これは現状に苦しむレストランをサポートするとともに消費者に食の喜びをデリバリーで届ける新たな試みで、まず立ち上げメンバーとして「Nenè Panzerotti(ネネ・パンツェロッティ)」「Calistro(カリストロ)」「 La Sosta del Rossellino(ラ・ソスタ・デル・ロッセリーノ)」「Nura(ヌーラ)」の4軒のレストランが参加している。

フィレンツェ発、ロックダウンを楽しむ「ジェヌイーノ・デリバリー」

フィレンツェ近郊、カゼンティーノの山並みをバックにトルテッリを味わう。お一人様ならこんなことも可能。
フィレンツェ近郊、カゼンティーノの山並みをバックにトルテッリを味わう。お一人様ならこんなことも可能。

そのテーマは「ストリートフード」でフィレンツェから郊外のセッティニャーノ経由、カゼンティーノ、ベネヴェント、そしてインドへと至る壮大なストリートフード物語だ。確かに今現在イタリアでは多くのデリバリーが一気に登場、百花繚乱の様子を見せているがストリートフードが食べたくなる気持ちもよくわかる。なかなか故郷にも帰れないような状況の中、慣れ親しんだ郷土の味に触れたい、そんなニーズは確かにあるのだろう。

手頃な価格も魅力的な、フィレンツェのストリートフード

揚げたパンに生ハムやルーコラ、ストラッキーノチーズなどを挟んだパンツェロッティはイタリア人なら大人も子供も大好きな味。
揚げたパンに生ハムやルーコラ、ストラッキーノチーズなどを挟んだパンツェロッティはイタリア人なら大人も子供も大好きな味。

例えば4月23日〜29日の期間限定で「ネネ・パンツェロッティ」が提案するのはパンツェロッティメニュー(クラシック x 1、お好みのグルメパンツェロッティ x 2つ(Boscaiolo, Gentile, Estroso)、スペシャル・パンツェロッティ・ジェヌイーノ(Wurstel del Menoni, Cipolla e cavolo cappuccio bio di Vaggio, Scamorza biologica di Poggio Camporbiano) +パンツェロッティ・ドルチェ(クリームまたはチョコレート)。プーリア生まれだが今やイタリア全国区の揚げパンファンはきっと多いことと思う。15ユーロ(2人用) 

シチリアを代表するストリートフード「アランチーニ」。炊いたサフランライスにミートソースやモッツァレッラを詰め、パン粉をつけてあげるとても手の込んだ伝統料理だ。
シチリアを代表するストリートフード「アランチーニ」。炊いたサフランライスにミートソースやモッツァレッラを詰め、パン粉をつけてあげるとても手の込んだ伝統料理だ。

フィレンツェ郊外の高台にある「ラ・ソスタ・デル・ロッセリーノ」は20年ほど前には足繁く通った店だが、シチリア出身の店主ダミアーノはいまだに健在。4月30日〜5月6日にはシチリアのストリートフード・メニューを作ってくれる。手作り&揚げたてのアランチーニ、ノンナ・ローザのカポナータ、BIOひよこ豆粉Spighe Toscane使用パネッレ。故郷は遠くにありて思うもの、よくシチリア料理の話をしてくれたダミアーノが懐かしい。願わくばわたしも注文してみたい。20ユーロ(2人用)

「カリストロ」のトルテッリは、パスタ生地を焼いてその上にモルタデッラなどをトッピングしたオープンサンド。
「カリストロ」のトルテッリは、パスタ生地を焼いてその上にモルタデッラなどをトッピングしたオープンサンド。

詰め物パスタ・トルテッリはエミリア・ロマーニャ地方を代表するパスタだが、フリットにしてスナック代わりに食べることもある万能型パスタ。5月7日〜13日には「カリストロ」が考案した、トルテッリを使ったカゼンティーノのストリートフード・メニューが楽しめる。クラシックなグリル・トルテッリ+限定版のジェヌイーノ・トルテッリは12ユーロ。

食には保守的なイタリア人とはいえ、たまにはエスニックな味を求めたくなるもの。インド料理店「ヌーラ」はフィレンツェの人気店のひとつ。
食には保守的なイタリア人とはいえ、たまにはエスニックな味を求めたくなるもの。インド料理店「ヌーラ」はフィレンツェの人気店のひとつ。

最後を締めるのは5月15日〜21日、インド・ケララ料理の「ヌーラ Nura」。ガンベロ・ロッソでも紹介された本格インド料理店ではインド・ケララのストリートフード・メニュー(ベジ&ノンベジ)を提供する。例えばサモサ+パコラをベースに、タンドリーチキン、ケララサラダ、チリチキン、フライドエッグ、エビのモレー、ベジプラオ、パラクパニール、ココナッツライスなどをチョイスして料金は27〜31ユーロとかなりボリューミー。

このプロジェクト「ジェヌイーノ・デリバリー」の考案者であるキアラ・ブランディによれば、5月以降もシーズン2としてさらに多くのレストランによるストリートフード・デリバリー計画が進行中とのこと。興味ある人はアップデートに注目、注文は以下の公式サイトより。

Genuino公式サイト

この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。