エグレン家の五代目である33歳と36歳の2人がタッグを組んで誕生した「ウカン」。若い二人ではあるが、幼い頃からワインの英才教育を受けてきた二人だけに、最上の一杯を生み出すための努力は並々ならぬものがある。
収穫した畑ごとにぶどうを醸造し、アッサンブラージュ
1870年にぶどう農家をリオハで創業したエグレン家。ぶどう農家から出発しているだけあり、「良いワインは、良いぶどうから」との哲学を持ち、伝統的な手法で少量でも高品質のワイン造りに勤しんでいる。日当たりがよく、寒暖差に恵まれたリオハで化学肥料や殺虫剤などを使わずに栽培し、手摘みしたぶどうは唯一無二の質の高さを誇る。
エグレン家の五代目の若手、33歳と36歳の2人がタッグを組んで誕生した「ウカン」のぶどうは、リオハの伝統的な製法であるマセラシオン・カルボニカ(破砕せずにぶどうをタンクの中に入れることで、自重によって発生させた炭酸ガス圧により果実が割れ、自然発酵していく製法)を採用。
わずかな標高や温度差、土壌の違いで同じ品種でも個性が異なる特性を生かすため、収穫したぶどうを畑ごとに分けて醸造。各々を発酵させたのちアッサンブラージュ(ワインの原酒を混ぜ合わせるワイン造りの伝統的な技法)し、17か月熟成させる。
フレッシュでも深みがあり、寝かすと洗練度を増すポテンシャルを感じさせる「ウカン」
手間のかかる製法で作られた「ウカン」初ヴィンテージとなる2018年は、フレッシュさを感じながらもエレガントで気品を感じるバランスの取れた味わい。
若いうちに飲んでもしっかりしたタンニンがあり、それを軽い酸が包む。どんな料理も受け止める包容力があり、数年寝かせると洗練度が増す、ポテンシャルを感じさせる。リオハワインの新たな1ページを飾る「ウカン」をぜひ味わっていただきたい。
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- 津島千佳 ライター・エディター