今月のアスリート王子:堀島行真選手(23歳)…フリースタイルスキー選手
ずば抜けたスピードで世界トップクラスに君臨する「エアの申し子」堀島行真選手!
深いコブが連続する急斜面を滑り降りながら、2か所のジャンプ台でエアトリック(空中技)を行い、ターン、エア、タイムの合計点で競うフリースタイルスキー・モーグル。冬季オリンピックでも人気のこの競技で、世界一の座に最も肉薄している日本人スキーヤーが堀島行真選手です。
ワールドカップでは2018-19、2019-20シーズンに2年連続で総合2位になり、今シーズンは1月末時点で総合トップ。初の総合優勝が目前という、世界トップクラスのスキーヤーなのです。
モーグルコースの平均斜度は28度前後。スタート地点から見下ろすと、上級者でない限り足がすくむ角度です。しかもジャンプした後の着地点がスタート位置からは見えない! そんなスリリングなコースを、両膝をぴったりとつけて全速力で滑るモーグルスキーヤーたちのなかでも、堀島選手のスピードはずば抜けています。
そして、目を見張るのがエアです。武器は「コーク1440(体を斜めに倒して4回ひねり)」。この大技を18年12月に世界で初めて決めて喝采を浴びました。
スキー好きな家庭に生まれ、小学生の頃から「エアの申し子」と呼ばれるほど優れた空中感覚の持ち主だった堀島選手は、アクロバティックな動きなら何でも得意。最近では、ディズニー実写映画『アラジン』でも評判になった「パルクール」や、自転車のBMXなどに挑戦した動画をインスタに上げていますが、どれも驚くような運動神経を見せています。
アグレッシブさが全開といった印象の堀島選手ですが、素顔はとっても穏やかで優しい感じ。好きな曲をたずねると、「昨年の紅白歌合戦で聞いて、いい歌だなと思った嵐の『カイト』です」との答えが返ってきました。
「毎年、大みそかは家族で紅白歌合戦を見て、ゆく年くる年を見て、という過ごし方をしています」と言うように、家族団らんの時間を大切にする好青年です。
モーグルスキーヤーとして例年は海外を転戦することも多く、「アメリカに行くとマクドナルドやバーガーキングなどジャンキーな食べ物が多く味が濃いので、帰国したときは温かいソバや、シンプルなしょうゆ味にホッとします」とも言います。
モーグルは少しでもバランスを崩すと硬い雪面上で転倒する危険があり、ケガと隣り合わせの競技でもあります。堀島選手の最大の目標はオリンピックの金メダル。その日までケガすることなく突き進んでほしいものです。
Athlete data
- TEXT :
- Precious編集部
- WRITING :
- 矢内 由美子(スポーツライター)
- EDIT :
- 宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)