今やすっかり耳慣れた言葉「サステイナブル(=Sustainable)」。地球を取り巻く環境が大きく変化している今、とりわけ「食」の世界では、限りある資源をどう使うのか、どう残していくのかは、切実な問題となっています。

「ラグジュアリー」と「サステイナブル」の共存を目指して進化する、ラグジュアリーレストランの「今」に迫ります。

今回ご紹介するのは、究極の地産地消を追求する富山のオーベルジュ「レヴォ」です。

コンセプトは“前衛的地方料理”。人里離れた富山の秘境で究極の地産地消を追求!世界レベルの美食オーベルジュ——「L'évo(レヴォ)」

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イカ墨を使った富山の伝統食「イカの黒づくり」(塩辛)を真鱈に塗り熟成させて熾火焼きに。カリフラワーのソースと敷地内に生育しているクロモジの枝を添えて。

雪が多い富山のなかでもさらに雪深い限界集落、利賀村。手つかずの大自然に、ときおり出合う野生動物…。まさに秘境の地。

「不便です(笑)。でも、わざわざ足を運んでいただく価値は絶対にある。料理はもちろんですが、山深い地ならではの自然と日本の原風景をぜひ体験していただきたい」

そう語るのは、富山の「リバーリトリート雅樂倶」内にあった一つ星フレンチレストラン「レヴォ」の谷口英司シェフ。2020年1月移転のため休業、同年12月新生「レヴォ」がオープン。

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宿泊は1日3組限定。タイプの異なる3つの客室コテージは部屋の谷側が大きなガラス窓。四季折々の風景を堪能できる。木枠はこの地にあった古民家の窓枠を再利用。宿泊者だけの特権、朝食もぜひ。赤かぶの漬物や利賀村のじゃがいもを甘辛く炊いた「かっちり」など郷土料理が楽しめる。

「利賀村には山菜採りで訪れたことがありました。山菜のたくましい味と、なによりこの地の『水』の清らかさと美しさ、おいしさに心底感動したんです」

レヴォで供されるのは、山菜ほか赤かぶ、チョロギ(シソ科)、伯爵かぼちゃなどの在来種や、富山の海や山の幸にこだわった「前衛的地方料理」。

利賀村の在来種、赤かぶは腐葉土で包み焼きに。ゆっくりと蒸し焼きにすることで、赤かぶのうま味と甘みをストレートに味わえる。
利賀村の在来種、赤かぶは腐葉土で包み焼きに。ゆっくりと蒸し焼きにすることで、赤かぶのうま味と甘みをストレートに味わえる。

「かつて利賀村の人々は、薪を割り、山菜やキノコを採り、猪や鹿などの獣を狩って山と共に生きてきました。この土地で育つ力強い食材や、土や水の恵みを生かした調理法、春のうちにつくっておく山菜の保存食…。ここで暮らせば暮らすほど、先人の知恵に感動します。」

「同時に、自然に感謝し自然と共に謙虚に生きること。その地の食や文化を守っていくこと。料理人として、原点に帰るような気持ちになります。こんな変化も、サステイナブルなあり方かもしれません」

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広大な敷地にはレストラン棟とコテージ3棟、パン小屋、サウナ棟などが。酵母を入れ土からこだわってつくった菜園では、春から野菜を育てる予定。
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オープンキッチンの広がるレストラン棟の1階にはワインセラーとジビエの熟成庫が。

【Sustainable Point】土地の恵みを最大限に活かす

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谷口シェフが感動した、清らかな水。

レヴォの前を流れる利賀川。

「施設の水は山水100%。清らかで本当においしく、ブイヨンやコンソメなど料理の味が変わりました。利賀村の山水で育った食材を利賀村の山水で調理する。こんな贅沢なことはありません」

問い合わせ先

  • L'évo(レヴォ)
  • 営業時間/レストラン:ランチ12:00/12:30~、ディナー18:00/19:00~(完全予約制)
    定休日/水曜、夏季休業(8月上旬予定)
    メニュー/おまかせ1コースのみ¥20,000、コテージ1棟貸し¥40,000~
    ※レストランだけの利用も可。
  • TEL/0763-68-2115
  • 富山県南砺市利賀村大勘場田島100番地

EDIT&WRITING :
田中美保、佐藤友貴絵(Precious)