社会への女性進出が当たり前になり、誰しもにそのチャンスが与えられている現代。しかし、未だ日本の女性起業家比率はたったの21.4%※であり、意思決定への参画やキャリア、雇用形態など、日本のビジネスフィールドには男女の不均衡が根強く残っています。(※2020年度新規開業実態調査より)
「温肌」をビューティーコンセプトに、女性のチャレンジを応援するコスメブランド「ON&DO(オン&ドゥー)」は、国際女性デーである2021年3月8日(月)に、オンラインイベント「WOMEN'S VITAL CONVENTION(ウーマンズ バイタル コンベンション)」を実施。
時代をリードする女性起業家や、キャピタリストをゲストに迎え、「誰もがいきいきと輝ける世の中に。女性に、社会に、VITALを」をコンセプトとしたトークイベントが行われました。
本記事では、そのイベントレポートをお届けします。
今を生き抜く女性たちが見る社会の課題とは?「WOMEN'S VITAL CONVENTION」
本イベントは、「Culture&Social(カルチャー&ソーシャル)」「Femtech&Femcare(フェムテック&フェムケア)」「Divercity Management(ダイバーシティ マネージメント)」「Vital Life(バイタル ライフ)」の4つのテーマに分け、それぞれ2名のゲストが対談形式で登壇するトークセッションの形で行われました。
■1:起業したい女性に学びの場を!「Culture&Social(カルチャー&ソーシャル)」
セッション1「Culture&Social(カルチャー&ソーシャル)」では、19歳で起業し「HOTEL SHE(ホテルシー)」など数々の話題のホテルを世に送り出し続けてきた、ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんと、数多くのアーティストのアートワークを中心に幅広い活動を続けている、イラストレーターの山代エンナさんが対談しました。
「どんな想いで事業を立ち上げたのか」といった話をきっかけに始まった本対談。やがて、話題は「多様性のある社会を実現するために、課題と感じていること」へと変わり、その答えとしてふたりは共通して「教育機会の充実」を挙げました。
「起業後、手探りでさまざまなことを学んでいったので、遠回りしてしまった。起業を目指す人が当たり前に学べる場や、情報源が増えればいいと思います」と龍崎さんは語ります。
また、社会で働いていく上で、人との繋がりやコミュニケーションの大事さを切に感じるという山代さん。「教育現場で、人との関わり方などの“社会に出てから必要なこと”を学べたら、もっとよくなるのではないか」という意見が挙げられました。
■2:妊娠・出産は女性だけの問題ではない!「Femtech&Femcare(フェムテック&フェムケア)」
セッション2「Femtech&Femcare(フェムテック&フェムケア)」では、26歳から始めた不妊治療をきっかけに起業した坂梨亜里咲さんと、女性の健康問題をテクノロジーで解決する「フェムテック」に特化したメディアコマースのスタートアップを立ち上げた西本美沙さんが対談しました。
日本のフェムテックに対する意識が低いことを問題視しているというふたりが、女性特有の身体や健康に関する最新のテクノロジーや、その未来について語ります。
「今後は、男性に寄り添った、男性にも妊娠や出産に興味を持ってもらえるようなプロダクトを作っていきたい」と語る坂梨さん。「妊娠・出産は、女性だけの問題ではない」という意見に同意を示しました。
現在、女性の健康課題が可視化されていないと感じ、それが「当たり前に考えられる世の中」になってほしいと語る西本さんは、今後そういった「フェムテック」の商品がより使いやすく、手に取りやすい環境を作っていきたい、と語ります。
10年後には「ジェンダーレスになっていてほしい。女性と男性、という形で分けるのではなく、個々で違いを求めるような世の中になっているとよいのではないでしょうか」と話してくれました。
■3:ひとりひとりが活躍できる社会へ「Divercity Management(ダイバーシティ マネージメント)」
