「笑覧」ってどういう意味?「御笑覧ください」、正確に理解していますか?
明日・3月27日は『さくらの日』という記念日です。日本を代表する花である桜への関心を高め、花と緑の豊かな国土を作ろう、という目的で制定されたのだとか。
今年は桜の開花がとても早かった事が、話題になっていますね。3月27日が『さくらの日』に選ばれたのは、日本の暦「七十二候」の「桜始開(さくらはじめてひらく)」の時期(3月25~29日ごろ)と重なる時期であるとともに、
「咲く」の語呂合わせに「3×9=27」を用いて「27日」になったそうです。
さて皆さま、「咲」という字、「笑」という字と同じルーツを持つ漢字であること、ご存知でしょうか?『古事記』にはも「八百万(やおよろず)の神と共に咲(わら)ひき」という文章が記されておりますし、花が開くことを「花笑(はなわら)う」とも表現します。また、春めいていろどり豊かになった山の様子を表現する「山笑(やまわら)う」という言い回しもあり、こちらは俳句の春の季語にもなっています。
…ということで、桜が大いに笑っている本日は「笑」という字の入った日本語クイズに挑戦していただきます。
【問題1】「笑壺に入る」ってなんと読む?
「笑壺に入る」という慣用句の読み方をお答えください。
ヒント:「思い通りになって大いに喜ぶ」という意味の慣用句です。
<使用例>
「あの方、昨年の企画の功績が昇進につながって、いまごろ笑壺に入っているでしょうね。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 笑壺(えつぼ)に入(い)る です。
「笑壺(えつぼ)」は「笑い興じる事」「満足して笑う事」という意味の言葉で、
慣用句の「笑壺(えつぼ)に入(い)る」は「思い通りになって大いに喜ぶ。満足する。」という意味です。
昨今、演芸を観覧したり、大変に面白おかしい事柄に遭遇したりして、爆笑したり、笑い過ぎて止まらない…というような状態を指す「笑(わら)いのツボに入(はい)る」という俗語的な表現がありますが、
慣用句「笑壺に入る」は「はいる」とは読みませんし、「面白おかしいことがらに遭遇し、爆笑する」という意味ではありません。混同にお気をつけくださいね。
…というところで、2問目に参りましょう。
【問題2】「笑覧」ってどういう意味?
「ご笑覧(しょうらん)下さい」という日本語の意味として正しいのは、以下の選択肢のどちらでしょうか?
1:面白いので笑って見て下さい
2:つまらないものを笑って見て下さい
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:つまらないものを笑って見て下さい です。
「笑覧(しょうらん)」とは、「自分のものを見てもらう時に使用する謙遜表現」です。
「ご笑覧ください」は「(私に関係する、この)つまらないものを、笑って見てください」という意味です。「つまらないものをお目にかけて恐縮ですが、広いお心で笑って見てやってください」というニュアンスです。
ですので「私が趣味で作ったアクセサリーです。ご笑覧ください。」「このほど私の著作が出版されました。何卒ご笑覧ください。」など、自分に関連する物事に対して使うべき言葉になります。
昨今、おすすめの楽しい動画などを紹介する際に「ご笑覧ください」という表現を使っているケースに遭遇しました。
その動画が、自分で制作したものならば問題ありませんが、
自分がセレクトした、他者制作の動画であった場合、「ご笑覧ください」を使用するのは、製作者に大変失礼な言い回しになります。お気をつけください。
本日は、3月27日『さくらの日』にちなんで、「咲」と同じルーツを持つ「笑」という字にスポットを当て、
・笑壺(えつぼ)に入(い)る
・笑覧(しょうらん)
など、カン違いしやすい日本語表現についておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:一般社団法人日本記念日協会ホームページ/公益財団法人日本漢字能力検定協会ホームページ
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