もうすぐ12月。年末が差し迫る中で日々の業務に忙殺されそうになるものの、イベントシーズンということもあり、なんだかワクワクする季節でもあります。クリスマスデート、仲間との忘年会、お正月のホームパーティー……。今から楽しみにしている人も多いはず。そんなとき、どうしてもつきまとう悩みのひとつに、「出費」の多さがありますよね。寂しくなったお財布や銀行口座を見てため息をついた経験、ありませんでしょうか?

お金持ちと、そうではない人。いったいその差はどこにあるのか。『お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣』の著者である菅原 圭さんは、「何気ない日常行動をやめるだけで、お金に好かれる人になれます」と説いています。では、お金持ちが心がけている習慣とは何か? 菅原さんに教えていただきました。

■1:人に「時間」を贈る

時間はかけがえのないもの

成功したビジネスパーソンを多数取材してきた菅原さんの周辺には、数多くの成功者がいるそう。その中でも、抜群のセンスを持ち、国際舞台で活躍を見せるとある法律家の男性Aさんは、常日頃から「相手に時間を贈ること」を心がけているのだとか。

たとえば、仕事を通じて仲よくなった人が誕生日を迎えるタイミングで、「何か贈り物をしよう」と考える人は多いはず。ちょっとした小物やコスメ、花など、何を選ぶかは人それぞれ。けれど、このAさんはその一歩先に踏み込み、必ずお茶や食事をともにし、ゆっくりとした時間の中でモノを渡しているそう。

あるとき、菅原さん自身もそう接していただいた際に、「お忙しいのに恐縮してしまいます」とお礼を伝えたところ、思わぬ返答があったといいます。「たしかに忙しいことは忙しいんです。しかし私は、大事な人には人生で最も大事なものを贈ると決めているんですね。時間は欠けがえのないものでしょう。それをお贈りすることで、私も最高の満足を感じられます」。

このエピソードに込められているのは、相手を思いやる心遣いではないでしょうか。欠けがえのない「時間」を共有することで信頼や絆が生まれ、ひいてはビジネスチャンスにつながることもあるのです。

「私が経験したいちばん素敵な時間の贈り物に、こんな例があります。小さな編集会社を経営している友人の女性が、還暦を迎えたときのこと。忙しい中で、数名の社員も、彼女のクライアントも、普段仕事を手伝ってくれているフリーのスタッフも、なんと20名ほどが皆時間をつくり、みんなで行く1泊2日の京都旅行をプレゼントしたのです。しかも、サプライズで。贈った人たちの気持ちも素晴らしいですが、贈られた友人がいかに多くの人たちに愛されていたか、がわかりますよね」(菅原さん)

これは極端な例かもしれません。けれど、相手のために時間を使ってあげることをちょっと意識するだけで、そこに大きな感動が生まれることは間違いないでしょう。

■2:本にかけるお金を惜しまない

今は本が売れない時代といわれています。実際、必要な情報はスマホで簡単に検索・収集できてしまいます。けれど、高収入の人たちは積極的に読書をしている、という調査結果が出ているそう。その境目となるのが、年収800万円。これ以上のお金を得ている人は、この本離れの時代でも読書量が増加しています。その一方で、それ以下の年収の人の読書量は、大幅に減少しているんだとか。

読書のメリットは言わずもがな。スキルアップにつながる情報を得たり、成功するためのノウハウを身につけたり、論理的思考を強化したり…。まさに、お金持ちに必要な要素を取り入れることができるのです。

では、どんな本を読んだらいいのか。菅原さんは「ハウツーモノもいいけれど、年齢を重ねるごとに自分を成熟させることができるような本がオススメ」といいます。

「特に私は『独り居の日記』(メイ・サートン)が好きです。また、モノにこだわることの愚を教えてくれる仏教関係の本、禅語の本なども身近において、時々、パラパラとめくっています」(菅原さん)

■3:身の周りがきちんと片づいている

とくに引き出しの中を片付けよう

仕事が忙しいと、どうしても身の周りをちらかしてしまいがち。実はこれも「お金持ちへの道」を遠ざける悪習慣です。身のまわりが片づいていれば、必要な資料を探す手間も省け、その分仕事に専念することができます。これはもちろん、PC上でも一緒。デスクトップを常に整理しておくことで、業務を効率化させることができます。そして、こんな些細なことが、お金持ちの共通点なのです。

「特に優先して片づけておきたいのは、なんといっても引き出しの中です。デスクもキッチンも、しょっちゅう整理しているのに、すぐにゴチャゴチャになってしまいます。引き出しの中がきちんと整理されていると、開けるたびに軽い自己満足が得られ、気持ちがノッてきます。もちろん、逆も然りですが……」(菅原さん)

