あまりの座り心地のよさに魅せられた、名作椅子「グラスシートチェア」

家時間が増え、インテリアへの関心が高まる今。最新『Precious』4月号では、「ピエール・ジャンヌレ、その名作椅子を知っていますか?」と題した特集を展開中です。特集内では、ジャンヌレ作品に加え、さらに今、暮らしに取り入れたい名作椅子を厳選して紹介しています。

本記事では、そのなかでも編集スタッフがそのあまりの座り心地のよさに魅せられた、ジョージ・ナカシマの「グラスシートチェア」を紹介します。

こっくりとしたウォールナットの無垢材と天然のい草で作られた、「グラスシートチェア」。自然素材がもつおおらかさが息づくようなこのダイニングチェアは、初めて座ったときからすっと体になじむような心地よさ。いつまでも座っていたくなります。

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右が「グラスシートチェア」[幅57.5×奥行き50×高さ70、座面高43㎝]¥180,000・「グラスシートスツール」[高さ33㎝]¥90,000・[高さ43㎝]¥90,000(桜ショップ 銀座店)

この椅子は、木のそのままの美しさを家具にしたと言われるジョージ・ナカシマの初期の傑作。曲げ木でつくられた緩やかな半円状の背もたれと四角い座のフレームが対比となり、おおらかなムードがありながらもモダンな美しさが漂っています。

見た目も軽やかですが、実際にも4kgと軽量。ダイニングチェアとありますが、食事のときだけでなく、“自分の居場所”にしてリビングなど好きな場所に移して座るのもよさそうです。

木工家具作家のパイオニア、ジョージ・ナカシマとは?

ジョージ・ナカシマは1905年生まれの日系アメリカ人。シアトルで育ち、大学で林学を学んだ後に建築学へ転向し、マサチューセッツ工科大学大学院へ。卒業後、ロンドンやパリを経て父母の故郷であった日本を訪れ、日本のモダニズム建築の礎となったアントニン・レーモンドの建築事務所に勤めました。

アメリカに戻り、第二次世界大戦中には日系人の強制収容所に抑留される、辛い日々に遭遇。ですがそこには日系二世の大工との出会いがあり、基本的な木工技術と木の知識を獲得。木と向き合い続ける家具作りを極めることになりました。

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“木のそのままの美しさ”が息づく家具を手がけたジョージ・ナカシマ

戦後、ペンシルバニア州ニューホープに拠点を構えて製作を開始。1950年代はじめにはアメリカで認められ、木工家具作家のパイオニアとして世界に知られる存在に。

そんなジョージ・ナカシマを語る上でもうひとつ欠かせないのが、香川県高松の桜製作所です。64年に再び来日した際、ナカシマはその職人技に惚れ込みます。以来、半世紀以上もの間、ジョージ・ナカシマの家具は本拠地ニューホープと桜製作所だけで、彼の思いを受け継ぐ職人たちによって作り続けられているのです。

Precious本誌で掲載した「コノイドチェア」も名作

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コノイドチェア[幅53.5×奥行き57×高さ90㎝、座面高44㎝]¥220,000(桜ショップ 銀座店)

Precious2019年8月号の特集「美しいひとの美しい部屋」では、ジョージ・ナカシマのもう一つの名作椅子「コノイドチェア」を紹介しています。背もたれ部分のハープの弦のような背棒は、野球のバットにも使われるしなやかなアッシュ材を用いて、熟練の職人がカンナで削ったもの。この椅子もまた、座り心地が最高なのです。


以上、「グラスシートチェア」を中心に、木工家具作家、ジョージ・ナカシマが手がけた名作椅子を紹介しました。

自宅のなかでの“居場所”をつくり、そこで毎日時を過ごすだけで幸せ。そんな豊かな時を与えてくれる名作椅子のあるライフスタイルを始めてみませんか?

※掲載商品はすべて税抜です。

問い合わせ先

桜ショップ 銀座店

TEL:03-3547-8118

この記事の執筆者
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WRITING :
川村有布子
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