド ●手巻き(ジャガー・ルクルト)

スイスのジュウ渓谷にうっすらと積もった雪の下から芽吹く、清らかな白いベル形の花から着想を得た、繊細なマンシェット(バングル)スタイル。時計全体に使われているダイヤモンドは904個(合計20.9カラット)。

そのうち、204個がペアシェイプ、700個がブリリアントカットと、異なるカット、形状のダイヤモンドが織りなす美麗な輝きは、うっとり見惚れるほど。

時計_2,高級時計_2
重さもわずか1g! 長さ14mm、幅5mm未満の「キャリバー 101」。この微視的なスケールでムーブメントをつくり、組み立てるために必要なスキルを習得しているのは、メゾンのなかでもほんのひと握りの時計職人だけ。
時計_3,高級時計_3
まずはブレスレットの形状とジュエリーセッティングのスタイルを決めるという、ジュエリー主体のデザインアプローチがとられた本作。ダイヤモンドも透明感が強いハイクオリティのものを厳選。
時計_4,高級時計_4
ひと粒ずつ丹念に手作業でセッティング。4つの爪で石を固定する「グリフセッティング」により、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出す。熟練のジュエリー職人をもってしても、ジェムセッティング作業だけで130時間もの時間を必要とする。

「誕生からほぼ1世紀近く経った現在でも、世界で最も小さい機械式ムーブメントであり続けている歴史的なヘリテージ。紛うことなき時計界の至宝です」(岡村佳代さん)

「ペアシェイプのダイヤモンドが放射線状に広がり、花びらの上に積もるはかなげな雪の表現も繊細」(中村絵里子)

「『101』の最高傑作」(並木浩一さん)

ほぼすべての審査員から、惜しみない賛辞を集めました。

※掲載した商品は、税抜です。
※文中の表記は、PG=ピンクゴールドを表します。

問い合わせ先

ジャガー・ルクルト

TEL:0120-79-1833

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PHOTO :
戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー)
STYLIST :
関口真実
COOPERATION :
安里昌悟
EDIT&WRITING :
岡村佳代、長瀬裕起子、中村絵里子(Precious)