片づけ下手だという菅原さんに、ある成功者が教えてくれたのが、「すべてのことを“往復”で行う」ということ。

ドアを開けたら閉める。引き出しから何かを出したら、しまう。そして、さらに「1、2秒の手間を惜しまないこと」。コートを脱ぎ、部屋着に着替えたら、脱いだコートをクローゼットにしまう。それをせずに、ついつい椅子の背などにかけてしまえば、あっという間に部屋はちらかり放題。

整理する力と仕事力はつながっています。忙しい時ほど、まずは身のまわりの片付けを意識してみましょう。

■4:小さな命も愛おしむ

菅原さんがこれまでに取材してきた成功者には、心優しい人が多かったといいます。雨が降れば「稲には恵みの雨だね」といったり、台風が通過すれば「リンゴなどに落果の被害が出なければいいのだが」と心配したり……。「お金も愛情も人材も、心から集めたいという人に集まってくる。そしてそれを大切にしてくれる人のところに集まる」という言葉を、松下電器(現パナソニック)の創業者・松下幸之助さんは残しましたが、お金と愛情には密接な関係があるようです。

また、小さな命を愛おしむことで、心をおだやかに保つことができます。それはすなわち、些細なストレスから解放されるということ。

「あくまでも私見ですが、予期せぬ衝動買いの動機の多くは、ストレスからだと感じています。他者はもちろん、イヌやネコなどの動物に対してもやさしく温かな気持ちをもつと、自分でもはっきりわかるほど気持ちがおだやかになることを感じます。こういうときに、ムダなお金は使いません。その結果、意味のないお金の使い方をしなくなるのです」(菅原さん)

意味のないお金を使わなくなれば、結果、手元にいつも余裕がある状態になります。

「日本では“寄付”があまり盛んではありません。寄付をしたからといって物理的なリターンが得られる、わけではありませんが……。自分が少し節約したお金を誰かのために使う。これが喜びだと思うことが“循環”なのだと考えることはできませんか? ちなみに私は、カード決済などでたまるポイントはすべて、京都の“iPS研究所”に寄付しています。ノーベル賞受賞の山中伸弥教授自らが“お金集め”に腐心されていることは、日本人として悲しいし、恥ずかしいですからね」(菅原さん)

■5:「○○でいいよ」とは言わない

実は失礼な言葉

最後に紹介するのは、日本人なら誰もが身に覚えのあるフレーズ。「○○でいいよ」です。たとえば、レストランでメニューを注文する際、ろくにメニュー表も見ず、「○○でいいよ」「私もそれでいいよ」などと言ってしまった経験、きっと誰にだってありますよね。

問題なのは「○○で」という言い回し。そこには「しょうがないから、それでいいよ」というニュアンスが含まれている、と菅原さんは指摘します。これはすなわち、お店側に対して失礼な態度であると同時に、自分自身の考えをもっていない、と白状していることにほかならないのです。それは、食べたいものをなかなか決められない人も同様。

大きな成功を収め、リッチになる人は「決断力」を持っています。たかがレストランでのメニュー選び、と思いがちですが、日常生活のワンシーンにも、その人の資質は如実に表れてしまうものなのです。

「それ以外にも、『どうせ…』は絶対に避けたい言葉です。次いで、『私なんか…』や『どうでもいいじゃないか』なども。『ほっといてよ』『私にかまわないで』などの言葉も、言わないほうがベターです」(菅原さん)

本書の執筆のきっかけについて、菅原さんは「お金に関する不安、不満の塊のようになっている人たち…。今、日本の多くの人がそうなってしまっているように感じるのですが、そこから脱し、のびやかに大きく呼吸できる。そんな日々を取り戻すには、自分の思いを大事にていねいに暮らしてみる、粗っぽい暮らしを見直してみる。そんなアプローチもあることを、知ってもらいたいと思ったのです」と話します。

確かに、今回紹介したメソッドは、いずれもお金を稼ぐこととは無縁のようにも思えます。けれど、目の前にあるモノ、そして日々の生活を大切にすることは、巡り巡って自分に返ってくるのです。「ただただ“金の亡者”になって稼ぐことだけが、豊かさへの道なのでしょうか」。菅原さんがこう疑問を呈するように、お金持ちになるためのアプローチとは、些細なところに転がっているものなのかもしれません。

PROFILE
菅原 圭 (すがはら けい)さん
早稲田大学文学部卒業後、コピーライター、出版社を経て、執筆活動に入る。ライターとして、ビジネス界のキーパーソンや作家、文化人などを数多く取材。「大人としてどう振る舞うべきか」というテーマでの著書多数。
『お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣』菅原 圭・著 河出書房新社刊
この記事の執筆者
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WRITING :
五十嵐 大
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