2020年はだれにも記憶に残る年となりました。パンデミックは世界に、日本に、地球に、そして私たち女性にどんな影響を及ぼしたのでしょうか。最新雑誌『Precious』1月号では、トピックを10に絞り、安藤優子さんがその論点を解説しています。
本記事では、その特集の中で取り上げられている10の論点のうち、日本に関する3つの論点をご紹介します。
論点5:前例主義を打破する!? 菅内閣の今後を占う
「9月16日、菅内閣が発足しました。所信表明では『行政の縦割りの打破』など改革姿勢を強調。コロナウイルス対策として持続化給付金や『Go Toキャンペーン』に加え、2021年前半までに国民全員分のワクチン確保も掲げています。また、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするというエネルギー問題、さらに肝煎いり政策とされる携帯電話料金引き下げにも意欲を見せています。
一見、具体的な政策が並んでいるように見えますが…どこか『人気取り政策』に感じるのは私だけでしょうか。日本学術会議の任命拒否なども含めて、論旨がズレている問題も多々。我々国民は、引き続き想像力を働かせ、発言と行動を見守るべきなのです」
論点6:日本初のデジタル庁発足! まず手をつけるべきこと
「菅内閣により、日本でもようやくデジタル庁が創設されることになりました。今年いっぱいは準備期間で来年の始動を目ざす…とのことですが、それって遅すぎやしないでしょうか。今の日本でまずデジタル化しなければならないのは『データ管理』です。
コロナ禍で東京都が感染者数をまとめるとき、それぞれの区から3日前の人数が書かれたFAXが届き、それを手入力でまとめていたといいます。区の保健所は厚生労働省、つまり国の管轄であり都の管轄ではないから、というのが理由ですが、今この時代に統計を取るにあたって、あり得ない話ですよね。押印廃止が話題になっていますが、今の日本には、さらに解決すべきアナログ問題が山積みなのです」
論点7:日本の女性の社会進出本当に必要なものは絶対的な意識改革
「不妊治療の助成が進んでいます。所得制限が撤廃され、保険適用支援が拡大されていくというものです。子供を産み育てたいと考えるカップルにとっては、素晴らしいニュースといえるでしょう。ただ、そのような純粋な思いと、政府の思惑は、別物として考える必要があります。政府は、人を国力、もっと言えば労働力として見ている、という視点も頭に入れておいてほしいのです。
だからこそ私が望むのは、治療費の助成という金銭面だけではなく、産んだあとの環境整備。残念ながら今の日本には、産み育てながら、充実感をもって働ける環境が不足しています。不妊治療と同時に、女性の生き方そのものへのリスペクトを。その意識改革が必要だと思うのです」
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- PHOTO :
- 篠原宏明
- EDIT&WRITING :
- 本庄真穂、喜多容子(Precious)