アーティストたちが個展などを開催する場所となるギャラリー。今回は、上海のフランス租界エリアにギャラリーをかまえるギャラリスト・シュンさんの、人生を豊かにするための生き方について迫ります。

■さまざまな経験を積み、自身の理想とする空間をつくるギャラリストに

ギャラリスト、アーティストのシュンさん

飛び級で北京大学に進学してマルチメディアについて学び、2000年には東京大学大学院経済学研究科へ入学。同時に、「洋服関連のことも学びたい」と、パターンからデザインまで学べる、文化服装学院の服飾研究科という修士課程を選び、ダブルスクールでほとんど寝ずに勉強する毎日を過ごしたシュンさん。卒業後は休暇も兼ねてパリへ渡り、絵を描くことと、バックパッカースタイルでの旅を始めました。そして、訪れた上海で、工場跡地の雰囲気を残したギャラリー街「M50」を気に入り、自身でギャラリーを開くことを決意。

「ヨーロッパの美術館を回って印象的だったのは、小さな子供たちが絵の前に座り込んで、あれこれ自分の意見をしゃべっていたこと。そんな環境は中国にはなく、うらやましいと思いました。だから、2006年にオープンした自分のギャラリーでも、壁一面を子供が落書きできるコーナーにしたほどです」 

■「できなかったら、できたこともある」がモットー

当時は、まだ上海にギャラリーが少なかった時代。学生だったシュンさんは、周囲に経験者がいないなか、作品の値段の決め方、契約した画家とのお金のやりとりなどでいろいろな失敗も経験したといいます。「でも、大好きな小説『老人と海』の主人公に比べれば大丈夫と思うことにしています。先日も、飛行機に乗り遅れて翌日の便になったのですが、その1日を有効に使えた。『できなかったから、できたこともある』がモットーです」 

10年が経ち、少し休んで、この6月からはフランス租界エリアへ移転してリニューアルオープン。さらには、海外からのアーティストのための、レジデンス付きカフェも計画中です。「インド人アーティストが自分の作品を見に来たお客さんにカレーをふるまう。そんな空間をつくってみたかった」、と彼女は微笑みます。シュンさんのギャラリーでの個展をきっかけに、注目が高まった日本の若手アーティストも多いのだとか。ここから、アジア、そして世界へ、さまざまなアートが発信されていくことでしょう。

■世界各国キャリアへ 、5つの質問

Q1:仕事の成功のためにしている習慣は?
哲学書を読む。現実的な仕事ばかりだと自分が俗っぽくなる気がする。
Q2:バッグに必ず入っているもの3つは?
本(今読んでいるのは村上春樹)、名刺入れ、携帯電話。
Q3:あなたの街のストレス解消スポットは?
フランス租界エリアのオープンカフェ。または昔ながらの映画館。
Q4:理想の週末の過ごし方は?
散歩したり、風景写真を撮ったりして、だれにも会わずに過ごす。
Q5:人に言われてうれしいほめ言葉は?
最近「小柄なのにスケールは大きいね」と言われてうれしかった。

PROFILE
シュンさん
ギャラリスト、アーティスト
37歳。浙江省出身。幼少時はドイツで生活、両親の仕事の都合で北京へ。北京大学進学後、2000年から東京大学大学院と文化服装学院のダブルスクールで勉強。卒業後、パリのエスモードに籍をおきながら、アーティスト活動を行う。2006年にギャラリーをオープン。今年6月から移転し、リニューアルオープン。
PHOTO :
長舟真人
EDIT&WRITING :
萩原晶子
RECONSTRUCT :
難波寛彦