セッション3「Divercity Management(ダイバーシティ マネージメント)」では、独立系ベンチャーキャピタル「ANRI」で最年少の女性キャピタリストとしてスタートアップベンチャーへの投資を担当している江原ニーナさんと、出産後にシード特化型ファンドを設立し、女性の社会活躍の支援を目指す矢澤麻里子さんが対談しました。
「ベンチャーキャピタル」とは、投資家からお金を預かり、スタートアップと呼ばれるいわゆるベンチャー企業に投資をして、企業が大きくなったのちに株式などを売却して、キャピタリティという収益を得る組織のこと。
「どうしてキャピタリストになろうと思ったのか?」という質問に対し、「留学した際に、若い男性の先生が“自分がフェミニストだ”という言葉を聞いて、フェミニストが“その人らしく活躍できる社会を作る人”を指す言葉というのを知り、興味を持ったのがきっかけ」だと江原さんは話します。
女性起業家を目指すにあたり、女性は「遠慮しがち」であることや、「できること」ではなく「足りないスキル」に目が向きがちなことを問題点として列挙。そこを支えるメンターがいるのが理想だが、それをひとりひとりが内面的に獲得していくことや、もっと野心的に物事を進めようとするスキルや考え方が必要だと語ってくれました。
また、矢澤さんはキャピタリストになろうとしたきっかけとして、アメリカ留学の経験があったと話します。「どんな大きな企業でも“Day1”があり、そういった会社を応援していかないと今後の日本が危ないのでは?」と強く感じたそうです。
矢澤さんも江原さんも共通し、「女性キャピタリストが増えなければ女性起業家も増えない。だからこそ自分がやらなければならない」という使命感を語ってくれました。
■4:次世代が生きやすい未来とは?「Vital Life(バイタル ライフ)」
セッション4「Vital Life(バイタル ライフ)」では、渋谷ヒカリエなどの大型商業施設から、ローソン「Uchi Cafe’SWEETS」など、日本を代表する数々の大手企業のブランディングに携わってきたブランドプロデューサーの柴田陽子さんと、クラウドファンディングで支援を集め、“生理の日にナプキンがいらない”というコンセプトで開発された画期的な超吸収型生理ショーツ「Bé-A(ベア)シグネチャーショーツ」を生み出した、山本未奈子さんが対談しました。
社会の第一線で活躍しながらも母親としての顔を持つおふたり。仕事とプライベートを両立してきた秘訣についても熱く語り合い、さらに「次世代の子どもたちにどんな社会を残したいか」という未来へつながる話も聞くことができました。
「個の時代だからこそ、愛情豊かな環境や、それぞれが独立しながらそれを応援できる社会になるといいなと思っています。自由に選べることの素晴らしさや、得意なことを思い切り発揮できる社会を作っていければ」と柴田さんは語ります。
「まずは日本で一番女性を幸せにする会社を作ろう」というビジョンを持っているという山本さん。何か始めたときには、挫折したりせず最後までやり通す、を普段から心がけているそうです。
そんな山本さんには、日本のジェンダーギャップが先進国で最下位であることや、女性ならではの健康問題などで「機会損失」が生まれている現状を踏まえ、もっと女性が「諦めないで生きられる時代」を作りたいという想いがあるそうです。そのためには、生理などの女性の身体に対する知識や、性に対する教育を、子どもの頃からきちんとしていくのも大切なことだと話してくれました。
また、環境問題に関して、ひとりひとりが共通した意識を持って取り組み、次世代が生きやすい社会を作っていくことが使命である、と“持続可能な未来”へ向けての熱い想いを語ってくれました。
多様性が求められる今の時代をリードする、8人の女性たち。実際に社会を強く生き抜く彼女たちだからこそ感じる社会の課題や、未来へ繋ぎたい想いなど、貴重なお話を聞くことができたイベントでした。
国際女性デーに行われた本イベント。女性の生き方や考え方、これからの未来へ向けてひとりひとりができることを、より考えられる対談となったのではないでしょうか。
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- TEXT :
- 伊東ししゃも 編集者・ライター
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- EDIT :
- 小林麻美