雑誌『Precious』6月号では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私たちがしていること」という特集で持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動をご紹介しています。

その特集のなかから本記事ではカゴメ野菜生活ファーム 代表取締役の河津佳子さんの活動をご紹介します。

河津佳子さん
カゴメ野菜生活ファーム 代表取締役
(かわず よしこ)ショールームのアテンダント、美容関連企業での商品開発、外資系証券会社、ゲームソフト会社などの広報を経験。42歳でカゴメ入社。商品企画部でマーケティングを担当後、広報総括、IRグループ部長を経て’18年より現職。

食と農を体験できるテーマパークで持続可能な農業の理想形を実践

長野県・富士見町にある「カゴメ野菜生活ファーム富士見」は、工場見学や農業・調理体験ができる野菜のテーマパーク。「農業振興・地方創生」を、取り組むべき社会問題のひとつとして掲げるカゴメが、遊休地(※1)だった場所につくった話題の施設です。1968年に富士見工場ができたときから、お世話になっている地域の人たちへの恩返しでした。

代表の河津さんは、カゴメ本社の広報として、施設立ち上げの構想段階に関わっていましたが、「ある日、当時の社長に『河津さん転勤!』と言われて」ここに来ました。

「私がやらねばならないことはこのファームを持続させていくための基盤づくり。そして、地域との連携です。そのためには、従業員の心と体が健康でいられる、働きやすい環境をつくることも大切ですし、さまざまなイベントを通じて、地元の人やお客様からもっともっと愛される施設になることも重要。近隣の農家や観光施設、クリエイターたちとのコラボ企画も、積極的にやっています」

【SDGsの現場から】

生物の多様性を楽しく学べるクイズラリーも

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「畑の生き物クイズラリー」と称して、鳥や昆虫、草花に関するクイズを14か所に設置。

生き物を呼び込んで農業との共生を

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昆虫などのすみかになる「竹筒マンション」や「石積みハウス」で、持続可能な農業を目指す。

ハード面にも自慢があります。工場というのは、稼働すればどうしても温水とCO2が排出されてしまうものですが、このファームでは、そのどちらをも再利用。広大なトマトの温室で、温水は暖房に、CO2は光合成に利用しています。環境に配慮した仕組みで、先進的な農業を実践しているのです。

「野菜を、自然を身近に感じてもらいたい」という想いもある。

「私自身、ここに来て初めて、野菜の花がこんなにかわいいことを知りました。そもそも、自然の恵みを原料としているカゴメにとって、自然環境の保全は事業の継続のために必要不可欠。この場所から、守り、伝えていきたい」

SDGs(持続可能な開発目標)とは
’30年までに持続可能なよりよい世界を目指す国際目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成。

(※1)遊休地…以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を栽培せず、かつこの数年の間に再び耕作する予定のない土地。全国で問題になっている。

PHOTO :
五味貴志
EDIT&WRITING :
楢畑彩香、大庭典子、喜多容子(Precious)