「現の証拠」って何のこと?ミステリー?お金?いったい…?
明日は1月30日ですが、毎月「0」のつく日、つまり「10日」「20日」「30日」は『キャッシュレスの日』という記念日です。一般社団法人人本キャッシュレス化協会が2018年に制定した、歴史の新しい記念日で、日本のキャッシュレス化の促進を目的としています。
日本は先進国の中でもキャッシュレス決済比率が低めで、2018年当時で約20%程度でした。最近は感染対策もあり、キャッシュレス決済の利用者が増えているようですが、経済産業省は「2025年までに4割程度、将来的には世界最高水準の80%程度」を目標に掲げています。
…というところで、本日1問目のクイズです。
【問題1】「現前」「現生」「現の証拠」…「お金」はどれ?
次の選択肢の中から、「現金(げんきん)」と同じ意味をもつ単語を選んでください。
1:現前
2:現生
3:現の証拠
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:現生(げんなま) です。
「げんせい」と誤読すると正解にたどりつけませんが、「現金」の俗語である「現生(げんなま)」、読めましたか?いかにも生々しい俗語ですが(笑)。
ちなみに、選択肢1の「現前(げんぜん)」は、「現在、目の前に現れていること」という意味の言葉で、「現前たる事実」のように使用します。
選択肢3の「現の証拠」は、「単語なの?」と疑いたくなる方もいらっしゃったかと思いますが、辞書にも掲載されている、れっきとした単語で、薬草としても用いられる植物「ゲンノショウコ」の漢字表記なのです。この一風変わった呼び名は、この薬草の効き目が大変顕著であったことから、「よく効く=証拠が現れる薬草」という意味で呼ばれるようになった、と言われています。
さて、キャッシュレス決済の話題に戻りましょう。
「キャッシュレス決済」は、「現金払い」の対語となるわけですが、「現金」の対語は日本語で言うと「掛け」になります。
ショッピング=経済取引に際し、支払いを(約束の期日までなど)保留している状態が「掛け」で、
経済取引に際し「お金を支払ったり品物を引き渡りたりする義務」を「債務」、相手方の権利を「債権」と言います。
そして「決済」とは、実際にお金を受払し「債権」「債務」を解消する手続きを指すのです。
「キャッシュレス決済」は、社会的信用を担保するクレジットカード等を解し、「決済」の約束=「掛け」の状態を即成立させることを指すわけです。
…というところで2問目のクイズです。
【問題2】「債り」ってなんと読む?
「債務」「債権」の「債」という字の訓読み「債り」の読み方をお答えください。
ヒント:「他者から借りた金銭。また、それを返す責任や義務。」という意味の言葉です。
「日本でキャッシュレス決済の比率が低めなのは『債り』を良しと思えない前時代の感覚が影響しているのよね。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 「債(か)り」 です。
対語にもなる「債(か)し」という読み方もあります。「貸し」「借り」という表記はお金に限った表現ではありませんが、「債し」「債り」はお金の取引上の貸借に限定されます。
キャッシュレス決済は社会的信用に基づく現代的なシステムですが、「債り」という行為になんとなく負のイメージがある、という世代や考え方は、まだ日本には根強い気がいたしますね。キャッシュレス社会の醸成には、こうしたイメージを払拭できるような金銭管理感覚をみなが身に着けることが不可欠かもしれません。
本日は『キャッシュレスの日』にちなんだトリビアに合わせ、
・現前(げんぜん)
・現生(げんなま)
・現(げん)の証拠(しょうこ)
などの日本語と、
・債(か)り
・債(か)し
という読み方をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:日本銀行ホームページ/経済産業省ホームページ
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