雑誌『Precious』5月号から新連載「My Action for SDGs 続ける未来のために、私たちがしていること」が始まりました。
本記事ではビジュアルアーティスト・写真家・教育者のメアリー・マッティングリーさんの活動をご紹介します。
パブリックアートで住民とともに盛り上げていく大都市の社会運動
N.Y.を拠点に多くのパブリックアートを手掛けるメアリーさん。
環境問題への関心が高まったのは、9・11の直後だった。安全が保障された環境にいられないとき、基本的な生活を営むために必要な資源にアクセスできない状況のときに、洋服そのものがテントになるウェラブルホーム、つまり「着用する家」というアイディアを思いついた。
彼女は実際にそれを着て田舎町を旅し、最終的にアート作品として反響を得た。
「このとき私は、アートが、大衆のなかにあって多くのことを訴えるのだということ、そして人々と共に進化させていくことができるということを知りました」
’06年に誕生した「ウォーターポッド」は、市内を流れる川で不要になったはしけを利用した浮島で、そこに4人のアーティストが住み、自給自足で食糧や水、電力を生み出して生活するというもの。6か月で20万人が鑑賞に訪れた。さらに、もうひとつ立ち上げたアートワーク「スウェール」では、水上に畑をつくり話題に。
「N.Y.市の公共公園は広大ですが、そこで食物を採取することは公有地法により違法なんです。多くの住民が生鮮食品を十分に入手できない現状で、この試みは一大プロジェクトになりました」
「スウェール」によって、土壌や水、多様な植物について知識を得た地元住民と協力し、メアリーさんは公共の緑地での食物採取を合法化する運動を展開。
彼女が実践したいと願う「相互扶助の原則」は、コロナ禍以降、いっそう必然性を高めている。エネルギー問題や住宅問題、健康的な暮らし、仕事の維持…複数の危機があるが、「もっと多くのことができるはず」
だからこそ、アートで気付きを。
【SDGsの現場から】
さまざまなアートで環境やエネルギー問題に気づきを
塊にしたゴミを引き街を歩く作品もN.Y.で大きな話題に
●SDGs(持続可能な開発目標)とは
’30年までに持続可能なよりよい世界を目指す国際目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成。
- PHOTO :
- Hiroshi Abe
- WRITING :
- Junko Takaku
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)